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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


  • ひろやすの汽車旅コラム
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

日本最長距離のトワイライトExpが来春で運行を終了 [No.H092]

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数々の名場面を楽しめる寝台特急「トワイライトエクスプレス」は、国内最長の1495.7kmを22時間強かけて走る。
日本でもっとも長い距離を、もっとも時間をかけて走る寝台特急として知られている「トワイライトエクスプレス」が、来年(2015年)春に運行を終了することが発表されました。

寝台特急「トワイライトエクスプレス」の運行終了について

大阪を11:50に発車して日本海に沿って走り、深夜に青函トンネルを通過すると、翌朝は北海道です。その札幌着は翌朝9:52ですから、所要は22時間2分。逆方向の札幌発は14:05で、大阪着は12:53と所要が22時間48分です。つまり、ほぼまる一日を列車内で過ごすことになる列車です。それも、関西~北陸と北海道内を明るい時間帯に走るようになっています。
飛行機が発達した今日でも、こののんびりゆったりの寝台列車の旅はファンが多く、最高級のA寝台2名用スイートや同1名用ロイヤルは、走りはじめてから今日まで常に予約が難しいと評判です。筆者も同列車はこれまでに何度利用したか判りませんが、14年前に幸運が重なってスイートを利用する機会に恵まれたものの、ロイヤルは未だに乗れないでいます。
そんなあこがれの列車ですが、車両の老朽化には抗しがたく、さらに青函トンネルが再来年から北海道新幹線に使われるようになるため、今後、その検査などがはじまることもあり、運行終了を決めたということです。

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トワイライトエクスプレスは函館に寄らず、五稜郭駅で折り返す際に機関車交換をする。手前がDD51重連、奥にED79が見える。
「トワイライトエクスプレス」は客車列車ですから、機関車が牽引します。本州内は冒頭の写真にあるトワイライト専用色のEF81が担当です。青森からは青函トンネルのためにED79に交代しますが、同機の牽引は五稜郭までです。上野発の「カシオペア」「北斗星」は、五稜郭の先にある函館までいって旅客の乗降扱いをし、その間に機関車を交換しますので、函館観光を考えるのであれば要注意です。その北海道内では、DD51重連が牽引します。左の写真は、五稜郭でED79からDD51に交代するところを撮ったものです。
DD51は国鉄時代に幹線の蒸気機関車を廃止させる立役者として活躍しましたが、いまや定期列車を牽引するのは、「北斗星」を牽引するJR北海道所属機と、三重県の四日市関連の貨物列車を牽引するJR貨物所属機だけとなりました。そんなDD51牽引ということでも、「トワイライトエクスプレス」は「北斗星」「カシオペア」とともに貴重な客車列車といえましょう。



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食堂車ダイナープレヤデスでは、道内限定販売のビールとして人気の「サッポロクラシック」生が味わえる。
長い汽車旅では、車窓とともに楽しみなのが飲食でしょう。なかでも、食堂車は寝台車とともに非日常性が濃い、思い出に残る楽しみといってよいでしょう。「トワイライトエクスプレス」には、「ダイナープレヤデス」という食堂車が連結されています。ディナータイムとモーニングタイムの2食を楽しめるほか、ディナータイム後にはパブタイムもあります。さらに、大阪発にはいまや寝台列車では唯一のランチタイムがあり、札幌発にはティータイムがあります。
ディナータイムは事前予約制、モーニングタイムは車内での予約制ですが、それ以外は自由に利用できます。長時間の乗車ですから、単調になりがちな時間帯に食堂車やフリースペースのサロンカーで気分転換をすることは、「トワイライトエクスプレス」の旅をより楽しむコツです。折角の乗車機会ですから、うまく活用したいものですね。そのダイナープレヤデスでは、北海道限定ビールとして評判の「サッポロクラシック」を飲むことができます。それも、生で。ビール好きには、これも外せないポイントでしょう。

運行終了が発表された「トワイライトエクスプレス」は、来年3月に予定されているダイヤ改正まで、次第に人気が盛り上がっていくものと予想されます。それだけに、お名残乗車をするなら、早めの方が予約をしやすいと思われます。廃止直前は冬ですから、毎年気象条件による運休が避けられないシーズンでもあります。その点でも、今秋までに乗っておきたいところですよね。




掲載日:2014年06月13日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。