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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

日本最南端の鉄道は、乗車券にQRコードを採用 [No.H141]

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「日本最南端の駅」モニュメントと、その赤嶺駅に停車する沖縄都市モノレール“ゆいレール”の車両。
沖縄都市モノレール…通称“ゆいレール”は、沖縄の玄関口である那覇空港から、繁華街を経て、世界遺産の首里城近くまでの12.9kmを結んでいます。日本最南端に位置する沖縄県で唯一の鉄道線ですので、日本最南端を走る鉄道としても知られています。そのなかでも、いちばん南にあるのが、赤嶺(あかみね)駅です。始発となる那覇空港駅の次に停まる駅で、駅前には「日本最南端の駅」モニュメントが建っています。
同モニュメントに記されている通り、赤嶺駅は東経127度39分38秒、北緯26度11分36秒に位置しています。昨年11月7日公開の「明石で、子午線のある駅から子午線ゆかりの地を巡る」で取りあげた明石は、日本標準時となっている東経135度、北緯35度に位置していますので、同地からだと東に7度21分、南へ8度49分の地となります。経度は360度で約24時間ですから、時差が30分近くあることになります。それだけに、日の出が遅く、その分、日暮れも遅いことを実感します。
また、太陽がもっとも北にやってくる夏至に通る北回帰線は北緯23度26分ですので、わずかに3度だけ北に位置しています。それだけに、夏至の頃に太陽が最も高く昇る時刻には、ほぼ真上にあって、陰が真下にしかできないことになります。


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QRコード対応の改札口と、QRコードが印刷されている乗車券。
さて、モノレールに乗るために駅に行ってみましょう。左の写真が、赤嶺駅の改札口です。左下に、筆者が使った1日乗車券の写真もつけておきました。乗車券下部が黒くなっているのは、乗車券の仕様です。その暗い色の帯に一部隠れて、お馴染みのQRコードが印刷されていることが判ろうかと思います。小さくて判らない方は、写真をクリックして下さいね。大きく表示されます。
このQRコードを、自動改札機に読み込ませているのが、ゆいレールなのです。昨年(2014年)10月にICカード乗車券「OKICA」を導入するのと同時に採用しました。それまでは磁気乗車券だったのですが、磁気改札機を一斉に撤去して、ICカード乗車券に移行する際に、デポジットが必要なICカード乗車券を乗客全員に持ってもらうわけにはいきません。特に、ゆいレールは観光客の利用が多いことから、ICカード乗車券と一緒に使用できて、運用費も高くない、自動改札機対応の乗車券が必要となったのです。
そこで、スーパーやコンビニのレジで普及しているQRコードを乗車券に利用することにしたのです。そのために、自動改札機には光学読み取り装置も内蔵されました。といっても、光学読み取り装置は前述の通りスーパーやコンビニなどで普及しているため部品価格がこなれていますし、非接触式ですから故障の確率も低くなります。乗車券は、一般のプリンターでQRコードを印刷すれば良いので、その点でも導入障壁が低くなります。
ただし、QRコードは簡単にコピーできてしまうというデメリットもあります。そこで、乗車券の下部にコピーガードと呼ばれる「暗い帯」を配しているわけです。こうして、日本ではじめてとなる、QR乗車券が採用されたのです。


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「日本最南端の駅」で記念撮影をするための、顔出しセットが改札内にある。
赤嶺駅の改札口を通ると、ホームに上がる階段・エスカレーター付近には、観光地によくある、顔を入れて記念撮影をするセットがあります。もちろん、「日本最南端の駅」での記念撮影用です。沖縄まで行くなら、ちょっと寄ってみたいですよね。

ところで、先の写真にあった1日乗車券ですが、使用期日のあとに時刻も記されていることに気付きましたでしょうか? 「09:40まで」と記してあります。よくみると、発売が2月6日09:40で、使用期限が2月7日09:40になっているのです。つまり、ゆいレールの「1日乗車券」は、発売当日限りではなく、発売から24時間有効なのです。これは「2日乗車券」でも同じで、48時間有効となります。
例えば、2泊3日で那覇へ行く場合、初日は普通乗車券か空港からのバスでホテルへ直行し、16時からゆいレールででかけて、ショッピングと夕食とすると、「2日乗車券」を買えばよいことになります。というのも、2日後となる帰る日の16時まで、ゆいレールが乗り放題となるからです。帰りの飛行機の時間によっては、空港へちょっと早めに着くようにするだけで、フリー切符を活用して市内を気軽に歩き回れるわけです。
那覇を楽しむ裏技として、覚えておくと便利ですよ。


掲載日:2015年06月05日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。