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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

忍者列車が走る伊賀鉄道 ~そのユニークな忍者たち~ 1/2 [No.H181]

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電車の“顔”が忍者の顔になっている、伊賀鉄道の忍者列車。青色・ピンク色・緑色の3編成がある。
伊賀といえば、忍者を思い浮かべる方が多いでしょう。
実際、かつて活躍した忍者のなかでも代表的なものとして、伊賀流と甲賀流の忍者が知られています。
その地元となる三重県伊賀市には、伊賀鉄道が走っています。伊賀上野~上野市~伊賀神戸(かんべ)間16. 6kmで、もとは近鉄伊賀線でしたが、赤字対策として平成19(2007)年に鉄道を運営する会社として誕生したのが伊賀鉄道です。なお、いまも線路等の施設は近鉄が所有しています。
その伊賀鉄道には、右の写真のような“忍者列車”が走っています。それも、青色・ピンク色・緑色の3編成があります。伊賀鉄道の車両は全部で5編成ですので、時刻を調べなくても、行けば最低1編成は走っています。 このうちピンク色は“くノ一”つまり、女忍者という設定だそうです。
一方、緑色はご覧のとおり側面に可愛いキャラクターが描かれていますが、運転室扉の後ろに忍者の横顔があり、編成全体で忍者の側面を表したデザインとなっています。


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青色の忍者列車の運転席横には、「2009.12.19」の日付とともに松本零士氏の直筆サインが記されている。
伊賀鉄道に忍者列車が登場したのは平成9(1997)年のことで、当初からデザインはほぼ変わっていません。しかし、伊賀鉄道となってから老朽化した車両を更新し、新たに今走っている200系を導入しました。
その最初に登場したのは青色の201編成で、平成21(2009)年12月のことでした。その際、運転席横の車体外板に、左の写真にある松本零士氏の直筆サインが記されていました。
そうなのです。この忍者列車のデザインは、「銀河鉄道999」等の作者として知られる松本零士氏によるものなのです。デザインの雰囲気から、すぐに気づかれた方も多いことでしょう。
それにしても、電車側面に直筆サインとはなかなか大胆な発想ですよね。青い忍者列車をみたら、伊賀神戸駅に向かって進行方向左側先頭ですので、見落とさないようにして下さいね。



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近鉄との乗り換え駅となる伊賀神戸駅のホーム天井には、十手を持った忍者が…
伊賀鉄道に行くには、近鉄大阪線に乗って伊賀神戸駅で乗り換えるのが便利です。
関西本線で伊賀上野市駅乗り換えもできますが、関西本線の列車本数はとても少ないのです。
その伊賀神戸駅で近鉄を降り、伊賀鉄道のホームへ行くと…おっと忍者が! 右の写真にあるとおり、十手をもって天井近くで警戒している様子です。額には「忍」の鉢巻きを締めています。
もちろん衣服だけで中に人が入っているわけではありませんし、動きもしませんので、安心して下さい。でも、なかなか凝った、一瞬ドキッとするような出来映えですよね。

伊賀鉄道には、このように忍者にまつわるユニークな仕掛けがいくつもありますので、次週も続けてご紹介します。


掲載日:2016年03月25日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。