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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

開創1200年の高野山へ、特急「こうや」が特別仕様で走行中 [No.H137]

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高野山開創1200年特別仕様となった「特急こうや」のうち、通称「紫こうや」の30003編成。
四国八十八箇所をめぐるお遍路さんが、「同行二人」と語る同行者・空海。同遍路を空海が開創して、昨年(2014年)が1200年でした。続く今年(2015年)は、和歌山県の高野山を空海が開創して1200年となります。そこで、4月2日から5月21日まで、高野山開創1200年記念大法会が執り行われています。
南海電鉄の高野山開創1200年記念大法会サイト
これを記念して、高野山への足として活躍する南海電鉄の「特急こうや」用の30000系2編成と31000系1編成の計3編成が、3月1日から特別仕様で走っています。いずれも先頭車の前面は伝統的な蒔絵をイメージした格子柄で、金色を基調としています。さらに、4両編成の車体側面には、編成によって赤・黒・紫それぞれを地色にして、四季をテーマとした絵柄が描かれています。その地色によって「赤こうや」「黒こうや」「紫こうや」と名づけられました。
上の写真は、このうち「紫こうや」と名づけられた、30003編成です。高徳僧のまとう袈裟(けさ)の色ということです。


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「黒こうや」31001編成は、文字どおり地色が黒色。高野線ならではの山間を縫って走る様子。
先頭車前面に貫通扉がついているため、外見イメージが異なる31000系の31001編成は「黒こうや」です。左の写真をご覧いただくとわかるとおり、車体側面が黒を地色としています。漆塗りをイメージする黒色だそうですが、たしかに漆塗りの蒔絵のイメージですよね。描かれている図柄は3編成とも同じで、花・緑色の葉・紅葉・雪といった四季を題材とした図柄が1両ずつ描かれています。
ちなみに、もう一編成の30000系30001編成は「赤こうや」で、漆器や調度品に使われてきた朱塗りのイメージだそうです。

高野線は、高野山に近い橋本~極楽橋間19.8kmが、山間部を縫って走る急勾配と急カーブが続く路線です。それだけに風光明媚な路線でもあり、「天空」という窓を開けて風を感じながら乗車できる観光列車も走っています。新緑のこのシーズンは、清々しい気分で乗ることができるお勧めの路線です。


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昭和5(1930)年に開業した当時の外観に戻った高野山駅舎。
高野線の終点は極楽橋です。電車が急勾配で登ってきてもここまでが精一杯で、高野山へはさらにケーブルカーに乗り継いで登っていくことになります。それだけに、大阪で汗を掻くような日でも、高野山にはさわやかな風が吹いています。そのケーブルカーの高野山駅は、高野山開創1200年記念大法会を前にして、昭和5(1930)年に開業した当時の外観に戻されました。
国の登録有形文化財となっている駅舎ですが、この改装で見違えるように綺麗になりました。この駅では、思わず目の前に停まっている、寺院へ向かうバスに乗ってしまいがちですが、敢えて時間に余裕をもって駅舎を眺めることもお勧めです。


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高野山駅舎の2階は、資料展示コーナーや展望台など、くつろぎの空間となった。
高野山駅舎は、外観だけでなく内装も大幅にリニューアルされました。なかでも特筆されるのが2階のフリースペースです。左の写真にあるように、資料展示コーナーがあり、高野山に関する資料をはじめ、南海高野線に関する資料などが展示されています。また、休憩室・トイレに加えて展望室もあり、晴れた日には遠い山々まで見渡せる絶好のロケーションです。それにも関わらず利用は無料。1階からは、階段のほかエレベーターも用意されているので、誰でも気軽に立ち寄ることができます。

高野山開創1200年記念大法会は5月21日までですが、「特急こうや」の特別仕様は来年2月までと発表されています。この機会に、高野山を訪れてみてはいかがでしょう。


掲載日:2015年05月01日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。