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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


  • ひろやすの汽車旅コラム
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

真田幸村の地元、信州・上田がいま大人気! [No.H177]

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大河ドラマ「真田丸」にあやかり、昨年3月から走る「さなだどりーむ号」。愛称は公募の結果、6月13日に決定。
NHKの大河ドラマ「真田丸」が高視聴率を誇っているそうです。
その主人公である真田幸村こと真田信繁をはじめ、真田一族の故郷である長野県の上田市がいま人気です。

同地の上田電鉄には、昨年3月28日から早くも右の写真に写る「さなだどりーむ号」が走っています。大河ドラマ対応にしては随分と早い時期からの運転ですが、実は、同車の営業運転開始がこの日からだったのです。
もとは東急電鉄の1000系で、その点では他の上田電鉄の1000系と同じ種車なのですが、6000系は中間車を先頭車改造している点が異なります。そのために、新たな形式名としたようです。
その6000系は、翌年に放映開始が決まっていたNHK大河ドラマ「真田丸」に合わせて、「真田の赤揃え」にちなんだラッピングをしました。運転台下には、真田家の旗印として知られる六文銭も描かれています。
そのうえで愛称を公募した結果「さなだどりーむ号」と決まり、昨年6月13日に記念式典を行い「さなだどりーむ号」のヘッドマークをつけて走りはじめたのです。もちろん車内も、「真田丸」の宣伝ポスターや真田家に関連した掲示物を多く掲げています。


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真田家ののれんが掛かる上田駅。上田電鉄の始発駅で、北陸新幹線やしなの鉄道の上田駅と隣接している。
上田電鉄の「真田丸」対応は、「さなだどりーむ号」だけではありません。
始発駅となる上田駅には、左の写真のとおり、真田家の家紋などを染め上げたのれんが掛かっています。橋上駅舎ですが、同じ跨線橋上にあるしなの鉄道もまた、同じようなのれんを掛けてあり、観光客を歓迎しています。
北陸新幹線の上田駅を降りた場合は、こういう雰囲気でないだけに、上田に行くなら是非とも上田電鉄としなの鉄道の上田駅にも寄ってみたいものです。そのまま上田電鉄に乗って、終点の別所温泉駅近くに点在する温泉に浸かってくるのもよいものです。
なお、上田駅前のロータリー内にある小公園には、真田幸村公像があります。駆ける馬上で采を振る真田幸村を表したもので、背後には六文銭の描かれた旗印があります。こちらも、ついでに見ておきたいところです。


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上田城の掘に残る上田丸子電鉄・真田傍陽線の講演前駅跡。このすぐ近くに「信州上田 真田丸大河ドラマ館」がある。
せっかく上田まで行くなら、真田氏が徳川家康の三男・秀忠の軍を足止めさせて、関ヶ原の合戦に間に合わなかったことで知られる上田城跡にも行きたいですよね。徳川秀忠といえば、後の徳川幕府二代将軍です。その歴史に残る失態として知られています。
上田城そのものは天守がなく、今も残る石垣や掘の多くは江戸時代になって築かれたものですが、なかには真田家の時代と考えられるものもあります。このあたりは、事前に調べてから訪問することをお勧めします。
その城跡にいま「信州上田 真田丸大河ドラマ館」があり、人気を博しています。この冬場でありながら、1月17日の開館から1か月経たずに入館者数が3万名を越えるという人気ぶりです。館内では、ドラマ製作の舞台裏なども知ることができます。
その館には、上田駅から約1キロ。徒歩15分でほどですが、館を前にしてお堀を渡ります。そのとき、お堀の中に注目して下さい。右上の写真が、そのお堀の中で撮影したものです。
右側にある石積みは、電車のホームの跡です。そう、このお堀が廃線跡なのです!
ホームの左上にはコンクリート橋が見えますが、そのアーチ右上に、碍子等が残っていることが判りますでしょうか。これは、電鉄線の架線の名残です。
アーチの左下に看板がありますが、ここに簡単な説明があり「昭和3年5月に開通した上田温電北東線」と記してあります。上田温泉電軌がこの区間を開業したのは昭和2年11月で、翌年5月に真田まで全線が開通しているので、月日がいささか違っているようです。
ところで、この昭和5年に開通した終点「真田」ですが、文字どおり真田氏発祥の地だそうです。開通当時は北東線と呼ばれていましたが、その後、上田丸子電鉄真田傍陽(そえひ)線となり、途中から傍陽までの分岐線も有していました。昭和47年に廃線となり、いまは上田バスが上田駅前から真田線・傍陽線をそれぞれ走らせています。より探求したい方は、そちらにも足を伸ばすと良さそうです。

ちなみに、真田傍陽線をはじめとした現・上田電鉄の歴史については、上田市マルチメディア情報センターが2005年に、Web上でしっかりとしたコンテンツを作っています。


です。このWeb頁内で「丸窓ミュージアム」→「歴史館」と辿ってみて下さい。


掲載日:2016年02月26日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。