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2025年12月3日 更新
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雪国の恵みが生む日本酒を求めて!魚沼市の2つの酒蔵探訪

新潟県魚沼市は、雄大な越後三山に囲まれた美しい田園地帯です。この地域の豊かな自然は、日本酒造りに大きな影響を与えています。雪解け水と良質な米は酒造りに欠かせない要素です。魚沼市には2つの酒蔵があり、その2つの酒蔵を巡ってきました。

※情報は記事公開時点のものです。営業時間や休業日など掲載情報から変更になる可能性があるため、お出かけの際は事前に公式HPなどでご確認ください。

目次

魚沼市と日本酒の深い関係

雪国の恵みが育む最高品質の条件とは?

浦佐駅の観光案内所にて

via photo by author
新潟県は日本一の酒蔵数で知られ、90を超える酒蔵が点在しています。
その中でも魚沼市は冬には3mを超える雪に覆われる年もあるほどの豪雪地帯として知られています。
この独特の自然条件が日本酒造りにとって理想的な環境を作り、卓越した品質の酒米が作られます。

日本酒を語るうえで欠かせないのは「米」と「水」。
魚沼市では、雪解け水がミネラル分の少ない軟水となり、繊細な味わいを引き出すための仕込み水として利用されています。
さらに、積雪による低温環境は発酵や貯蔵に最適で、丁寧な酒造りを支えています。

この条件を満たす魚沼市には酒蔵が2つ。
その2つを巡ったので、詳しくご紹介します!

珍しい雪中貯蔵庫と試飲が魅力の「玉川酒造 越後ゆきくら館」

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「玉川酒造」は1673年から酒造りが続いている歴史ある酒蔵です。
併設された「越後ゆきくら館」は玉川酒造の直売所であり、全国でも珍しい雪中貯蔵庫「ゆきくら」を見学できる観光施設です。
醸酒を見学できるほか、酒造りの工程や道具の説明、そして10種類以上の日本酒の無料試飲が楽しめます。

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代表銘柄である「玉風味」は、長年地元で愛されてきた伝統の味。
一方で、伝統的な酒造りを守りつつも常に新しい挑戦を続け、「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」で最高金賞を受賞した「純米吟醸 イットキー」のように海外市場も視野に入れた新しいテイストの日本酒開発も!
また、日本酒をベースにしたリキュールや、日本酒の成分を活用した化粧品「ゆきくら化粧品」の開発など、多岐にわたる商品展開は伝統にとらわれないアプローチで日本酒の新たな可能性を模索しています。

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日本酒の中で最も高い度数を持つ「越後武士」

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注目すべき銘柄のひとつが「越後武士」。
アルコール度数がなんと46度という、他に類を見ない強烈なインパクトの日本酒です。
現在では酒税法の関係上、日本酒としてではなくリキュールの扱いとなっています。

雪中貯蔵庫「ゆきくら」

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「ゆきくら」とは豪雪地ならではの雪を利用した天然の冷蔵庫。
冬に降る天然の雪を特殊なシートで覆い、年間を通して大吟醸を低温で貯蔵することができます。
庫内を2〜3℃という低温に保ち、夏でもひんやりとした涼しさを感じられます。
全国で唯一、年間を通してこれを見学できるのが越後ゆきくら館の魅力です。

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冬のゆきくら館

via 画像提供:魚沼市観光協会

10種類以上を試飲できる

社長の風間勇人さん

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試飲コーナーでは常時10種類以上の日本酒が用意されており、時期によっては搾りたての新酒を味わうこともできます。

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「玉風味」や「純米吟醸 イットキー」に加えて、アルコール度数46度の「越後武士」にも挑戦できます。
また、玉川酒造が誇る最高峰の大吟醸原酒で、数々の鑑評会で受賞歴を持つ逸品の雪中貯蔵庫「ゆきくら」で熟成された「雪中貯蔵大吟醸原酒 越後ゆきくら」は有料で試飲することができます。

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実際に私もおそるおそる、アルコール度数46度の「越後武士」を少しだけ試飲してみました。
喉が熱くなりましたが、予想していたよりも強くは感じず飲みやすかったです。

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試飲したお酒は隣の売店で販売されています。
珈琲風味や柚子酒などの珍しいお酒や、中にはあまり出回らないお酒もあるので、是非お土産にどうぞ。

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風間社長のおすすめで、あまり出回っていないお酒が「潟王」。
ケースはiPhoneと同じ触り心地だそうで、箱までこだわっている社長の新しい挑戦も感じられました。

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【所在地】
新潟県魚沼市須原1643

【営業時間】
9:00~16:00(見学受付15:30まで)
※10名以上の団体の場合は予約をお願いします

【定休日】
1月1日(元旦) ※12月~2月は臨時休業の可能性有り

【アクセス情報】
JR浦佐駅より車で約30分
JR只見線越後須原駅より徒歩約5分
関越自動車道「魚沼IC」より国道17・252号経由で約20分
関越自動車道「堀之内IC」より国道17・252号経由で約20分

こだわりの希少酒米と丁寧な酒造り「緑川酒造」

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緑川酒造は1884年に創業した老舗の酒蔵で、魚沼の豊かな自然の恩恵を受けながら、手間暇を惜しまない丁寧な酒造りを続けています。
代表銘柄は、淡麗でキレのよい純米酒「純米 緑川」や四段仕込みに餅米を使用した「緑川 正宗」などがあり、「食事の傍らにあって、いつの間にか飲んでしまう」ような淡くきれいな酒質の日本酒が人気です。
清潔な環境と綿密な温度管理のもと、手作業による丁寧な酒造りが行われています。

希少酒米「北陸12号」

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酒米は新潟県産米を100%使用し、その中でも魚沼市産コシヒカリは70%。
その中でも、「北陸12号」はかつて栽培が途絶えかけていたものを先代が種もみから復活させた希少な酒米で、地元の契約農家が栽培しています。
仕込み水には魚沼丘陵の伏流水である地下50mから汲み上げた鉄分の少ない軟水を使用し、酒の繊細な味わいを引き出しています。
2025年からは自分たちで無肥料無農薬の酒米づくりにも挑戦しています。

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日本酒造りの行程は?

まずは玄米を精米。
精米した米を洗い、適切な水分量になるように水に浸します。
その後、 米を蒸して糊化させ、麹菌や酵母が活動しやすい状態にします。
蒸米の一部に麹菌を繁殖させ、米麹を作ります。

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糀、水、蒸された米と酵母を全て加え、酒の元を作ります。
米麹、蒸米、水、そして酵母を混ぜ合わせます。
これを酒母、またはもとと呼びます。

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酒母に、蒸米、米麹、水を3回に分けて加えて、タンクの中で約25日発酵させます。

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発酵したものはろ過して、液体(日本酒)と固体(酒粕)に分離します。
このアコーディオンのような機械はその分類する機械で、酒粕はこの布板の部分に張り付くそうです。

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その後65℃以上で殺菌、10℃以下で熟成して味を調えます。

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また、緑川酒造では、樽に入れて熟成し、新しい風味の日本酒も作っています。
樽由来の独特の複雑な香りや味わいが日本酒の持つ旨みと絡み合い、通常の日本酒とは異なる日本酒が生まれます。
バーボン樽は甘く芳醇な香りで独特の香ばしさを感じられたり、深みのある味わいになります。
スパニッシュオーク樽は凝縮された甘い香りや、深みのある独特の熟成香が生まれます。

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試飲

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酒蔵見学の後は、試飲ができます。

純米
緑川を代表する一本。
五百万石と北陸12号を使用し、低温での発酵の後約1年ほど熟成。淡麗な中にもうまみを更に残したお酒。
ペアリング:寿司、魚介、出汁のきいた和食

大吟醸
越淡麗と北陸12号を使用し、3~8年熟成した大吟醸原酒を8種類ブレンドしたお酒。
ペアリング:魚介、ハーブのきいたお肉

Cask Collection SPANISH OAK FINISH
10年熟成した純米原酒をスパニッシュオーク樽で後熱し、華やかな熟成の香り、深い味わいに。
ペアリング:鉄板焼き、チョコレート、ドライフルーツ

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緑川酒造は公式ホームページを持たず、インターネットでの販売も行っていません。
顔の見える販売を基本とし、商品は蔵元が厳選した信頼の置ける正規特約店でのみ購入ができます。
※酒蔵でも販売していません

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【所在地】
新潟県魚沼市青島4015-1

【営業時間】
9:00~15:00
※見学受入は4、5人までの少人数(要予約) ※団体バス不可
※来年から有料予定

【定休日】
土曜日、日曜日、祝日など

【アクセス情報】
浦佐駅から車で約15分
魚沼ICから車で約5分

伝統と革新が織りなす至高の日本酒の数々を堪能してみては?

新潟の日本酒の中でも魚沼市にある2つの酒蔵を見学しました。
どちらも歴史ある酒蔵ながらも、今の時代に向けて、新しい挑戦を続けていく若い力を感じました。
是非魚沼市を訪れ、この2つの酒蔵を通して魚沼市の自然の恵みを五感で感じてみてください。
<取材協力>
・小千谷観光バス🚍
公式HP
・魚沼市
公式HP
公式Instagram

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