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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


  • ひろやすの汽車旅コラム
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

本州最北端のJR駅「三厩駅」付近を楽しむ [No.H107]

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三厩駅は、JR線の本州最北端の駅。左は定期列車、右は快速「リゾートあすなろ」。
9月12日公開の「日本一低い駅へ行く、本州最北端の鉄道線 [No.H105]」の文末で、アクセスはJR東日本の津軽線三厩(みんまや)駅で接続している三厩地区循環バスを利用と記しました。とはいえ、津軽線は極端に列車本数の少ない路線ですし、週末運転の「リゾートあすなろ」を利用しても約1時間10分強かかるところです。その三厩駅からさらにバスで30分の地ですので、折角行くなら近くの見どころを回ってきたいですよね。
そこで今回は、三厩駅に行ったなら立ち寄りを検討したいところをご紹介します。
まずは、快速「リゾートあすなろ」です。これは三厩駅までの足ですが、指定席券520円で快適な旅を楽しめるので、お勧めです。ただし、観光シーズンの週末だけの走行です。さらに、走る日でも一往復だけなので、往復乗車すると青函トンネル記念館まで往復するだけになってしまいますから、要注意です。往復どちらかに蟹田駅乗換で特急を利用するのが現実的でしょう。自由席特急料金は510円ですから、「リゾートあすなろ」利用と費用面でもほぼ変わらないわけです。



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日本で唯一、階段が国道となっている国道339号線。看板にも「階段国道」と書いてある。
青函トンネル記念館の見学が済んだら、少し歩いてみましょう。竜飛岬方向に1キロ弱進むと、国道339号線がとつぜん国道でなくなるところがあります。あれ?と思うと、右手に国道の看板があるのですが、そこにあるのは階段…?すぐ横に「階段国道」の看板があります。そう、ここが日本で唯一、階段が国道に指定されている通称「階段国道」です。晴れていれば、ここから津軽海峡の先に北海道が見られます。
ここから竜飛岬までは300mほどですので、時間があれば見学して戻ってくるとよいでしょう。その後、階段国道を降りていくと、やがて人家の玄関口のような所を通って海岸に出ます。全長388.2m、362段、標高差約70mということで、下から登ると息が切れますが、降りるだけならさほど苦になりません。階段を降りきったところが竜飛漁港で、三厩駅からのバスはこの漁港にも寄ります。階段国道を再度登ることもなく、ここでバスを待てばよいわけです。
なお、竜飛岬は竜が飛ぶほど風が強いとして名づけられた地名だそうです。それほどの場所ですから、冬場や気圧配置が芳しくないときには、近寄らない方が無難でしょう。



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青函トンネルの青森方の入口は、青函トンネル入口広場として整備され、誰でも安全に見られる。
三厩駅から少し青森方向に戻ったところには、青函トンネルの青森側入口があります。ふきんは青函トンネル入口広場として整備され、誰もが安全に青函トンネルに出入りする列車を見られます。定期列車の通過予定時刻も掲示してあるので、とても便利です。いまは特急列車と貨物列車ばかりですが、今冬からは北海道新幹線の試運転もはじまりますので、来年の暖かくなる頃には、運転士の訓練運転の様子が見られるようになっていることでしょう。トンネル入口の上部には「青函隧道」の扁額が掲げられていますが、竣工時の首相だった中曽根氏の字だそうです。
その青函トンネル入口広場までは、三厩駅から約2.5kmとちょっと離れていますが、駅前に常住するタクシーを使えばすぐに着きます。同公園からは、三厩駅の次となる津軽浜名駅まで約2キロです。歩いて30分ほどですが、タクシーを呼んで三厩駅まで戻るのも良さそうです。車があるなら、広場には十分な駐車場が用意されていますので、安心して行くことができます。

このほか、竜飛岬と三厩駅の途中には、源義経が平泉から逃れてこの地に来た際、奇岩で三日三晩祈願したところ、三頭の馬が現れて渡道できたと伝えられる、三厩の地名の由来となった岩があります。また、その丘の上には義経寺(ぎけいじ)もあります。車できたなら、ここに寄るのも良いでしょう。




掲載日:2014年09月26日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。