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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

トンネル駅を楽しむ…北陸本線・筒石駅 [No.H065]

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対向式ホームがある本格派のトンネル駅
上りと下りのホーム位置がずれているのも特徴
列車が進入してくると、神秘的な雰囲気となる。


今年7月26日付でトンネル駅を楽しむ…ほくほく線・美佐島駅をご紹介しました。当時、日本のトンネル駅は7駅あったのですが、そのうち青函トンネル内にある吉岡海底駅は2006年8月から休止中で、竜飛海底駅も今月11日から休止となり、ともに来年3月に廃止されることが決まりました。つまり、いま誰でも行けるトンネル駅は、次の5駅となったわけです。
1. 野岩鉄道 会津鬼怒川線 湯西川温泉駅
2. JR東日本 上越線 湯檜曾駅
3. JR東日本 上越線 土合駅
4. 北越急行 ほくほく線 美佐島駅
5. JR西日本 北陸本線 筒石駅
このうち4.を上述の通り前回紹介したので、今回は5.をご紹介します。
筒石駅は、新潟県の直江津駅から富山方面に18.4kmいったところにあります。北陸本線は米原からはじまり直江津で信越本線と合流して終わりますので、その東端に近い駅ともいえます。北陸本線ですから複線電化されていて、特急列車や貨物列車が走っています。ただし、筒石駅は普通列車しか停まりません。

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この14本が、停車する下り列車のすべて。
午前9:18からは2時間にわたって停車する列車が無い。
ホームが狭いので、注意書きがある。
列車が到着すると、ホーム上に一箇所ある扉付きの出入口からホームに面した待合室に出るのは、ほくほく線の美佐島駅と同じです。異なっているのは、列車到着前でもホームに出られること。美佐島駅は、ホームに列車が到着したときに扉の鍵が開いて、ホームに出られました。誰もいない駅で、列車が入線してきたのにホームに出られないのは、本当に乗れるのかな? という一抹の不安を感じるものですが、筒石駅ではその心配がありません。でも、乗車列車の前に特急や貨物列車が通過すると、かなりの風圧を受けることになるので、ホームの壁側に寄るようにとの注意書きが時刻表に記されています。
列車は左の写真のとおり、1~1.5時間に1本程度です。ただし、直江津方面だと午前9時18分の次が2時間後の午前11時18分と2時間も空きます。それだけに、訪問前に時刻表を調べて訪れることをお勧めします。


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駅ホームから3階折れ曲がって地上の駅舎へ。
上りホームは280段、下りホームは290段の階段がある
湿気が多いので、通路の奥が霞んでいる。
駅ホームすぐの待合室からは階段があります。それを登ると、緩い坂道。さらに階段を登ってようやく地上の駅舎に到着します。この緩い坂道は約100mあり、途中50m付近に直江津方面のホームに降りる階段、最後まで行くと富山方面のホームに降りる階段があるといった具合です。その坂道を挟んで、階段数は富山方面の上りが280段、直江津方面の下りが290段もあるため、列車を降りてから駅舎までは5-10分もかかります。
ところで、ホームと駅舎がこれほど遠いものの、筒石駅は有人駅で、列車が通過する度に駅員さんは安全確認のためにこの階段を上り下りされています。ご苦労様なことです。そのお陰で駅舎での窓口業務もあり、きっぷを購入できます。「青春18きっぷ」の「赤券」と呼ばれる赤地の紙製が買えることで知られる駅でもあり、同きっぷ発売直後の週末には大勢の方が押し寄せて、売り切れてしまうほどの人気です。
なお、2015年春に北陸新幹線が金沢まで延伸される予定ですが、延伸されると新潟県内の北陸本線糸魚川~市振間60.3kmは、並行在来線として第三セクター鉄道えちごトキめき鉄道となることが決まっています。

■トンネル駅「美佐島駅」を訪れるツアー
2013年12月1日(日)出発限定
 鉄道好き有名人と行く!試験走行列車イースト・アイ歓迎セレモニー&北越急行 時速160km 体感の旅


掲載日:2013年11月22日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。