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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
大胡電車庫で古豪に親しむ 上毛電気鉄道 [No.H062]
上毛電気鉄道に行かれたことはありますか?
群馬県東部に位置する赤城山の南麓、中央前橋~西桐生の25.4kmを結ぶ電気鉄道です。1928(昭和3)年に開業して以来の施設等が多く残り、それを観光資源にしようと今動いている、注目の鉄道会社です。
その車両保守の中枢部は、路線中ほどにある大胡(おおご)駅に隣接する大胡電車庫にあります。創業時からの木造庫は、見るからに歴史を感じさせる存在感のある建物で、国の登録有形文化財となっていることが納得できます。そこに、これまた創業時に新製された上毛電気鉄道生え抜きのデハ101もいて、大事に動態保存されています。
以前から、その様子をひと目見ようと、鉄道好きは大胡詣でをしていました。嬉しいことにその大胡電車庫を、今年の春から見学させていただけるようになりました。それも、何らかの都合がない限り、予約することで13~15時であれば毎日OK! 30分くらい、工場関係者が説明しながら案内して下さるのです。予約は、同社本社に電話(027-231-3597)もしくは電子メール(https://jomorailway.com/script/mailform/joden/)でできます。また、当日は構内入場料として170円が必要ですが、大胡電車庫の硬券入場券と記念台紙がいただけます。
見学予約をした当日、大胡駅を出て左に向かい、線路沿いに歩くと1分で大胡電車庫に着きます。事務所で簡単な案内をお聞きしたあと、すぐに電車庫見学がはじまります。敷地外から遠巻きに見るだけだった木造庫を間近に眺め、さらに庫内へと案内していただきます。デハ101や整備中の電車が留置されている車庫内で、まず案内されるのは工作室です。旋盤やグラインダーなどが、作業しやすいように並べられていることが判ります。ベルト駆動式の機械が多いことから、各機械から駆動ベルトが天井に伸びています。これらが稼動状態になっているところも、価値が高いところです。ちなみに、モーターは開業当初からのもので、一度も交換したことがないそうです。
動態保存されているデハ101や、復元作業中のデハ104も車内まで案内していただけます。また、予備部品を展示してあるコーナーもありますが、工作室とともに説明書きがあって、理解し易くなっています。さらに、下野電気鉄道(現・東武鬼怒川線)で活躍し、最近まで銚子電鉄で活躍していた雨宮製作所製デ103号の台車や、東武鉄道の名特急車5700系の台車もこの電車庫内に保存されていて、見学することができます。
電車庫内の見学後には、庫外に静態保存されている車両の見学です。凸型電気機関車は、東京横浜電鉄(現・東急電鉄)東横線で活躍した、1929(昭和4)年川崎車輌製のデキ3021。2軸貨車は、東武鉄道佐野線で生石灰輸送に使われた1928(昭和3)年日本車輌製のテ241。現役引退後は、七光台研修区構内で物置として使われていたそうです。ともに、電車庫やデハ101と同世代の車両ですね。とてもきれいに整備されていて、関係者の力の入れようが感じられます。
これで見学はお終いかと思ったら、さらに留置線の傍らにあるプレハブの資料館に案内されました。中に入ってみると、上毛電気鉄道ゆかりの部品がぎっしり! 中には、いまも通電ができる水銀整流器まであります。この資料館は、今春に見学を受け付けるにあたってわざわざ新設されたそうです。
わずか30分程度とは思えない、実に充実した見学ができました。お話しを伺ったところ、この日に説明をしてくださった織田哲雄さんをチーフとしたスタッフ4名が、毎日ミーティングを開いては案内方法を改善されてきた結果だということです。沿線に主だった観光地がないから、上毛電気鉄道そのものを観光地にするのだという意気込みが伝わってくる電車庫見学でした。
この上毛電気鉄道では、来る11月10日(日)に開業85周年記念イベントとして、「頑張るぐんまの中小私鉄フェア2013」を開催します。会場は、この大胡電車庫と、東の起点となる西桐生駅です。大胡電車庫は9:30~15:00に公開しますので、予約なしでも見学ができます。また、当日はデハ101の臨時運行や電気機関車試乗会などもあります。デハ101の時刻は次の通りで、乗車が可能です。
大胡09:51→10:27西桐生10:55→11:52中央前橋12:00→12:18大胡
大胡13:51→14:27西桐生14:55→15:52中央前橋16:00→16:18大胡
詳しくは、上毛電気鉄道のホームページ(https://www.jomorailway.com/index.html)内にある「イベント」→「大胡電車庫イベント」をご覧下さい。
なお、上毛電気鉄道へのアクセスは、次の3箇所からとなります。
中央前橋駅は、JR両毛線前橋駅から電車に接続する形でシャトルバスが走っています。運賃はわずか100円。ダブルルーフの古い路面電車形のウッディなバスで、乗るだけで楽しくなります。一方、西桐生駅は、JR両毛線の桐生駅から徒歩約5分の位置にあります。また、東武鉄道の特急「りょうもう」で赤城駅へ行き、同駅で乗り換える手もあります。秋の一日、お出かけになってみてはいかがでしょうか。
掲載日:2013年11月01日
群馬県東部に位置する赤城山の南麓、中央前橋~西桐生の25.4kmを結ぶ電気鉄道です。1928(昭和3)年に開業して以来の施設等が多く残り、それを観光資源にしようと今動いている、注目の鉄道会社です。
その車両保守の中枢部は、路線中ほどにある大胡(おおご)駅に隣接する大胡電車庫にあります。創業時からの木造庫は、見るからに歴史を感じさせる存在感のある建物で、国の登録有形文化財となっていることが納得できます。そこに、これまた創業時に新製された上毛電気鉄道生え抜きのデハ101もいて、大事に動態保存されています。
以前から、その様子をひと目見ようと、鉄道好きは大胡詣でをしていました。嬉しいことにその大胡電車庫を、今年の春から見学させていただけるようになりました。それも、何らかの都合がない限り、予約することで13~15時であれば毎日OK! 30分くらい、工場関係者が説明しながら案内して下さるのです。予約は、同社本社に電話(027-231-3597)もしくは電子メール(https://jomorailway.com/script/mailform/joden/)でできます。また、当日は構内入場料として170円が必要ですが、大胡電車庫の硬券入場券と記念台紙がいただけます。
見学予約をした当日、大胡駅を出て左に向かい、線路沿いに歩くと1分で大胡電車庫に着きます。事務所で簡単な案内をお聞きしたあと、すぐに電車庫見学がはじまります。敷地外から遠巻きに見るだけだった木造庫を間近に眺め、さらに庫内へと案内していただきます。デハ101や整備中の電車が留置されている車庫内で、まず案内されるのは工作室です。旋盤やグラインダーなどが、作業しやすいように並べられていることが判ります。ベルト駆動式の機械が多いことから、各機械から駆動ベルトが天井に伸びています。これらが稼動状態になっているところも、価値が高いところです。ちなみに、モーターは開業当初からのもので、一度も交換したことがないそうです。
動態保存されているデハ101や、復元作業中のデハ104も車内まで案内していただけます。また、予備部品を展示してあるコーナーもありますが、工作室とともに説明書きがあって、理解し易くなっています。さらに、下野電気鉄道(現・東武鬼怒川線)で活躍し、最近まで銚子電鉄で活躍していた雨宮製作所製デ103号の台車や、東武鉄道の名特急車5700系の台車もこの電車庫内に保存されていて、見学することができます。
電車庫内の見学後には、庫外に静態保存されている車両の見学です。凸型電気機関車は、東京横浜電鉄(現・東急電鉄)東横線で活躍した、1929(昭和4)年川崎車輌製のデキ3021。2軸貨車は、東武鉄道佐野線で生石灰輸送に使われた1928(昭和3)年日本車輌製のテ241。現役引退後は、七光台研修区構内で物置として使われていたそうです。ともに、電車庫やデハ101と同世代の車両ですね。とてもきれいに整備されていて、関係者の力の入れようが感じられます。
これで見学はお終いかと思ったら、さらに留置線の傍らにあるプレハブの資料館に案内されました。中に入ってみると、上毛電気鉄道ゆかりの部品がぎっしり! 中には、いまも通電ができる水銀整流器まであります。この資料館は、今春に見学を受け付けるにあたってわざわざ新設されたそうです。
わずか30分程度とは思えない、実に充実した見学ができました。お話しを伺ったところ、この日に説明をしてくださった織田哲雄さんをチーフとしたスタッフ4名が、毎日ミーティングを開いては案内方法を改善されてきた結果だということです。沿線に主だった観光地がないから、上毛電気鉄道そのものを観光地にするのだという意気込みが伝わってくる電車庫見学でした。
この上毛電気鉄道では、来る11月10日(日)に開業85周年記念イベントとして、「頑張るぐんまの中小私鉄フェア2013」を開催します。会場は、この大胡電車庫と、東の起点となる西桐生駅です。大胡電車庫は9:30~15:00に公開しますので、予約なしでも見学ができます。また、当日はデハ101の臨時運行や電気機関車試乗会などもあります。デハ101の時刻は次の通りで、乗車が可能です。
大胡09:51→10:27西桐生10:55→11:52中央前橋12:00→12:18大胡
大胡13:51→14:27西桐生14:55→15:52中央前橋16:00→16:18大胡
詳しくは、上毛電気鉄道のホームページ(https://www.jomorailway.com/index.html)内にある「イベント」→「大胡電車庫イベント」をご覧下さい。
なお、上毛電気鉄道へのアクセスは、次の3箇所からとなります。
中央前橋駅は、JR両毛線前橋駅から電車に接続する形でシャトルバスが走っています。運賃はわずか100円。ダブルルーフの古い路面電車形のウッディなバスで、乗るだけで楽しくなります。一方、西桐生駅は、JR両毛線の桐生駅から徒歩約5分の位置にあります。また、東武鉄道の特急「りょうもう」で赤城駅へ行き、同駅で乗り換える手もあります。秋の一日、お出かけになってみてはいかがでしょうか。
掲載日:2013年11月01日
●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
1928(昭和3)年の上毛電気電鉄開業時からの車庫で、
同年製造のデハ101とともに見学ができるのが嬉しい。