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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


  • ひろやすの汽車旅コラム
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

電車に"くまモン"、町中にはタヌキ、の県庁所在地 [No.H093]

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くまモンラッピングの電車が走るのは、熊本電気鉄道。正面右上に赤い字で「efWING」との表示がある。
人気のゆるキャラの中でも、とりわけ人気が高いのが熊本県のご当地キャラ"くまモン"でしょう。もう知らない人はいないというほど認知度が高まり、熊本県に行くとくまモング ッズを実に多く見かけます。そんな熊本県の県庁所在地である熊本市内から、北東に隣接する合志(こうし)市御代志までの約10キロを結ぶ熊本電気鉄道に、今年3月14日から 「くまモン電車」が登場しました。右の写真のとおり、くまモンのラッピングをした電車です。
筆者が訪れたときは生憎の雨模様でしたが、にこやかな表情をしたくまモンが近付いてくるだけで、つい頬が緩みます。車両はもと東京都交通局の6000系で、6221A-6228Aの2両編成 です。同系の車両は5編成在籍していますが、そのうちこの編成だけが"くまモン電車"となっています。その正面右上には「efWING」という赤い字がみられます。


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世界初の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)をフレームに使った「efWING」台車。バネの役割も果たす。
この"くまモン電車"は、単に人気取りのためにラッピングされたものではありません。台車フレームとバネに、世界で初となる炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を使用しているのです。
強化プラスチック(FRP)は古くから多用されていますが、それを炭素繊維にしたのが、CFRPです。Carbon(炭素)の"C"が頭についたわけですね。軽くて丈夫なため、近年、航空機にも採用されていますが、その技術をリードしているのは日本のメーカーです。その技術を、川崎重工が鉄道車両用の台車に応用し、実用化第一号として熊本電気鉄道の車両に取り付 けた次第です。
左の写真がその台車部分ですが(すみません、ブレてます…)、斜め上方左右に赤色の線が伸びていますよね。これがCFRPの部分だそうです。台車枠であるとともに、軸箱の上にかかっていて、バネの役割も果たしていることが判ります。この台車をはいた車両であることが誰にでも判るようにと、車体にくまモンラッピングをしたのだそうです。
なお「efWING」台車は、今年4月に日刊工業新聞社主催の第43回日本産業技術大賞「文部科学大臣賞」を受賞したそうです。



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狸の親子が拳をあげる、ユーモラスな像がある洗馬橋電停。肥後の手まり唄にでてくる熊本の船場山にいるタヌキだ。
熊本に行ったら、熊本市内でもう一箇所寄りたいところがあります。熊本市電B系統にある洗馬橋(せんばばし)電停です。「あんたがたどこさ…」ではじまる肥後の手まり唄にでてくる「せんばやまにはタヌキがおってさ」は、この洗馬橋電停付近の小高い山…つまり熊本城の南端あたりと言われています。そのため、電車が近付くと、肥後の手まり唄のメロ ディーが流れます。
タヌキの像の台座には、肥後の手まり唄の歌詞が刻まれています。向かって右側には「肥後手まり唄顕彰会」名の立て札があり、この像を「ふれあい親子狸」と案内しています。さ らにその傍らには、ご丁寧に石造りの狸地蔵もあります。熊本見学のついでに寄れば、話のネタになりますよ。
ちなみに、近くの橋は船場橋、対岸の地名は船場町なので、電停名とは漢字が異なっています。




掲載日:2014年06月20日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。