葛飾北斎の世界へ!「信州小布施 北斎館」の魅力を探る

「冨嶽三十六景」で知られる葛飾北斎を深く知ることができる「北斎館」が長野県小布施にあります。貴重な原画や晩年小布施で過ごした葛飾北斎の圧巻の天井絵を間近で鑑賞できる貴重な美術館です。北斎の世界を十分に堪能できる「北斎館」の魅力をご紹介します!

2025年3月11日 更新 625 view Clip追加

※情報は記事公開時点のものです。営業時間や休業日など掲載情報から変更になる可能性があるため、お出かけの際は事前に公式HPなどでご確認ください。

目次

「葛飾北斎」に特化した美術館

葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」(北斎館所蔵)

葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」(北斎館所蔵)

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北斎館は浮世絵師・葛飾北斎に特化した美術館です。
『北斎漫画』や「冨嶽三十六景」で知られる北斎は、晩年、豪農商髙井鴻山との関わりの中で一時期小布施に滞在し、多くの素晴らしい作品を残しました。
北斎の初期から晩年までの作品が収集されており、季節ごとに変わる企画展示では何度訪れても新たな魅力を発見できます。
シアターにて

シアターにて

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葛飾北斎はその革新的な構図や豊かな表現力で、世界中のアーティストに影響を与えました。
2020年にはパスポートに「冨嶽三十六景」を基にしたデザインが採用されています。

葛飾北斎と小布施

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北斎は晩年の83歳から90歳の間に4度、小布施を訪れ、数々の作品を手掛けました。
滞在地として選んだ理由は高井鴻山の招きです。
小布施は北斎にとって創作活動の場として重要な場所となり、第二の故郷ともなりました。
自然豊かで静かな環境は、江戸の喧騒から離れた北斎にとって理想的な創作環境だったと伝えられています。

撮影ができる貴重な美術館(一部を除く)

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館内ではほぼ写真撮影が可能です。
フラッシュ撮影はできませんが、貴重な原画や天井絵も写真を撮ることができるのが嬉しいところです。

常設展示:北斎の隠れた傑作

常設展示作品として目を見張るのが、第四展示室(祭屋台展示室)に展示されている東町祭屋台と上町祭屋台の天井絵です。
どちらも長野県宝に指定され、屋台天井に描かれた作品は北斎が80代で手がけたものです。
高齢で描かれたにもかかわらず、ダイナミックな筆致や鮮烈な色彩が特徴的です。

東町祭屋台の「龍図」と「鳳凰図」

東町祭屋台

東町祭屋台

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東町祭屋台は文化三年(1806)につくられたもので、小布施最古の祭屋台です。
天保十五年(1844)、北斎85歳のときに約半年を費やして東町祭屋台の天井絵「龍」「鳳凰」図を描きました。
燃える紅地の龍図や藍色基調の鳳凰図は、対極をなす色彩で、舞台装飾としての効果を高めています。
左:「龍」 右:「鳳凰」

左:「龍」 右:「鳳凰」

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上町祭屋台の「男浪」と「女浪」

上町祭屋台

上町祭屋台

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上町祭屋台は鴻山が私財を投じて造り上げたもので、北斎86歳時に描いた天井絵「男浪」と「女浪」が飾られています。
四周を彩る縁絵は、北斎の下絵を基に鴻山が彩色しています。
飾り舞台には、中国宋時代「水滸伝」に登場する軍師、皇孫勝と天空を舞う龍の木彫(応龍)が置かれています。
左:「男浪」 右:「女浪」

左:「男浪」 右:「女浪」

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「男浪」は豪快で荒々しく激しい波、「女浪」は柔らかく静かで優美な波を表現しています。
また、「男浪」は東洋、「女浪」は西洋をイメージしたとも。
波しぶきやうねりの表現は繊細ながらも迫力があり、魅了されます。

最大の魅力は定期的に変わる企画展示

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北斎館では定期的にテーマを変えて展示しているので、訪れるたびに違う北斎の世界に出会えるのが一番の魅力です。

訪れた時の企画展示は「インフルエンサー北斎」(2025年4/6終了予定)で、図柄などのデザインの発信力が大きい北斎をインフルエンサーに見立てた展示です。
葛飾北斎『今様櫛キセル雛形』櫛の部 下

葛飾北斎『今様櫛キセル雛形』櫛の部 下

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伝統工芸で制作された西陣織や京友禅など、北斎のデザインを取り入れた現代作品も展示されています。
⻄陣織あさぎ美術館 ⻄陣極細織額装「冨嶽三十六景 凱⾵快晴」

⻄陣織あさぎ美術館 ⻄陣極細織額装「冨嶽三十六景 凱⾵快晴」

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⾊鮮やかさから「北斎ブルー」とも呼ばれている、北斎の浮世絵に⾒られる⻘。
北斎のデザインを製品としてみることができる貴重な展⽰です。
⻲⽥富染⼯場/Pagong 「葛飾北斎 京友禅アロハシ...

⻲⽥富染⼯場/Pagong 「葛飾北斎 京友禅アロハシャツ 大波」

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定期的に変わる企画展示では、普段目にすることのできない貴重な資料や新たな視点からの企画が楽しめるのが魅力です。
次の企画展示もチェック必須です!

今後の展覧会スケジュール(2025~2026年)

・4/12~5/18
略画 -はずむ筆、おどる線-
・5/24~10/5
知られざる秀逸コレクション 東京・足立区立郷土博物館浮世絵名品展
・10/11~12/7
なんという目だ! -北斎にはこう見える-
・12/11~2026年1/16
傑作!北斎漫画
・1/24~3/29
北斎を魅了した天舞う瑞獣~龍・鳳凰~

貴重な展示作品も定期的に変更される

「冨嶽三十六景 凱⾵快晴」

「冨嶽三十六景 凱⾵快晴」

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企画展示だけではなく、作品の展示物も定期的に変わります。
この作品は北斎の有名な「冨嶽三十六景 凱⾵快晴」です。
近代に制作されたものは山肌の茶色が色濃くなり、作品の印象が変わってくるそう。

肉筆画は年に1回展示するのが限度とのことで、その代わりに北斎の作品はデジタル掛け軸でたくさん見られるようになっています。
デジタル掛け軸

デジタル掛け軸

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運のいいことに、貴重な「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」の原画も見ることができました。
ただ、作品の展示物も定期的に変わるので、必ずしも見られるとは限りません。
作品との一期一会を楽しむのもおすすめです!
「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」

「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」

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子供たちが北斎に出会えるキッズルーム「水戸久斎」

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2024年8月にデザイナーの水戸岡鋭治さんがデザインしたキッズルームが完成しました!
安全で質の⾼い遊具やおもちゃが配置され、「冨嶽三十六景」や『北斎漫画』が再現された子供と保護者が一緒に遊べるキッズルームです。

※未就学児対象、こどものみ300円(大人は無料)
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ミュージアムショップで北斎グッズを見つけよう

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ミュージアムショップでは、葛飾北斎の作品をモチーフにしたオリジナルグッズや書籍などがたくさん販売されています。
北斎ファンはもちろん、ファンでなくてもこの品揃えではいろいろ欲しくなってしまうはず!
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売れ筋商品はお手頃価格のはがきや絵。
やっぱり北斎の絵は小さくても手元に持っておきたいですね!
ファイルや箸置き、エコバッグなどのおしゃれで実用的なグッズも豊富に揃っています。
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北斎と富士山が好きな私は、富士山のティッシュカバー、ペットボトルカバー、マスキングテープを購入して、大満足です!
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北斎巡りの一環に「岩松院」もおすすめ

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北斎館を訪れた際には「岩松院」にも足を運ぶのがおすすめです。
「岩松院」は、北斎が88歳のときに描いた天井画が見られる寺院で、小布施の中心部からは少し離れた山間にあります。
畳21畳もある大きな天井に描かれた「八方睨み鳳凰図」は圧倒的なスケールで、どこから見ても睨まれているように感じさせる技法が見事です。
完成してから175年、塗り替えは1度も行っていません。

※本堂内や「鳳凰図」は撮影不可、外観や庭園などは撮影可能
「信州小布施 北斎館」の映像より ※岩松院では撮影不可

「信州小布施 北斎館」の映像より ※岩松院では撮影不可

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【所在地】
長野県上高井郡小布施町大字雁田615

【営業時間】
9:00~16:30
※11月は~16:00まで、12月~3月は9:30~15:30

【定休日】
法要の日 ※公式HPをご確認ください

【アクセス情報】
長野電鉄小布施駅からタクシーで約10分
長野電鉄小布施駅からシャトルバスで約25分
長野電鉄小布施駅から徒歩30分
上信越道小布施スマートICから車で約11分
上信越道信州中野ICから車で約10分
上信越道須坂長野東ICから車で約20分

静かな小布施で北斎の作品に触れてみませんか

信州小布施 北斎館

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【所在地】
長野県上高井郡小布施町小布施485

【営業時間】
9:00~17:00(元旦は10:00~15:00)
※閉館30分前までに入館

【定休日】
12月31日 ※臨時休館あり

【アクセス情報】
小布施駅から徒歩12分
上信越自動車道小布施PAスマートICから約8分
上信越自動車道須坂長野東ICから約20分
上信越自動車道信州中野ICから約15分

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