『慈恩寺』は、紀元648年、唐の第三代皇帝の高宗李治が、亡き母・文徳皇后の冥福を祈るために建立したお寺です。当時の規模はかなり大きく、資料によると部屋の数は1,897間、僧侶は300人に及んだと言われていますが、唐代末期に戦乱のため焼き払われ、現存するのは当時の十分の一に過ぎません。
紀元652年、インドから帰った玄奘三蔵法師の願いにより、境内に大雁塔が建てられ、経典が保存されました。塔は煉瓦でできており、当初は五層でしたが、後の則天武后の時代に大改造を行い、十層になりました。しかし、戦乱などで上部が崩壊し、現在は七層、高さは64mとなっています。
内側には木製の階段が螺旋状に頂上まで続いており、その雄大な形は西安のシンボルとして親しまれています。塔の入口両側には、玄奘三蔵法師の功績を称えるため、太宗と高宗が書いた「大唐三蔵聖教序」と「大唐三蔵聖教序記」の石碑が納められています。