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- [No.H288] 大阪市営地下鉄は、民営化して Osaka Metro に
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
3社で走る京阪テレビカーとその引退 [No.H028]
先週まで、JRグループの3月ダイヤ改正関係の話題をお伝えしてきました。
でも、3月に変わるのはJRだけではありません。年度替わりとなるこの時期は、私鉄でもいろいろと動きがあります。その中でも話題となっているのが、京阪電気鉄道がテレビカーとして長年走らせてきた旧3000系の引退でしょう。
京都~大阪間では、戦前から熾烈なスピード競争が繰り広げられてきました。淀川右岸には国鉄東海道本線と阪急京都線、淀川左岸には京阪本線が走り、ほぼ並行しているため旅客を奪い合ってきたのです。競争は上質なサービスを生み出します。それが、京阪テレビカーとして登場した3000系であり、阪急の名車6300系であり、国鉄の新快速電車でした。そのなかで、曲線が多い京阪電気鉄道はスピード競争に不利でした。その分をサービスで挽回しようとして登場したのがテレビカー3000系と言われています。
1971(昭和46)年に登場した当時、料金不要の特急でありながら、全車冷暖房完備、ロマンスシートは終点で進行方向に自動転換する転換クロスシート、京都側先頭車にはカラーテレビを設置という、当時はもちろん今でも通勤車としては上質な設備をもつ車両でした。
1989(平成元)年に後継となる8000系が登場し、その後の増備により次第に数を減らしましたが、最後の1編成が1995(平成7)年に2階建て中間車を増結、全面改修工事も受けて生き延びます。さらに、2008(平成20)年には新3000系登場により異例の形式変更を行い、8000系8030番台となりました。
その京阪旧3000系は、来る3月10日(日)をもって定期運行を終了し、23,24,30,31日に特別運転をして引退すると発表されました。京阪電気鉄道の公式サイト内には、その時刻も公表されています。その特設サイト内には「いまどこ旧3000系特急車」というコーナーがあり、同車がどこを走っているかをリアルタイムで表示するサービスもあります。GPS機能を利用したサービスのようです。
その「いまどこ旧3000系特急車」のページには、「富山地方鉄道10030形」「大井川鐵道3000系」のアイコンもあります。それというのも、この両社には旧京阪3000系が譲渡され、いまも現役で走っているのです。そのため、両社のサイトにも「いまどこ10030形」「いまどこ3000系」のページがあるわけです。
両社とも、この本家旧3000系引退に合わせて、旧3000系のシンボルであるハトの特急ヘッドマークをつけた姿で走っています。これは、これまでになかったことです。
なかでも、旧3000系を8編成16両も走らせている富山地方鉄道では、ハトの特急ヘッドマークをつけた編成を京阪電気鉄道時代の塗装に戻したうえに、車内にテレビまで設置しました。テレビの位置は京阪時代の運転席上部から連結面に変わり、ブラウン管は液晶に、アナログ地上波もデジタルにと変化しています。これは時代の流れとして致し方ないことでしょう。それでも、いまの時代にテレビカーを復活させた意欲はお見事というしかないですよね。車体側面の上部には、誇らしげに「テレビカー」の文字が書かれています。
4月以降も富山地方鉄道と大井川鐵道では旧3000系の活躍が続きます。本家での今月のラストランとともに、昭和の名車両を楽しみに出かけてみるのも良いのではないでしょうか。
掲載日:2013年03月08日
でも、3月に変わるのはJRだけではありません。年度替わりとなるこの時期は、私鉄でもいろいろと動きがあります。その中でも話題となっているのが、京阪電気鉄道がテレビカーとして長年走らせてきた旧3000系の引退でしょう。
京都~大阪間では、戦前から熾烈なスピード競争が繰り広げられてきました。淀川右岸には国鉄東海道本線と阪急京都線、淀川左岸には京阪本線が走り、ほぼ並行しているため旅客を奪い合ってきたのです。競争は上質なサービスを生み出します。それが、京阪テレビカーとして登場した3000系であり、阪急の名車6300系であり、国鉄の新快速電車でした。そのなかで、曲線が多い京阪電気鉄道はスピード競争に不利でした。その分をサービスで挽回しようとして登場したのがテレビカー3000系と言われています。
1971(昭和46)年に登場した当時、料金不要の特急でありながら、全車冷暖房完備、ロマンスシートは終点で進行方向に自動転換する転換クロスシート、京都側先頭車にはカラーテレビを設置という、当時はもちろん今でも通勤車としては上質な設備をもつ車両でした。
1989(平成元)年に後継となる8000系が登場し、その後の増備により次第に数を減らしましたが、最後の1編成が1995(平成7)年に2階建て中間車を増結、全面改修工事も受けて生き延びます。さらに、2008(平成20)年には新3000系登場により異例の形式変更を行い、8000系8030番台となりました。
その京阪旧3000系は、来る3月10日(日)をもって定期運行を終了し、23,24,30,31日に特別運転をして引退すると発表されました。京阪電気鉄道の公式サイト内には、その時刻も公表されています。その特設サイト内には「いまどこ旧3000系特急車」というコーナーがあり、同車がどこを走っているかをリアルタイムで表示するサービスもあります。GPS機能を利用したサービスのようです。
その「いまどこ旧3000系特急車」のページには、「富山地方鉄道10030形」「大井川鐵道3000系」のアイコンもあります。それというのも、この両社には旧京阪3000系が譲渡され、いまも現役で走っているのです。そのため、両社のサイトにも「いまどこ10030形」「いまどこ3000系」のページがあるわけです。
両社とも、この本家旧3000系引退に合わせて、旧3000系のシンボルであるハトの特急ヘッドマークをつけた姿で走っています。これは、これまでになかったことです。
なかでも、旧3000系を8編成16両も走らせている富山地方鉄道では、ハトの特急ヘッドマークをつけた編成を京阪電気鉄道時代の塗装に戻したうえに、車内にテレビまで設置しました。テレビの位置は京阪時代の運転席上部から連結面に変わり、ブラウン管は液晶に、アナログ地上波もデジタルにと変化しています。これは時代の流れとして致し方ないことでしょう。それでも、いまの時代にテレビカーを復活させた意欲はお見事というしかないですよね。車体側面の上部には、誇らしげに「テレビカー」の文字が書かれています。
4月以降も富山地方鉄道と大井川鐵道では旧3000系の活躍が続きます。本家での今月のラストランとともに、昭和の名車両を楽しみに出かけてみるのも良いのではないでしょうか。
掲載日:2013年03月08日
●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
京阪本線を颯爽と走るその姿に、
古めかしさは感じられない。