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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
ラグジュアリー気分を味わえる近鉄・青の交響曲 [No.H213]
近鉄は、南大阪線・吉野線(大阪阿部野橋~吉野間)で、去る9月10日から「青の交響曲(シンフォニー)」の運転を始めました。
大阪のミナミから、明日香村など古墳時代の歴史が色濃く残る地域を通り、桜で知られる吉野に至る路線を走る観光列車です。この区間には、従来から特急列車が走っていますが、より上質なサービスを提供する列車としています。
右の写真は、吉野駅に停車中の「青の交響曲(シンフォニー)」を、乗車前に撮ったものです。
その車体は、落ち着いた濃紺色で、上品な金色でロゴやラインを描いています。従来の日本の車両では、あまりみかけなかったデザインですよね。吉野駅のホーム上屋も、日本離れした鉄骨造りの大屋根で、行き止まり式のホームということもあって、パッと見ではヨーロッパのどこかの駅のようです。
この様子から、オリエント急行を連想する方もおいででしょう。実際、そんな風格を備えています。それでいてドレスコードなどはなく、誰でも乗車券と指定席特急券を買えば乗ることができるところが、うれしいですよね。
左の写真が、「青の交響曲(シンフォニー)」の車内です。
シックで落ち着いた色使いとデザインで、高級感がありますよね。木製品を多く使っているものの、これ見よがしの使い方ではなく、適材適所で活用しているところにも好感が持てます。カーテンや出入口扉も、その雰囲気に合ったものを使っています。
座席は通路を挟んで一人席と二人席となっているので、横幅に余裕があります。もちろん、座席の前後幅も充分。座席はリクライニングができますが、乗ったところ、座り心地が実によく、さほどリクライニングをしたく思わないほどでした。
写真にはテーブルが写っていますが、これは向かい合わせの席の場合で、座る向きを変えられる椅子は、前席の背後に付いているテーブルか、肘掛けに収納されているテーブルを使うことになります。これらも充分な大きさのウッディなものです。
珍しいのは車端部にある一人用席で、敢えて車端の壁に向かった構造としています。その座席はやや斜めにして窓側に向いたもので、壁面から窓際にかけて三角形のテーブルとテーブルスタンドが用意されています。足元の広さも充分で、個室的な空間となっています。これはちょっと意表を突かれた構造で、次回はこの席を選択してみたいなと思わせるものでした。
このように、一人で乗ってもグループで乗っても楽しむことができる、多様な座席配置にしているところもこの列車の特徴であり、昨今はやりの「おひとり様」に対応しています。観光列車としては、珍しい取り組みともいえましょう。
「青の交響曲(シンフォニー)」は3両編成で、1,3号車は先に記した客車です。中間の2号車にはバーカウンターがあり、隣接してラウンジスペースがあります。ホテルのバーをイメージしたインテリアデザインというだけあって、これまた高級感を感じます。
バーカウンターでは、アルコール類に加えて、スイーツ・軽食・おつまみ・お土産も売っています。どれも沿線にこだわった品揃えなのも、観光列車として嬉しいところです。
例えば、吉野の地酒飲み比べセットや、河内わいん、吉野梨を使ったシンフォニー・ハイボールなどがあります。ソフトドリンクも柿の葉茶、有機栽培コーヒーといったこだわりの品々です。ここでも、ちょっとした贅沢な気分が味わえる品揃えというわけです。
筆者は、サンドイッチと河内わいんの赤を購入して、ラウンジスペースのテーブルに広げてみました。もちろん、自席に持ち帰って飲食しても構いません。片道所要1時間16-18分と長くないので、本格的な食事はありませんが、ボリュームたっぷりのサンドイッチに、呑みやすいワインは、移りゆく車窓とともにほろ酔い気分にさせてくれました。
「青の交響曲(シンフォニー)」は原則として水曜日を除く毎日、1日2往復の運行です。大阪阿部野橋~吉野間全区間を乗る場合、乗車券970円・特急料金510円に特別車両料金210円の計1,690円が必要です。一般特急を利用する場合に比べて、わずか210円の追加でこの列車に乗ることができるのですから、お得感たっぷりですよね。
それだけに運転開始から人気で、特に大阪阿部野橋発10:10の初便と、吉野発16:04の最終便は1ヶ月前の発売日から売り切れることが多いようです。
掲載日:2016年11月11日
大阪のミナミから、明日香村など古墳時代の歴史が色濃く残る地域を通り、桜で知られる吉野に至る路線を走る観光列車です。この区間には、従来から特急列車が走っていますが、より上質なサービスを提供する列車としています。
右の写真は、吉野駅に停車中の「青の交響曲(シンフォニー)」を、乗車前に撮ったものです。
その車体は、落ち着いた濃紺色で、上品な金色でロゴやラインを描いています。従来の日本の車両では、あまりみかけなかったデザインですよね。吉野駅のホーム上屋も、日本離れした鉄骨造りの大屋根で、行き止まり式のホームということもあって、パッと見ではヨーロッパのどこかの駅のようです。
この様子から、オリエント急行を連想する方もおいででしょう。実際、そんな風格を備えています。それでいてドレスコードなどはなく、誰でも乗車券と指定席特急券を買えば乗ることができるところが、うれしいですよね。
左の写真が、「青の交響曲(シンフォニー)」の車内です。
シックで落ち着いた色使いとデザインで、高級感がありますよね。木製品を多く使っているものの、これ見よがしの使い方ではなく、適材適所で活用しているところにも好感が持てます。カーテンや出入口扉も、その雰囲気に合ったものを使っています。
座席は通路を挟んで一人席と二人席となっているので、横幅に余裕があります。もちろん、座席の前後幅も充分。座席はリクライニングができますが、乗ったところ、座り心地が実によく、さほどリクライニングをしたく思わないほどでした。
写真にはテーブルが写っていますが、これは向かい合わせの席の場合で、座る向きを変えられる椅子は、前席の背後に付いているテーブルか、肘掛けに収納されているテーブルを使うことになります。これらも充分な大きさのウッディなものです。
珍しいのは車端部にある一人用席で、敢えて車端の壁に向かった構造としています。その座席はやや斜めにして窓側に向いたもので、壁面から窓際にかけて三角形のテーブルとテーブルスタンドが用意されています。足元の広さも充分で、個室的な空間となっています。これはちょっと意表を突かれた構造で、次回はこの席を選択してみたいなと思わせるものでした。
このように、一人で乗ってもグループで乗っても楽しむことができる、多様な座席配置にしているところもこの列車の特徴であり、昨今はやりの「おひとり様」に対応しています。観光列車としては、珍しい取り組みともいえましょう。
「青の交響曲(シンフォニー)」は3両編成で、1,3号車は先に記した客車です。中間の2号車にはバーカウンターがあり、隣接してラウンジスペースがあります。ホテルのバーをイメージしたインテリアデザインというだけあって、これまた高級感を感じます。
バーカウンターでは、アルコール類に加えて、スイーツ・軽食・おつまみ・お土産も売っています。どれも沿線にこだわった品揃えなのも、観光列車として嬉しいところです。
例えば、吉野の地酒飲み比べセットや、河内わいん、吉野梨を使ったシンフォニー・ハイボールなどがあります。ソフトドリンクも柿の葉茶、有機栽培コーヒーといったこだわりの品々です。ここでも、ちょっとした贅沢な気分が味わえる品揃えというわけです。
筆者は、サンドイッチと河内わいんの赤を購入して、ラウンジスペースのテーブルに広げてみました。もちろん、自席に持ち帰って飲食しても構いません。片道所要1時間16-18分と長くないので、本格的な食事はありませんが、ボリュームたっぷりのサンドイッチに、呑みやすいワインは、移りゆく車窓とともにほろ酔い気分にさせてくれました。
「青の交響曲(シンフォニー)」は原則として水曜日を除く毎日、1日2往復の運行です。大阪阿部野橋~吉野間全区間を乗る場合、乗車券970円・特急料金510円に特別車両料金210円の計1,690円が必要です。一般特急を利用する場合に比べて、わずか210円の追加でこの列車に乗ることができるのですから、お得感たっぷりですよね。
それだけに運転開始から人気で、特に大阪阿部野橋発10:10の初便と、吉野発16:04の最終便は1ヶ月前の発売日から売り切れることが多いようです。
掲載日:2016年11月11日
●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。