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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

「髪毛黒生(くろはえ)」駅に、はつもうで(発毛で?) [No.H226]

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ネーミングライツで「髪毛黒生」駅となった、「笠上黒生」駅。
昨今、増収の一環としてネーミングライツと呼ばれる手法がよく見られます。
野球場などのスポーツ施設をはじめとして、さまざまな冠のついたネーミングライツがありますが、鉄道もご多分に漏れず、駅名や電停名にネーミングライツが見られます。
そのなかで、意表を突くネーミングライツとなったのが、銚子電気鉄道の駅です。銚子電気鉄道といえば、会社存続のためにぬれ煎餅を買って下さいとネットに発信され、実際にぬれ煎餅の売上げで廃止を免れた鉄道として知られています。
その後も、資金不足のため減便をするなど大変な努力をして運行を継続しています。その一環として、駅名のネーミングライツがはじまったのでした。
…と、ここまでであれば、「そうなんだ」で終わってしまうところですが、ネーミングライツで駅名標に神頼みをする人が出てきたというと、話は違ってきますよね。

さて、単線の銚子電気鉄道で、唯一の列車交換駅となっているのが、全長6. 4kmのほぼ中間に位置する笠上黒生駅です。難読駅名ですが、「かさがみくろはえ」駅と読みます。
同駅名に目をつけたのが発毛剤のメーカーで、「笠上」を「髪毛」にするネーミングライツをしました。
それでできた駅名標が、右上のものです。
駅名標の上にはしめ縄が飾られ、左手には「2017年新春 はつもうで」と記されていますよね。この「はつもうで」という平仮名の下には
  (発毛・初詣で)
と記してあるのです。
さらに、赤い鳥居の扁額には「発毛」と書かれています。これ、発毛神社ですか?
今年1月限定のものでしたが、実にユニークな「はつもうで」ですよね。
ちなみに、この駅名標に向かって手を合わせる方がおいでになるそうです。頭髪について、気にされている方なのでしょうね。ご利益がありますように…


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手前の駅舎には「髪毛黒生」の看板が掲げてあるが、対向ホームの待合室には「笠上黒生」と本来の駅名が掲げてある。
笠上黒生駅は、前述の通り線内唯一の列車交換駅ですので、駅員さんが常駐し、安全のためのスタフ授受をしています。それだけに、立派な駅舎があり、対向ホームには待合室もあります。
その駅本屋と待合室には、それぞれ駅名が記されているのですが、駅本屋は「髪毛黒生」とネーミングライツを表示し、待合室は「笠上黒生駅」と本来の駅名を表示しています。
ただし、駅本屋の駅名にはひらがなの読みが併記してあり、そこには「かさがみくろはえ駅」と記してあります。待合室に駅名が記されているのも珍しいですが、駅本屋の駅名がネーミングライツで、かつ読みが正式駅名というのは、ほかでは見られない例でしょう。
ちなみに、鉄道駅・電停でのネーミングライツの多くは副駅名の扱いで、カッコ書きだったり、車内放送で次駅の案内時に読み上げられるといった対応が一般的です。それだけに、この銚子電気鉄道の思い切った対応は注目に値しましょう。
ただし、本来の駅名標はそのまま設置してあり、ネーミングライツの駅名標を増設した形ですので、乗客が戸惑う心配は無いようです。


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1-2月の計12日間限定で走っている「黒髪祈願号」。右上が、ヘッドマーク部分だけをアップで撮った写真。
「髪毛黒生」のネーミングライツは2015年12月1日にはじまりましたので、すでに1年以上経っています。
そこへ、新たに登場したのが「黒髪黒生・黒髪祈願号」です。
昨年3月に銚子電気鉄道に登場した最新車両3000系は、もと京王電鉄5000系で、伊予鉄道700系として活躍したうえで銚子にやってきました。
同車に「黒髪祈願」のヘッドマークをつけたのです。「黒髪祈願」と記された上には黒々とした毛根が並び、すぐ下にはローマ字で「KAMINOKE KUROHAE」と記されています。
青いボディに赤いヘッドマークですから、目立ちます。銚子電気鉄道のサイトによると、「日本初の育毛をテーマとした特別列車」だそうです。たしかに同種の列車は記憶にありません。
この「黒髪黒生・黒髪祈願号」は、1月23日から2月27日まで月・火曜日、もしくは日・月曜日の週2日、計12日間走っています。最終週は、2月26日(日)に終日運転となる16往復、同27日(月)に朝夕の7往復の運転が予定されています。気になる方は、この週末に銚子へ足を伸ばしてみてはいかがでしょう。


掲載日:2017年02月24日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。