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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
富士山登山に水族館も楽しめる!? 上毛電気鉄道 [No.H063]
前回ご紹介した上毛電気鉄道について、今回はその乗り歩き方、楽しみ方をご紹介します。
同鉄道には、登録有形文化財が12件あります。
最初に登録されたのは、東の起点となる西桐生駅で、駅舎とプラットホーム上屋の2件です。1928(昭和3)年の開業当時のままの姿で、当時、いかに力を入れて造った駅舎かが感じられます。駅舎内もよく残されていて、改札口付近の物置台の台座や窓枠などに、装飾が施されていることなども見て取れます。運賃表・発車時刻表なども昭和の鉄道を感じさせる標記にしているところも、好感が持てます。
続いて登録されたのは、前回ご紹介した大胡電車庫とその周囲の計8件です。電車庫そのものはもちろんのこと、大胡駅舎や近くにある大胡変電所、それに鉄塔類、さらには西桐生側にある荒砥川橋梁も登録有形文化財となりました。
その後、富士山下~丸山下間の渡良瀬川橋梁と、粕川~新屋間の粕川橋梁も登録有形文化財となり、12件となりました。
登録有形文化財となった3つの橋梁のなかでは、渡良瀬川橋梁が特に見物でしょう。堂々とした7脚の鉄筋コンクリート製橋脚があり、橋梁長は157.280mと沿線最長です。電車は18m車の2両編成ですので、編成全体で橋脚3脚分しかありません。
この渡良瀬川橋梁を前橋中央側に渡り終えたところに、富士山下駅があります。駅名は「ふじやました」と読みます。すぐ駅前に富士山があるのですが、その山頂の標高はなんとわずかに162m! 本家の3,776mとは比べものになりませんが、その山頂には世界文化遺産となった富士山と同じく、浅間神社の祠があります。漢字圏の外国人が、駅名をみてここに富士山があると勘違いして訪れたという実話があり、地元では大いに話題となったそうです。その富士山に"登山"をすると、途中で桐生市内を一望できる場所もありますので、話のネタに訪れるのも良いのではないでしょうか。
富士山下駅に行くならば、渡良瀬川橋梁寄りすぐにある踏切にも注目して下さい。いまや珍しくなったアナログ式の警報機が現役なのです。カンカンカン!という甲高い音には、郷愁すら感じます。また、その踏切道の入口は随分と狭くて、キャリーバックを引っ張って渡ることは難しいほどです。安全確認をしたうえで、渡ってみて下さいね。
上毛電気鉄道の電車は、先回紹介したデハ101を除くと、もと京王電鉄3000系の700形ばかりです。ただし、8編成すべての先頭車窓周りが異なる色となっていて、虹色ならぬ8色が楽しめます。
そのうちの1編成は、"走る水族館"となっています。群馬県には海がないので、電車の内外に海の生き物を約100種類も描いて、水族館としたそうです。生物多様性と水環境の保護を学ぶことを目的にした…と、理屈はなんだか堅苦しいですけど、実際に乗ってみるとなかなか楽しいです。なんといってもインパクトがありますし、図鑑のようにきれいに描かれているので、一つ一つをじっくり見たくなります。でも、じっくり見ていたら、何往復もしてしまいそうです。実際、お子さんやお孫さんを連れて、乗りに来られる方もおいでになるということです。
そんな乗り方をするには、フリーきっぷが便利です。通年発売しているのは、「赤城南麓1日フリー切符」で、大人1,300円、小児650円です。西桐生~中央前橋の全線を乗り通すと660円ですので、往復するよりお得です。西桐生~大胡は600円ですので、富士山下に寄って往復するなら、このフリー切符がお得になります。
さらに、今年11月30日までの土休日に訪れるなら、"第20回鉄道の日&開業85周年記念「ワンデーフリーパス」"が発売されていて、大人1,000円、小児500円とお得です。また、群馬県内の他の鉄道も利用するなら、12月31日まで群馬県内のJRで発売している、上毛・上信・わたらせ渓谷のほか、群馬県内のJR、東武鉄道も利用できる「ぐんまワンデーパスSP」大人1,900円、小児950円と「ぐんまツーデーバスSP」大人3,600円、小児1,800円もありますよ。
掲載日:2013年11月08日
同鉄道には、登録有形文化財が12件あります。
最初に登録されたのは、東の起点となる西桐生駅で、駅舎とプラットホーム上屋の2件です。1928(昭和3)年の開業当時のままの姿で、当時、いかに力を入れて造った駅舎かが感じられます。駅舎内もよく残されていて、改札口付近の物置台の台座や窓枠などに、装飾が施されていることなども見て取れます。運賃表・発車時刻表なども昭和の鉄道を感じさせる標記にしているところも、好感が持てます。
続いて登録されたのは、前回ご紹介した大胡電車庫とその周囲の計8件です。電車庫そのものはもちろんのこと、大胡駅舎や近くにある大胡変電所、それに鉄塔類、さらには西桐生側にある荒砥川橋梁も登録有形文化財となりました。
その後、富士山下~丸山下間の渡良瀬川橋梁と、粕川~新屋間の粕川橋梁も登録有形文化財となり、12件となりました。
登録有形文化財となった3つの橋梁のなかでは、渡良瀬川橋梁が特に見物でしょう。堂々とした7脚の鉄筋コンクリート製橋脚があり、橋梁長は157.280mと沿線最長です。電車は18m車の2両編成ですので、編成全体で橋脚3脚分しかありません。
この渡良瀬川橋梁を前橋中央側に渡り終えたところに、富士山下駅があります。駅名は「ふじやました」と読みます。すぐ駅前に富士山があるのですが、その山頂の標高はなんとわずかに162m! 本家の3,776mとは比べものになりませんが、その山頂には世界文化遺産となった富士山と同じく、浅間神社の祠があります。漢字圏の外国人が、駅名をみてここに富士山があると勘違いして訪れたという実話があり、地元では大いに話題となったそうです。その富士山に"登山"をすると、途中で桐生市内を一望できる場所もありますので、話のネタに訪れるのも良いのではないでしょうか。
富士山下駅に行くならば、渡良瀬川橋梁寄りすぐにある踏切にも注目して下さい。いまや珍しくなったアナログ式の警報機が現役なのです。カンカンカン!という甲高い音には、郷愁すら感じます。また、その踏切道の入口は随分と狭くて、キャリーバックを引っ張って渡ることは難しいほどです。安全確認をしたうえで、渡ってみて下さいね。
上毛電気鉄道の電車は、先回紹介したデハ101を除くと、もと京王電鉄3000系の700形ばかりです。ただし、8編成すべての先頭車窓周りが異なる色となっていて、虹色ならぬ8色が楽しめます。
そのうちの1編成は、"走る水族館"となっています。群馬県には海がないので、電車の内外に海の生き物を約100種類も描いて、水族館としたそうです。生物多様性と水環境の保護を学ぶことを目的にした…と、理屈はなんだか堅苦しいですけど、実際に乗ってみるとなかなか楽しいです。なんといってもインパクトがありますし、図鑑のようにきれいに描かれているので、一つ一つをじっくり見たくなります。でも、じっくり見ていたら、何往復もしてしまいそうです。実際、お子さんやお孫さんを連れて、乗りに来られる方もおいでになるということです。
そんな乗り方をするには、フリーきっぷが便利です。通年発売しているのは、「赤城南麓1日フリー切符」で、大人1,300円、小児650円です。西桐生~中央前橋の全線を乗り通すと660円ですので、往復するよりお得です。西桐生~大胡は600円ですので、富士山下に寄って往復するなら、このフリー切符がお得になります。
さらに、今年11月30日までの土休日に訪れるなら、"第20回鉄道の日&開業85周年記念「ワンデーフリーパス」"が発売されていて、大人1,000円、小児500円とお得です。また、群馬県内の他の鉄道も利用するなら、12月31日まで群馬県内のJRで発売している、上毛・上信・わたらせ渓谷のほか、群馬県内のJR、東武鉄道も利用できる「ぐんまワンデーパスSP」大人1,900円、小児950円と「ぐんまツーデーバスSP」大人3,600円、小児1,800円もありますよ。
掲載日:2013年11月08日
●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
上毛電気鉄道初の登録有形文化財となった。
左手に見えるホーム上屋も登録有形文化財だ。