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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
定期夜行急行が消える3月ダイヤ改正…「はまなす」廃止 [No.H173]
北海道新幹線・新青森~新函館北斗間開業まで2か月を切りました。
新幹線が初めて北海道の地を走ることになるとともに、青函トンネルは在来線貨物列車との共用という、国内初の運行方式となります。
その新たな時代を迎えるにあたって、長年にわたって活躍してきた列車が消えていきます。その象徴ともいえるのが、急行「はまなす」です。
いま走っている「はまなす」は三代目で、初代は昭和30(1955)年に函館~小樽~網走で走りはじめた準急でした。ただし、当初は列車名がなく、昭和33(1958)年に列車名「はまなす」が名づけられました。
ところが、昭和36年に札幌・旭川~網走間の昼行気動車急行となってしまいます。これが二代目です。急行に昇格したものの、昼行列車ですから初代・三代目の夜行客車列車とはイメージが違いますよね。そのうえ、札幌~網走に急行「大雪」が走りはじめたため、昭和43年には石北本線の急行が「大雪」に統一され、「はまなす」の列車名は消えたのでした。
「はまなす」の列車名が復活したのは、昭和63(1988)年のことでした。青函トンネルの開通で、青森~函館~札幌を結ぶ夜行急行が設定されて、かつての列車名が復活したのでした。これが、今日まで続く三代目の「はまなす」です。
それから28年を経て、今年3月26日のダイヤ改正で急行「はまなす」の列車名が再度消滅することになりました。
「はまなす」は、定期列車としていま唯一残る急行列車です。また、夜行急行列車もいまや他にありません。さらに、座席車に加えて寝台車も連結していますが、これらはかつてブームにもなったブルートレインの流れを汲む客車たちです。
14系座席車は、1970年に開催された大阪万博の観客輸送用として登場した団体急行用の12系客車をもとに、1972年から臨時特急用として製造されました。中高年の方々には懐かしい、“ディスカバージャパン”キャンペーンの時代です。
12系は4人向かい合わせのボックスシートでしたが、14系は2人掛け転換クロス式の簡易リクライニングシートを採用、さらに窓ガラスを固定して冷暖房完備という、当時としては快適な車両となりました。ちょうど、ブルートレインの増備が続いている頃に造られた座席車でもあります。
国鉄時代からJR初期にかけて、ワイド周遊券をもって長距離座席夜行に乗ると、この12系・14系にお世話になることが多かったものです。
「はまなす」の寝台車は14系と24系で構成されていますが、これらはまさにブルートレイン用として造られた寝台客車です。かつてのブルートレインで使用していたB寝台車ですが、いまやこの「はまなす」でしか乗れなくなっているのです。
「はまなす」のB寝台車については前述のとおりですが、同列車には「のびのびカーペット」と「ドリームカー」という、他の列車にはない設備がついていることも特長です。どちらも指定席車で、4号車が「のびのびカーペット」車、5号車と6号車が「ドリームカー」です。
「のびのびカーペット」車は、座席を取り払ってカーペット敷きにした車両で、ごろ寝して一晩を過ごすことができるので快適です。上下2段あり、上段は簡易個室のようになっているので、特に人気です。
「ドリームカー」は、もと特急用グリーン車の座席を使っている車両で、リクライニング角度が大きいことからシートピッチを広げていることで、一般座席に比べてかなり快適です。
通常期は1,2号車が寝台車、4-6号車が「のびのびカーペット」と「ドリームカー」、3,7号車が自由席でしたので、指定席を予約すれば快適な一夜を過ごせました。
ところが、廃止間近となって利用者が急増している昨今は、最大12両編成となります。寝台車の1,2号車の間に増21号車を連結。3-8号車をすべて指定席車とし、自由席車は9-11号車とするのです。このため、指定席といっても一般の座席車となることも多くなっています。
それだけに、寝台車、のびのびカーペット、ドリームカーは特に予約しづらくなっているようです。
ところで、ダイヤ改正は3月26日ですが、青函トンネルを新幹線と在来線貨物列車の共用とするため、改正直前の4日間は青函トンネルでの旅客扱いを全面中止します。保安設備が変更となるなどするため、安全走行に万全を期すためです。
このため、「はまなす」の最終列車は、上り青森行が3月20日(日)札幌発、下り札幌行が3月21日(月・祝)青森発となります。さらに、この最終列車は混雑が予想されるので、全車指定席での運転とすることが発表されています。
北海道新幹線の一番列車に乗るので、その前に「はまなす」のお名残乗車も…とはいきませんので、その点、お気を付け下さいね。
お名残乗車をするのであれば、一日も早い方が良いようですよ。
掲載日:2016年01月29日
新幹線が初めて北海道の地を走ることになるとともに、青函トンネルは在来線貨物列車との共用という、国内初の運行方式となります。
その新たな時代を迎えるにあたって、長年にわたって活躍してきた列車が消えていきます。その象徴ともいえるのが、急行「はまなす」です。
いま走っている「はまなす」は三代目で、初代は昭和30(1955)年に函館~小樽~網走で走りはじめた準急でした。ただし、当初は列車名がなく、昭和33(1958)年に列車名「はまなす」が名づけられました。
ところが、昭和36年に札幌・旭川~網走間の昼行気動車急行となってしまいます。これが二代目です。急行に昇格したものの、昼行列車ですから初代・三代目の夜行客車列車とはイメージが違いますよね。そのうえ、札幌~網走に急行「大雪」が走りはじめたため、昭和43年には石北本線の急行が「大雪」に統一され、「はまなす」の列車名は消えたのでした。
「はまなす」の列車名が復活したのは、昭和63(1988)年のことでした。青函トンネルの開通で、青森~函館~札幌を結ぶ夜行急行が設定されて、かつての列車名が復活したのでした。これが、今日まで続く三代目の「はまなす」です。
それから28年を経て、今年3月26日のダイヤ改正で急行「はまなす」の列車名が再度消滅することになりました。
「はまなす」は、定期列車としていま唯一残る急行列車です。また、夜行急行列車もいまや他にありません。さらに、座席車に加えて寝台車も連結していますが、これらはかつてブームにもなったブルートレインの流れを汲む客車たちです。
14系座席車は、1970年に開催された大阪万博の観客輸送用として登場した団体急行用の12系客車をもとに、1972年から臨時特急用として製造されました。中高年の方々には懐かしい、“ディスカバージャパン”キャンペーンの時代です。
12系は4人向かい合わせのボックスシートでしたが、14系は2人掛け転換クロス式の簡易リクライニングシートを採用、さらに窓ガラスを固定して冷暖房完備という、当時としては快適な車両となりました。ちょうど、ブルートレインの増備が続いている頃に造られた座席車でもあります。
国鉄時代からJR初期にかけて、ワイド周遊券をもって長距離座席夜行に乗ると、この12系・14系にお世話になることが多かったものです。
「はまなす」の寝台車は14系と24系で構成されていますが、これらはまさにブルートレイン用として造られた寝台客車です。かつてのブルートレインで使用していたB寝台車ですが、いまやこの「はまなす」でしか乗れなくなっているのです。
「はまなす」のB寝台車については前述のとおりですが、同列車には「のびのびカーペット」と「ドリームカー」という、他の列車にはない設備がついていることも特長です。どちらも指定席車で、4号車が「のびのびカーペット」車、5号車と6号車が「ドリームカー」です。
「のびのびカーペット」車は、座席を取り払ってカーペット敷きにした車両で、ごろ寝して一晩を過ごすことができるので快適です。上下2段あり、上段は簡易個室のようになっているので、特に人気です。
「ドリームカー」は、もと特急用グリーン車の座席を使っている車両で、リクライニング角度が大きいことからシートピッチを広げていることで、一般座席に比べてかなり快適です。
通常期は1,2号車が寝台車、4-6号車が「のびのびカーペット」と「ドリームカー」、3,7号車が自由席でしたので、指定席を予約すれば快適な一夜を過ごせました。
ところが、廃止間近となって利用者が急増している昨今は、最大12両編成となります。寝台車の1,2号車の間に増21号車を連結。3-8号車をすべて指定席車とし、自由席車は9-11号車とするのです。このため、指定席といっても一般の座席車となることも多くなっています。
それだけに、寝台車、のびのびカーペット、ドリームカーは特に予約しづらくなっているようです。
ところで、ダイヤ改正は3月26日ですが、青函トンネルを新幹線と在来線貨物列車の共用とするため、改正直前の4日間は青函トンネルでの旅客扱いを全面中止します。保安設備が変更となるなどするため、安全走行に万全を期すためです。
このため、「はまなす」の最終列車は、上り青森行が3月20日(日)札幌発、下り札幌行が3月21日(月・祝)青森発となります。さらに、この最終列車は混雑が予想されるので、全車指定席での運転とすることが発表されています。
北海道新幹線の一番列車に乗るので、その前に「はまなす」のお名残乗車も…とはいきませんので、その点、お気を付け下さいね。
お名残乗車をするのであれば、一日も早い方が良いようですよ。
掲載日:2016年01月29日
●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。