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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


  • ひろやすの汽車旅コラム
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

妖怪が楽しい?JR境線 国際まんが博も開催中 [No.H004]

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境線がある米子駅0番ホームへの案内役は、妖怪たち。
階段にねずみ男、その左上には目玉おやじがいる。
駅のホームを歩いて行くと、いきなり妖怪が歓迎してくれる。そんな駅を知ってますか?

鳥取県の西方にある米子駅です。
改札を入ってホームにでたところまでは、ごく普通のJR駅です。ところが、境線は左へとの案内に従って進むと、いきなり

ここは
ねずみ男駅

と階段に書いてあります。そこには、子どもの頃によく見たねずみ男の絵も描いてあります。その左上には、緑色でなにやら不気味な形の0番ホーム案内があり、よくみると、これまた子どもの頃によくみた目玉おやじが描かれています。…あれ、その先に停まっている車両にも目玉おやじが…
そこで、改めて階段をみると、

ようこそ、水木しげるワールドの玄関口、米子駅へ

と書いてありました。これで合点がいきますよね。そう、境線の終点となる境港市は、ゲゲゲの鬼太郎の作者として知られる漫画家・水木しげるさんの出身地なのです。その知名度の高さにあやかり、境港の商店街には1993年に妖怪のブロンズ像を並べた「水木しげるロード」が誕生しました。同時に、JR西日本は境線に「鬼太郎列車」を走らせはじめたのです。

その後、次第にこのことが知れ渡り、2003年には水木しげるロードの一角に水木しげる記念館がオープンします。また、妖怪のブロンズ像も次第に増えていくと、観光客もどんどん増えていきました。実際、水木しげるロードができた頃に訪問したことがありますが、天候が良くない平日だったこともあってか、写真を写しているのは私一人でした。ところが、今夏久しぶりに行くと、夏休み中ということもあり、酷暑の平日にもかかわらず人が大勢行き交う人気観光地になっていました。

境線もこの人気を活用しない手はありません。全駅に妖怪の名前をつけ、走る列車も基本的に鬼太郎列車シリーズにするなど、様々な手を打ってきています。その一つの例が、冒頭に記した米子駅のホームなのです。でも、米子駅はこれだけで終わりません。階段の裏側に回ると、柱かと思ったものがねずみ男の彫刻だったり、鬼太郎の頭の上に目玉おやじが乗っているブロンズ像があったり、水木しげる氏監修の「日本の妖怪」一覧があったり…と、まさに水木しげるワールド全開です。

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鬼太郎列車シリーズは、
外観だけで無く車内も必見。
これは、ねこ娘列車の車内の様子。
ちなみに、鬼太郎列車シリーズは4両あり、それぞれ「鬼太郎列車」「目玉おやじ列車」「ネズミ男列車」「ねこ娘列車」となっています。通常は2両連結での運転ですので、うまくすれば往復で全列車に乗れる可能性があります。それぞれ車体だけでなく、車内も見たいところです。この画像は「ねこ娘列車」の車内ですが、天井だけでなく座席モケットにまでねこ娘がいます。他の車両もそれぞれのキャラクターが車内外で活躍しています。

ところで、鳥取県ではいま「国際まんが博」を開催中です。鳥取県には、水木しげる氏のほかに、「名探偵コナン」の作者である青山剛昌氏が鳥取県中部出身、「遙かな町へ」などの作者である谷口ジロー氏が鳥取県東部出身と、著名な漫画家を3名も排出していることから、この3氏を軸にしてのイベントです。11月25日まで、境線はもちろんのこと鳥取県内各地でさまざまな催しが開催されています。

ちなみに、このイベントを控えた5月に、まんが王国に王女様が即位されました。鳥取県のハワイ出身とテレビCMで笑いを誘ったトリンドル玲奈さんが、トットリンドル王女として即位されたのです。話題作りがうまいですよね。

掲載日:2012年09月14日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。