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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
阪堺電軌 住吉~住吉公園間が来年1月末に廃止へ [No.H158]
阪堺(はんかい)電気軌道は、大阪市の南部と堺市を結ぶ路面電車です。
大阪ミナミのターミナル駅である天王寺駅前から、住吉(すみよし)公園まで4. 6kmの上町(うえまち)線と、大阪ミナミの繁華街の一角にある惠美須町から、堺市の浜寺駅前まで14. 1kmの阪堺線の2路線を有しています。
この2路線は、大阪市の南端に近い住吉交差点で交差しています。ところが上町線は、住吉交差点から200m弱で終点の住吉公園です。南海電鉄の住吉大社駅に隣接しています。
上町線の天王寺駅前~住吉間は明治43(1910)年10月1日に開業しているのですが、住吉~住吉公園の200mは、大正2(1913)年7月2日に南海電鉄との乗換の便を図って延伸したのでした。
この延伸した200mが、来年(2016年)1月30日(土)をもって廃止されることになりました。
阪堺電気軌道の廃止案内文
上町線 住吉~住吉公園間(0.2km)の軌道事業の廃止について
住吉公園はホーム1面の両端に線路があり、ホーム端には改札口に続き駅舎もある立派な始終着ターミナルでした。 上町線の電車が、この住吉公園で折り返していたためです。
ところが平成26(2014)年3月のダイヤ改正で、上町線の電車を、住吉から阪堺線に乗り入れるようにしました。4つ先の我孫子道電停すぐのところに我孫子車庫があるうえ、そこまで街中を走るため、乗客にとっても阪堺電軌にとっても便利なダイヤ改正でした。
その代わり、かつて延長した200mの路線は、午前7,8時台に平日5往復、土休日4往復が走るだけの路線となってしまいました。さらに、阪堺線で住吉の次となる住吉鳥居前は、南海住吉大社駅からでも100m弱と近いため、乗客にとっても利便性が大きく損なわれないのです。
住吉公園のホームにある発車時刻表にも、左上の写真にある通り、
「上記時刻以外 住吉鳥居前から ご乗車願います」
と書かれています。
廃止の直接の原因は、住吉交差点の軌道敷きが老朽化し、抜本対策をするのに数億円を要するためとしています。クロッシング部分をよくみると、たしかに傷みが目で見て判ります。
でも、それ以前に、すでに上町線の電車は住吉で阪堺線に乗り入れる運行体系になっているわけです。乗客にとっては、乗るホームをその都度考えなくてよくなり、マイナス面はごく限られているようです。廃止路線としては、極めて珍しいケースといえましょうか。
初詣で毎年200万人を越える参詣者が訪れる住吉大社のすぐ近くですから、正月三が日を中心に新年は大賑わいになる一帯です。それだけに、初詣の人出が一段落した1月末の廃止は、なるほどというタイミングです。
そんな廃止区間を記録しておこうと、廃止発表以降、週末を中心に多くの方が訪れ始めています。お名残乗車をされるのであれば、早めの訪問をお勧めします。
掲載日:2015年10月09日
大阪ミナミのターミナル駅である天王寺駅前から、住吉(すみよし)公園まで4. 6kmの上町(うえまち)線と、大阪ミナミの繁華街の一角にある惠美須町から、堺市の浜寺駅前まで14. 1kmの阪堺線の2路線を有しています。
この2路線は、大阪市の南端に近い住吉交差点で交差しています。ところが上町線は、住吉交差点から200m弱で終点の住吉公園です。南海電鉄の住吉大社駅に隣接しています。
上町線の天王寺駅前~住吉間は明治43(1910)年10月1日に開業しているのですが、住吉~住吉公園の200mは、大正2(1913)年7月2日に南海電鉄との乗換の便を図って延伸したのでした。
この延伸した200mが、来年(2016年)1月30日(土)をもって廃止されることになりました。
阪堺電気軌道の廃止案内文
上町線 住吉~住吉公園間(0.2km)の軌道事業の廃止について
住吉公園はホーム1面の両端に線路があり、ホーム端には改札口に続き駅舎もある立派な始終着ターミナルでした。 上町線の電車が、この住吉公園で折り返していたためです。
ところが平成26(2014)年3月のダイヤ改正で、上町線の電車を、住吉から阪堺線に乗り入れるようにしました。4つ先の我孫子道電停すぐのところに我孫子車庫があるうえ、そこまで街中を走るため、乗客にとっても阪堺電軌にとっても便利なダイヤ改正でした。
その代わり、かつて延長した200mの路線は、午前7,8時台に平日5往復、土休日4往復が走るだけの路線となってしまいました。さらに、阪堺線で住吉の次となる住吉鳥居前は、南海住吉大社駅からでも100m弱と近いため、乗客にとっても利便性が大きく損なわれないのです。
住吉公園のホームにある発車時刻表にも、左上の写真にある通り、
「上記時刻以外 住吉鳥居前から ご乗車願います」
と書かれています。
廃止の直接の原因は、住吉交差点の軌道敷きが老朽化し、抜本対策をするのに数億円を要するためとしています。クロッシング部分をよくみると、たしかに傷みが目で見て判ります。
でも、それ以前に、すでに上町線の電車は住吉で阪堺線に乗り入れる運行体系になっているわけです。乗客にとっては、乗るホームをその都度考えなくてよくなり、マイナス面はごく限られているようです。廃止路線としては、極めて珍しいケースといえましょうか。
初詣で毎年200万人を越える参詣者が訪れる住吉大社のすぐ近くですから、正月三が日を中心に新年は大賑わいになる一帯です。それだけに、初詣の人出が一段落した1月末の廃止は、なるほどというタイミングです。
そんな廃止区間を記録しておこうと、廃止発表以降、週末を中心に多くの方が訪れ始めています。お名残乗車をされるのであれば、早めの訪問をお勧めします。
掲載日:2015年10月09日
●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。