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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

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  • ひろやすの汽車旅コラム
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

予土線(2) “予土線3兄弟”を楽しむ [No.H090]

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清流・四万十川に沿って走る予土線は、風光明媚。名物の、欄干がない沈下橋がところどころで見られる。
先回の予土線(1)では、ニークさで注目度急上昇中の新幹線型車両「鉄道ホビートレイン」を紹介しました。同車が走る予土線には、ほかにも「海洋堂ホビートレイン」「しまんトロッコ」という、個性的な列車が走っています。JR四国では、この3車両を
長男 しまんトロッコ
次男 海洋堂ホビートレイン
三男 鉄道ホビートレイン
という『予土線3兄弟』と位置づけてPRしています。
このうち、「しまんトロッコ」は週末を中心に走る臨時列車ですが、他は毎日定期列車として走っています。もともと列車本数が多くない予土線ですから、四万十川のみどころとなる江川崎~若井間でみると、平日1日7往復のうち3往復が『予土線3兄弟』での運行です。さらに、「しまんトロッコ」が走る日となれば、1日8往復のうち4往復…つまり半数が『予土線3兄弟』での運行となります。



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世界的なフィギュア・メーカー海洋堂とタイアップした列車「海洋堂ホビートレイン」。車内にはフィギュアの展示もある。
この奇抜なラッピングを施した車両が、「海洋堂ホビートレイン」です。いま走っているのは、昨年(2013年)7月にリニューアルされた二代目です。外観はご覧の通り太古から未来へという斬新な図柄ですが、車内も凝っています。天井や床はもちろんのこと、カーテンにまで恐竜などのデザインが施されています。乗客が座る座席のシートには、恐竜の足あとも… さらに、海洋堂お得意のフィギュアのショーケースもあります。フィギュア好きなら、四万十川の景色そっちのけで見入ってしまうかも。
ところで、予土線でなぜ海洋堂なのか不思議ですよね。実は、海洋堂はもともと大阪府守口市にできた模型屋さんだったそうです。ちょうど50年前の創業とのことですが、その創業者の出身地が高知県で、親族の関係で四万十町の打井川という地と縁があったそうです。その地にあった小学校が廃校となり、跡地に四万十町が「海洋堂ホビー館」を開設したのです。最寄り駅は打井川駅ですが、同駅からさらに6キロほど山奥に入ったところとなります。同駅からは、日曜日だけ1日4往復の路線バスがでています。




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四万十川の風を受けながら予土線を楽しむことができる「しまんトロッコ」。左側の貨車改造車がトロッコ車。
最後に、予土線3兄弟の長男である「しまんトロッコ」をご紹介しましょう。
四万十川といえば、最後の清流と呼ばれて全国的に知られますが、その流れを見るだけでなく、風を感じて楽しむことができるのが、この「しまんトロッコ」です。窓がない貨車改造のトロッコ車から、新鮮な空気と雄大な景色が楽しめるわけです。
JR四国では、瀬戸大橋と徳島県の大歩危でもトロッコ列車を運転していますが、その元祖はこの予土線を走る「しまんトロッコ」です。国鉄初のトロッコ列車としてデビューしたのは、昭和59(1984)年ですから、今年で登場以来30年となります。永らく「清流しまんと号」と名づけられていましたが、昨年(1913年)10月にご覧の真っ黄色な車両となり「しまんトロッコ」と改名されました。鉄道車両デザイナーとして知られる、水戸岡鋭冶氏によるデザインです。
春から秋までの週末を中心に走る臨時列車ですが、ほかならぬ四万十川を楽しめるとあって人気が高いようです。乗車には、普通乗車券と520円の座席指定券が必要となります。





掲載日:2014年05月30日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。