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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


  • ひろやすの汽車旅コラム
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

E6系デビューとE5系320km/h運転開始など [No.H032]

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E6系(右)とE5系(左)の連結部分
茜色と常磐グリーンの対比が目にも鮮やかだ
車体ラインは「アローシルバー」と「はやてピンク」
3月16日にJRグループはダイヤ改正をしました。
そのなかでも特に目を惹くのが、東北・秋田新幹線でのダイヤ改正でしょう。秋田新幹線用の新型車両として、E6系がデビューしました。鮮やかな茜(あかね)色は印象的で、遠目にもすぐにE6系と判ります。東京~盛岡ではE5系「はやぶさ」と連結して最高時速300キロで走ります。従来のE3系は最高時速270キロでしたので、時速30キロの速度向上となります。この結果、東京~秋田の所要時間は最速で3時間45分となり、従来より5分の時間短縮を実現しました。
その先頭形状はE5系ゆずりの流線形で、E5系と連結して走る様子は、未来志向の高速列車というイメージです。車体色は飛雲ホワイトというE2系やE5系と同じ色です。さらに、ヘッドライト周りや車体中央の色帯には、アローシルバーと呼ばれるちょっと濃いめの銀色が使用されていて、その速さを強調しています。

東北新幹線では原則としてE5系と連結して走るため、7両編成の号車番号は東京方が11号車、秋田側が17号車となっています。そのE5系と連結する11号車がグリーン車です。E5系の連結面となる10号車は、国内最高級の列車座席サービスとして話題の「グランクラス」です。その隣、9号車がE5系のグリーン車となっています。つまり、E5系もE6系も単独では上級設備が編成端にあるのですが、東北新幹線内では17両編成のうちほぼ編成中央となる9~11号車に上級設備があることになります。
E6系使用の列車は「スーパーこまち」と命名され、従来からのE3系「こまち」と区別しています。いまは1日15往復中4往復が「スーパーこまち」ですが、車両増備が進むと、いずれ秋田新幹線は全てE6系「スーパーこまち」になる予定です。

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JR王子駅と飛鳥山をバックに走る
E6系+E5系の連結列車。
屋根上まで塗装された茜色のE6系は
遠目にもよく目立つ。
なお、同じE5系とE6系の連結編成でありながら、1日1往復だけ「やまびこ」として走る列車があります。やまびこ217号東京18:20→20:33仙台と、やまびこ204号仙台6:30→8:40東京です。この1往復は、E5系の1~5号車とE6系の普通車全席が自由席になります。「スーパーこまち」「はやぶさ」ともに全車指定席ですので、E6系に試乗してみたいと思ったときに狙い目の列車といえるでしょうか。ただし、一部車両は指定席になることもあるとのことです。

ところで、東北新幹線最速の時速300キロでデビューしたE5系「はやぶさ」ですが、3月16日のダイヤ改正から、E5系単独で走る「はやぶさ」は最高時速が320キロに引き上げられました。国内最速であり、世界的にみても現時点ではドイツのICEやフランスのTGVと並んで世界最速列車です。時速320キロで走るのは宇都宮~盛岡ですが、この結果、東京~新青森間は11分短縮の最速2時間59分となり、3時間を切りました。
また、新青森を発着する新幹線は「はやて」も含めて全てE5系に統一されました。さらに「やまびこ」「なすの」に使われるE5系もあります。このうち「はやて95,96号」「やまびこ202,204,223号」と「なすの」に使用するE5系グランクラスでは、アテンダントによる車内サービスがありません。その代わり、グランクラス利用料金が2000円安くなります。座席の快適さで利用するか、アテンダントによるフルサービスを選ぶか、ちょっと迷うところですね。
なお、今後E5系が増備されると、これまでの東北新幹線の主力車両だったE2系は、上越新幹線に転属していきます。一方、E6系も最高時速320キロで走ることが予定されています。少しずつ、しかし着実に進化を遂げる新幹線の様子は、日本らしいといえるでしょうか。東北への快適なサービスが、また一段と広がりました。


掲載日:2013年04月05日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。