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- [No.H288] 大阪市営地下鉄は、民営化して Osaka Metro に
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
亀の頭が駅舎から飛び出している、津山線亀甲駅 [No.H121]
明けましておめでとうございます。
本年も、今回から毎週金曜日に、さまざまな鉄道の話題を紹介していきます。どうぞよろしくお願いします。
古くから、鶴は千年・亀は万年といわれるように、鶴と亀は縁起の良い長寿の象徴とされていますよね。年始ということで、そんな亀の話題を今回いたします。
岡山駅から北へ津山まで延びる津山線58.7kmのうち、岡山駅から49.1kmと津山に近いところに位置する亀甲駅についてです。この駅名、「かめのこう」と読みます。ところが、地名は美咲町原田。駅前の道を真っ直ぐに歩くと、わずか100mほどで三咲町役場があります。つまり、亀甲という地名ではないのです。
でも、駅舎は写真を見てわかる通り、亀の頭が飛び出したユニークなものです。その亀の目が時計になっているのは、いかにも駅舎らしい工夫ですよね。
ちなみに、駅名は津山線を当初に開通させた中国鉄道の時代から亀甲駅だそうです。明治33年の開通ですから、当時から地名とならんで亀甲がこの地を指していたことが伺えます。
亀甲駅から三咲町役場に行く間に、町を貫く昔からの道路があります。その道路を右折してすぐの三叉路に三咲町役場バス停があり、その待合室を兼ねた「ふれあい亀太郎ロビー」というトイレ併設の公共施設があります。この建物からも、亀の頭が… それも、親亀の上に小亀が乗った状態です。
左の写真は、その頭が出ている方を写していますが、反対側の側面には、尻尾がでています。けっこう、芸が細かいんですよね(笑)
では、どうしてこんなにも亀を町おこしに使っているのでしょう。それも、駅名からして地名に根ざしているわけではない、不思議なことです。その答えは、駅舎に掲げられた案内板に記してありました。昔、行き倒れた巡礼者を村人がねんごろに葬ったところ、そこから大きな岩がでてきたそうです。その形は亀の甲羅に似ていて、弘法大師の尊像を載せていたというのです。
このことから、地元では地域興しとして亀をモチーフにしたモニュメントを設置するなどの対応を進めているそうですが、その象徴となっているのが亀甲駅舎で、平成7年に造られているそうです。
その謂われの元になった亀甲岩ですが、これも駅や町役場から遠くありません。ちょっと判りにくい場所で、案内看板も判りにくいので、駅にいる委託の駅員さんに道を聞くのが確実です。筆者も自力で見つけようとしたものの、判らず、駅員さんに教えてもらいました。駅から約250mですので、徒歩5分もかからないところです。
見ると、たしかに周囲と違和感のある岩が隆起しています。その頂にはこれまた不自然な岩が載っています。これが弘法大師像でしょうか。岩の後ろには祠もあり、地元で丁重に祀っているようです。
ところで、冒頭の写真で、ホームにはためいている黄色いのぼり旗に気付きましたか? 「たまごかけごはん」と書いてあります。数年前に大いに話題となった「たまごかけごはん」ですが、その発信地がここ美咲町なのです。亀甲駅から700mほどのところにある中央運動公園内に平成20年1月「食堂かめっち。」がオープンし、ここで年末年始を除く毎日食べられます。食堂名も、やっぱり亀なんですね。シンプルなメニューなので、黄福(こうふく)定食がわずか350円というのもうれしいです。亀を楽しみ、そして、たまごかけごはんを楽しむ寄り道はいかがでしょう?
ところで、黄福定食の「黄福」であれ? と思われた方はいられませんか? 当コラムの昨年11月14日付で取りあげた「動態保存の片上鉄道で、線路が延長されて新駅も開業」で、延伸開業した駅名が「黄福柵原駅」でした。実は、元片上鉄道の終点となる柵原付近も、美咲町内なのです。
掲載日:2015年01月09日
本年も、今回から毎週金曜日に、さまざまな鉄道の話題を紹介していきます。どうぞよろしくお願いします。
古くから、鶴は千年・亀は万年といわれるように、鶴と亀は縁起の良い長寿の象徴とされていますよね。年始ということで、そんな亀の話題を今回いたします。
岡山駅から北へ津山まで延びる津山線58.7kmのうち、岡山駅から49.1kmと津山に近いところに位置する亀甲駅についてです。この駅名、「かめのこう」と読みます。ところが、地名は美咲町原田。駅前の道を真っ直ぐに歩くと、わずか100mほどで三咲町役場があります。つまり、亀甲という地名ではないのです。
でも、駅舎は写真を見てわかる通り、亀の頭が飛び出したユニークなものです。その亀の目が時計になっているのは、いかにも駅舎らしい工夫ですよね。
ちなみに、駅名は津山線を当初に開通させた中国鉄道の時代から亀甲駅だそうです。明治33年の開通ですから、当時から地名とならんで亀甲がこの地を指していたことが伺えます。
亀甲駅から三咲町役場に行く間に、町を貫く昔からの道路があります。その道路を右折してすぐの三叉路に三咲町役場バス停があり、その待合室を兼ねた「ふれあい亀太郎ロビー」というトイレ併設の公共施設があります。この建物からも、亀の頭が… それも、親亀の上に小亀が乗った状態です。
左の写真は、その頭が出ている方を写していますが、反対側の側面には、尻尾がでています。けっこう、芸が細かいんですよね(笑)
では、どうしてこんなにも亀を町おこしに使っているのでしょう。それも、駅名からして地名に根ざしているわけではない、不思議なことです。その答えは、駅舎に掲げられた案内板に記してありました。昔、行き倒れた巡礼者を村人がねんごろに葬ったところ、そこから大きな岩がでてきたそうです。その形は亀の甲羅に似ていて、弘法大師の尊像を載せていたというのです。
このことから、地元では地域興しとして亀をモチーフにしたモニュメントを設置するなどの対応を進めているそうですが、その象徴となっているのが亀甲駅舎で、平成7年に造られているそうです。
その謂われの元になった亀甲岩ですが、これも駅や町役場から遠くありません。ちょっと判りにくい場所で、案内看板も判りにくいので、駅にいる委託の駅員さんに道を聞くのが確実です。筆者も自力で見つけようとしたものの、判らず、駅員さんに教えてもらいました。駅から約250mですので、徒歩5分もかからないところです。
見ると、たしかに周囲と違和感のある岩が隆起しています。その頂にはこれまた不自然な岩が載っています。これが弘法大師像でしょうか。岩の後ろには祠もあり、地元で丁重に祀っているようです。
ところで、冒頭の写真で、ホームにはためいている黄色いのぼり旗に気付きましたか? 「たまごかけごはん」と書いてあります。数年前に大いに話題となった「たまごかけごはん」ですが、その発信地がここ美咲町なのです。亀甲駅から700mほどのところにある中央運動公園内に平成20年1月「食堂かめっち。」がオープンし、ここで年末年始を除く毎日食べられます。食堂名も、やっぱり亀なんですね。シンプルなメニューなので、黄福(こうふく)定食がわずか350円というのもうれしいです。亀を楽しみ、そして、たまごかけごはんを楽しむ寄り道はいかがでしょう?
ところで、黄福定食の「黄福」であれ? と思われた方はいられませんか? 当コラムの昨年11月14日付で取りあげた「動態保存の片上鉄道で、線路が延長されて新駅も開業」で、延伸開業した駅名が「黄福柵原駅」でした。実は、元片上鉄道の終点となる柵原付近も、美咲町内なのです。
掲載日:2015年01月09日
●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。