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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

東京駅丸の内駅舎へ行くなら正午過ぎ [No.H054]

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辰野金吾作の名建築といわれる東京駅丸の内駅舎。
重厚なレンガ造りは、辰野金吾が得意としたもの。
戦災で2階建てになっていたが、3階建てに復元された。
東京駅丸の内駅舎の復元工事が、約5年の歳月を経て完成したのは、昨年10月2日のことでした。それに先立つ9月22,23日には、丸の内駅舎の壁面を使った完成記念イベント「TOKYO STATION VISION」が行われたことをご記憶の方も多いことでしょう。
それから間もなく1年になろうとしています。完成からしばらくは、観光名所として駅舎前やドーム型屋根の下に、大勢の人が常にいました。さすがに今は当時ほどではないとはいえ、やはり見学者は絶えません。こうしてみると、日本人にとっての東京駅は、特別な存在なのだということを改めて感じます。


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陽が低くなる11-2月の午後は、こんな陽の当たり方に。
見学者は、陽の当たっているところを探して記念撮影。
陽の当たる場所は、時とともに刻々と移動する。
その丸の内駅舎に行くなら、正午過ぎが良いということをご存知ですか? というのも、丸の内は東京駅の西側にあるので、午前中は駅舎に陽が当たらないのです。ですから、以前は午後がお勧めでした。ところが、いまは午後に行くと陰っている部分が多いときがあります。
その原因は、丸の内南口前にできた高層ビル"KITTE"です。もと中央郵便局を建て直し、オフィス棟を高層ビルにしたのですが、丸の内駅舎はその陰になってしまうのです。特に、冬場は陽が低くなるので、影が伸びてしまいます。左の写真は、昨年11月9日15時30分頃に撮影したものです。建物中央に陽が当たっていますが、その右側がKITTEの影。奥の影はKITTEの西にあるビルのものです。上の写真とは随分違いますよね。ちなみに上の写真は、今年8月14日正午過ぎの撮影です。


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KITTEガーデンからのダイナミックな眺め。
右下の影になっているところが、南の丸屋根ドーム端
丸屋根部分も、しっかりと観察することができる。
KITTEは丸の内駅舎からみてやや西側にありますので、正午過ぎから1時間くらいですが陽の当たる時間があるのです。ですから、このタイミングがお勧めというわけです。
だからといって、それ以外の時間帯に見学する価値がないということではありません。お勧めの記念撮影タイムは正午過ぎですが、眺めるだけであれば、少々影になっていても構いませんよね。それであれば、丸の内駅舎ビュースポット巡りはいかがでしょう。
丸の内駅前広場は上の写真を写したところですが、その広場から周囲を見渡すと、誰でも行ける商業施設が3つあります。北から順に、新丸ビル・丸ビル・KITTEです。新丸ビルは7階のレストラン街にテラスがついていて、自由に出入りできます。丸ビルは5階レストラン街の一角にテラスがあります。それぞれ、丸の内駅舎の全体を見下ろせる場所です。お店によっては、窓際で食事をしながら丸の内駅舎を眺められます。夕暮れ後にライトアップされた駅舎を眺めながらの会食は、大切な方と一緒に…がお勧めでしょうか。
丸ビルと新丸ビルから眺める丸の内駅舎を正統派というなら、KITTEからの眺めはダイナミックと形容すると良いでしょう。6階にある「KITTEガーデン」と名づけられたテラスに行くと、丸の内南口改札を覆う丸屋根ドームが目の前なのです。その先には、北口まで赤レンガの建物をきれいに眺められます。


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ひっきりなしに行き来するところを楽しめる、
KITTEガーデン東側からの眺め。
E5系とN700系を同時に見られるのは、東京駅だけ。
「KITTEガーデン」は建物の北東コーナーに位置していますが、行ってみると意外なほど広いです。その北側からは、前述のとおり丸の内駅舎が楽しめます。そして、東側に行くと…なんと、東京駅の構内南端を見下ろせます! 一番手前に山手線と京浜東北線、続いて東海道本線、その先にはJR東日本の新幹線・JR東海の新幹線と続いています。いずれも列車本数が多いことで知られる路線ですので、通勤時間帯はもちろんのこと、日中でもひっきりなしに行き来する列車が見られるのは嬉しいところです。丸の内駅舎の眺めが大人向けであれば、こちらは家族向けでしょうか。眺め疲れたら、同フロアに飲食店がありますので、すぐに休憩もできます。
ショッピング・食事と兼ねて鉄な活動もできる東京駅丸の内界隈へ、秋晴れの日に出かけてみてはいかがでしょうか。


掲載日:2013年09月06日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。