「働く女性のストレス発散に注目した軽井沢の観光資源の可能性に関する実証分析」

1.調査目的

日本旅行総研は、このたび、山梨学院大学現代ビジネス学部日高優一郎ゼミと共同で、「働く女性のストレス発散に注目した軽井沢の観光資源の可能性に関する実証分析」を実施しました。本調査は、軽井沢の多様な観光資源が、働く女性がストレスを解消したいと思う気持ちとどのような関連性があるのか、質問票(詳細はリンク先参照)から得られた回答を統計的に分析し、軽井沢の観光資源の更なる可能性について考察するものです。

2.分析結果

本調査では、①ストレスを解消したい気持ちは、旅行に行きたい(軽井沢に行きたい)という気持ちとどの程度関連するのか(テーマ1)、②働く女性のストレスはどのように分類できるのか(テーマ2)、③働く女性のストレスごとに、軽井沢のどのような観光資源を魅力的だと感じるのか(テーマ3)の3つの点について分析を行った。

テーマ1「ストレス解消」と、「旅行(軽井沢)に行きたいという気持ち」との間には、非常に強い相関がある!

ここでは、①質問票のQ1:「旅行の好き嫌い」とQ2「旅行に行くことでストレス発散になるか」の2変数を用いて相関分析を行い、「旅行に行くことでストレス発散になるか」ということ、②Q2「旅行に行くことでストレス発散になるか」とQ5「軽井沢に行きたいか」の2変数を用いて相関分析を行い、「旅行に行くことでストレス発散になると思う人は軽井沢に行きたいという関心があるか」ということの検証を行った(詳細はリンク先参照)。
分析の結果、①旅行好きの人ほど、旅行に行くことでストレス発散になると感じるという結果が得られ(r=.772, p=.000)、②旅行に行くことでストレス発散になると感じる人ほど、軽井沢へ行きたいという気持ちが高まるという結果が得られた(r=.342, p=.001)。
つまり、軽井沢に行きたいという気持ちは、働く女性のストレスと強い関連性があることがわかる。働く女性のストレスを起点として旅行プランを立案することは、軽井沢の観光資源の新たな可能性を発見することにつながることが示唆される。

テーマ2働く女性のストレスは、4つのタイプ!

ここでは、質問票のQ7:「日常のストレスの感じ方」に関する15項目の質問を用いて因子分析を行い、働く女性が抱えているストレスがどのように分類できるのか分析した。
 分析の結果、働く女性のストレスを4つのタイプに分類できた(詳細はリンク先参照)。
(Ⅰ)「内部要因型」…「お風呂にゆっくり入る時間がない」「肌が荒れる」など
(Ⅱ)「時間不足型」…「決まった時間に食事がとれない」「スポーツする時間がない」など
(Ⅲ)「思考混乱型」…「なかなか仕事が手につかない」「アイデアが思い浮かばない」など
(Ⅳ)「外部環境型」…「通勤時・帰宅時の混雑」「身近に自然がない」など

テーマ3「グルメ」は、幅広いストレスに効く!軽井沢のマスト・アイテム
同じ観光地でも、ストレス解消に対して異なる効用を生み出している可能性も!

ここでは、Q6:「軽井沢の魅力」に関する15項目を従属変数とし、ステップ2で得られた因子得点を平均値を基準にグループ化した変数を独立変数としたt検定を行い、働く女性のストレスのタイプごとに軽井沢のどのような観光資源が魅力的に見えるのか、検証した。
 ステップ3の分析の結果と、これまでの分析結果から示される提言は、以下のとおり。
(Ⅰ)内部要因型…グルメ、民芸品、温泉、パワースポット、祭り、イベント、ショッピング
(Ⅱ)時間不足型…グルメ、歴史・文化観光・ロケ地巡り・祭り・イベント
(Ⅲ)思考混乱型…グルメ、温泉、ショッピング
(Ⅳ)外部環境型…今回の結果からは明らかにされなかった。

■「内部要因型」の女性に贈る軽井沢のプランテーマ:「リセット&リセット」

生活の乱れと体の不調を整えてもらうために、軽井沢の高原野菜を使ったオーガニック料理やマッサージ、パワースポットで、心も体もリフレッシュしてもらえば良いと考える。
具体的な場所の一例として、タイ式マッサージ「常世」、100年以上軽井沢彫りをしている老舗家具店「大坂家具店」、オーガニックランチを提供する「村民食堂」、開運・縁結びの木として注目されているご神木「しなの木」がある「熊野皇神社」などが考えられる。

■「時間不足型」の女性に贈る軽井沢のプランテーマ:「軽井沢の王道」

時間要因型の女性のストレスの特徴は、とにかく時間がないこと、そして、テレビや雑誌などを通して注目されたスポットに魅力を感じるという点である。よって、軽井沢の老舗ホテルのカフェテラスで伝統あるスイーツを楽しんだり、ロケ地として使用され、見る・買う・食べるが楽しめる旧軽銀座通りなど、これぞ軽井沢といえる場所で時間を有意義に使ってもらえれば良いと考える。
具体的な場所の一例として、軽井沢のシンボルとして親しまれる「聖カトリック教会」、旧軽銀座の通りで手作り革製品を販売する「きくわん舎」、老舗ホテルの「万平ホテルのカフェテラス」などが考えられる。

■「思考混乱型」の女性に贈る軽井沢のプランテーマ:「モダン&モード」

仕事がスムーズに進められずに頭の中がゴチャゴチャしているため、軽井沢でゆっくり温泉に浸かって頭の中をスッキリする、おもちゃや絵本の美術館に行ってゆっくり何かを見て気持ちに余裕を持ってもらう、軽井沢で暮らす人々が利用する雑貨店やカフェに行って一瞬でも軽井沢で暮らしているかのような感覚に浸ってもらうのが良いと考える。 具体的な場所の一例として、歴史とモダンが交差したかけ流しの湯「星野温泉トンボの湯」は美肌の湯とも呼ばれている。「ムーゼの森」は、ドイツ製のおもちゃを展示するおもちゃ博物館と絵本を収蔵する絵本の美術館が併設された癒しのアートスポットである。カフェやレストランが集結して軽井沢に住む人々も通う「ハルニレ・テラス」、ジョン・レノンが愛したフランスパンを販売する「フランスベーカリー」などが考えられる。

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