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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
四国DCで登場した注目列車と鉄道ミュージアム [No.H235]
JR旅客6社が地元自治体と協力して実施する観光イベント「デスティネーションキャンペーン(DC)」は、いま四国全域で行われています。キャッチフレーズは
しあわせぐるり、
しこくるり。
で、6月までの開催です。
この四国DCに合わせて登場した列車と鉄道ミュージアムを、今回は紹介します。
四国DCに合わせて登場した話題の列車が、特急「四国まんなか千年ものがたり」です。
キハ185系3両を改造して、古民家や囲炉裏をイメージした落ち着いた雰囲気となった車内からは、美しい四国の山間部の景色を楽しめるようになっています。
走行区間は土讃線が予讃線と分かれる多度津駅から、「こんぴらさん」の最寄り駅となる琴平駅を経て、渓谷美で知られる大歩危(おおぼけ)駅までの65. 5キロ。特急「しまんと」が50分台で走る区間ですが、同じ特急でもこの列車は約2時間半もかけて走ります。
全車グリーン車指定席となっていて、乗車券のほかに1,180円の特急料金と、1,280円のグリーン料金が必要となります。それにも関わらず、一ヶ月先の列車まで満席か、空席わずかとなっています。特に、往路の「そらの郷紀行」の人気が高いようです。
その人気の秘密は、快適な車両とみごとな車窓に加えて、同列車向けの特別料理を食べられる点にもあると思われます。
往路の「そらの郷紀行」では、香川県産の食材を使った洋風料理が5,500円で、復路の「しあわせの郷紀行」では、山野へ遊びに行く「遊山」時に持っていったと徳島県に伝わる三段重の「遊山箱」に地元食材を詰めた和食が4,500円で提供されます。
この料理の予約は、乗車券等とは別にJR四国「旅の予約センター」にする必要があります。
「四国まんなか千年ものがたり」号は土休日に加えて、今年9月までは月曜日と金曜日にも運転しています。
昨年まで、土讃線を琴平から大歩危まで走っていた観光列車がありました。「絶景!土讃線秘境トロッコ」です。週末を中心に走っていたのですが、今年からこの区間には、週末を中心に前記の特急「四国まんなか千年ものがたり」が走りはじめました。
そこで、同列車に使用していた車両を、高知県にもっていき、四国DC期間となる4月と5月の土休日に、「太平洋パノラマトロッコ」として走っています。
走行区間は、高知駅から東へ進み、後免(ごめん)駅から土佐くろしお鉄道ごめんなはり線にはいり、安芸(あき)駅を経て奈半利(なはり)駅までの53. 1キロです。時刻は次の通り、1日2往復です。
このうち、トロッコ車に乗車できる区間は、のいち~安芸間22. 0キロです。この区間は、高架線となっているごめんなはり線から、太平洋を一望できるところなのです。
写真の右側がそのトロッコ車で、左側は一般車キハ185 20です。この2両編成になっているのは、トロッコ車はゆっくりと走る分には快適ですが、速度が上がると風が強くて快適とは言い難いためです。そこで、のいち~安芸間ではゆっくりと走り、それ以外の区間で乗客はキハ185 20の車内で過ごすことになります。
全車指定席の普通列車ですから、乗車券のほかに指定席券大人520円で乗ることができます。
二往復目の復路は終着の高知が19:25と観光列車としては遅い時間です。南国の高知ならではの、夕暮れ時を楽しむための時間設定でしょう。軽くイッパイやりながらトロッコ列車を楽しみ、ほろ酔い気分で高知市内で名物の夕食に向かうという贅沢ができることでしょう。
四国DCよりやや先行して昨年12月13日にオープンしたのが、松山の「坊っちゃん列車ミュージアム」です。ご覧の通り、「坊っちゃん列車」の機関車を中心にして、伊予鉄道の資料を展示しています。
「坊っちゃん列車」は、夏目漱石の小説「坊っちゃん」にでてくる、伊予鉄道の創業期に走っていた蒸気機関車が牽引する客車列車です。いま、観光用に松山市内の軌道線で「坊っちゃん列車」が走っていますし、明治時代に走った本物の蒸気機関車は伊予鉄道高浜線の梅津寺駅前にある梅津寺公園で保存されています。
これらについては、当コラムの2014年12月5日と同12日に紹介していますので、こちらもご覧下さい。
「坊っちゃん列車ミュージアム」は、伊予鉄道伊予市駅という松山の中心市街地にある駅のすぐ東側、アーケード街となっている松山銀天街の入口横にある伊予鉄道本社ビルの1階にあります。その入口は、なんとスターバックスです!
スターバックス伊予市駅前店に入り、そのまま店内を突っ切ったところにあるのです。右上の写真では、左端にスターバックスの店内が少し写りこんでいます。この関係で、開館時間はスターバックスと同じ7:00~21:00となっています。入場無料ですので、おいしいコーヒーを楽しみつつ、「坊っちゃんミュージアム」にちょっと寄っていくという感じが良いでしょうか。
ところで、今回紹介した列車とミュージアムは、琴平・高知・松山と、同じ四国といっても場所がバラバラです。これらを回るには、フリーきっぷが適しています。JR四国には3日間有効の「四国フリーきっぷ」大人16,140円や、4日間有効でグリーン車乗り放題の「四国グリーン紀行」大人20,570円があります。「四国グリーン紀行」だと、土佐くろしお鉄道にも乗車できます。
さらにお得なのが、バースデイきっぷです。3日間有効で、グリーン車用大人13,000円、普通車自由席用9,500円と割安なうえ、どちらも土佐くろしお鉄道に加えて阿佐海岸鉄道にも乗ることができます。実は、先月までバースデイきっぷはグリーン車用だけだったのですが、4月から2種類となり、グリーン車用は値上げとなった代わりに、少し安い普通車自由席用も登場しました。行先によって使い分けてください。
掲載日:2017年04月28日
しあわせぐるり、
しこくるり。
で、6月までの開催です。
この四国DCに合わせて登場した列車と鉄道ミュージアムを、今回は紹介します。
四国DCに合わせて登場した話題の列車が、特急「四国まんなか千年ものがたり」です。
キハ185系3両を改造して、古民家や囲炉裏をイメージした落ち着いた雰囲気となった車内からは、美しい四国の山間部の景色を楽しめるようになっています。
走行区間は土讃線が予讃線と分かれる多度津駅から、「こんぴらさん」の最寄り駅となる琴平駅を経て、渓谷美で知られる大歩危(おおぼけ)駅までの65. 5キロ。特急「しまんと」が50分台で走る区間ですが、同じ特急でもこの列車は約2時間半もかけて走ります。
多度津 | 善通寺 | 琴 平 | 大歩危 | ||||||
10:21 | → | 10:27 | → | 10:48 | → | 12:48 | そらの郷紀行 | ||
17:16 | ← | 16:59 | ← | 16:31 | ← | 14:20 | しあわせの郷紀行 |
全車グリーン車指定席となっていて、乗車券のほかに1,180円の特急料金と、1,280円のグリーン料金が必要となります。それにも関わらず、一ヶ月先の列車まで満席か、空席わずかとなっています。特に、往路の「そらの郷紀行」の人気が高いようです。
その人気の秘密は、快適な車両とみごとな車窓に加えて、同列車向けの特別料理を食べられる点にもあると思われます。
往路の「そらの郷紀行」では、香川県産の食材を使った洋風料理が5,500円で、復路の「しあわせの郷紀行」では、山野へ遊びに行く「遊山」時に持っていったと徳島県に伝わる三段重の「遊山箱」に地元食材を詰めた和食が4,500円で提供されます。
この料理の予約は、乗車券等とは別にJR四国「旅の予約センター」にする必要があります。
「四国まんなか千年ものがたり」号は土休日に加えて、今年9月までは月曜日と金曜日にも運転しています。
昨年まで、土讃線を琴平から大歩危まで走っていた観光列車がありました。「絶景!土讃線秘境トロッコ」です。週末を中心に走っていたのですが、今年からこの区間には、週末を中心に前記の特急「四国まんなか千年ものがたり」が走りはじめました。
そこで、同列車に使用していた車両を、高知県にもっていき、四国DC期間となる4月と5月の土休日に、「太平洋パノラマトロッコ」として走っています。
走行区間は、高知駅から東へ進み、後免(ごめん)駅から土佐くろしお鉄道ごめんなはり線にはいり、安芸(あき)駅を経て奈半利(なはり)駅までの53. 1キロです。時刻は次の通り、1日2往復です。
高 知 | 安 芸 | 伊尾木 | 奈半利 | ||||
09:59 | → | 11:44 | → | 11:53 | → | 12:10 | |
14:50 | ← | 13:07 | ← | 12:49 | ← | 12:30 | |
15:50 | → | 17:31 | |||||
19:25 | ← | 17:55 |
写真の右側がそのトロッコ車で、左側は一般車キハ185 20です。この2両編成になっているのは、トロッコ車はゆっくりと走る分には快適ですが、速度が上がると風が強くて快適とは言い難いためです。そこで、のいち~安芸間ではゆっくりと走り、それ以外の区間で乗客はキハ185 20の車内で過ごすことになります。
全車指定席の普通列車ですから、乗車券のほかに指定席券大人520円で乗ることができます。
二往復目の復路は終着の高知が19:25と観光列車としては遅い時間です。南国の高知ならではの、夕暮れ時を楽しむための時間設定でしょう。軽くイッパイやりながらトロッコ列車を楽しみ、ほろ酔い気分で高知市内で名物の夕食に向かうという贅沢ができることでしょう。
四国DCよりやや先行して昨年12月13日にオープンしたのが、松山の「坊っちゃん列車ミュージアム」です。ご覧の通り、「坊っちゃん列車」の機関車を中心にして、伊予鉄道の資料を展示しています。
「坊っちゃん列車」は、夏目漱石の小説「坊っちゃん」にでてくる、伊予鉄道の創業期に走っていた蒸気機関車が牽引する客車列車です。いま、観光用に松山市内の軌道線で「坊っちゃん列車」が走っていますし、明治時代に走った本物の蒸気機関車は伊予鉄道高浜線の梅津寺駅前にある梅津寺公園で保存されています。
これらについては、当コラムの2014年12月5日と同12日に紹介していますので、こちらもご覧下さい。
「坊っちゃん列車ミュージアム」は、伊予鉄道伊予市駅という松山の中心市街地にある駅のすぐ東側、アーケード街となっている松山銀天街の入口横にある伊予鉄道本社ビルの1階にあります。その入口は、なんとスターバックスです!
スターバックス伊予市駅前店に入り、そのまま店内を突っ切ったところにあるのです。右上の写真では、左端にスターバックスの店内が少し写りこんでいます。この関係で、開館時間はスターバックスと同じ7:00~21:00となっています。入場無料ですので、おいしいコーヒーを楽しみつつ、「坊っちゃんミュージアム」にちょっと寄っていくという感じが良いでしょうか。
ところで、今回紹介した列車とミュージアムは、琴平・高知・松山と、同じ四国といっても場所がバラバラです。これらを回るには、フリーきっぷが適しています。JR四国には3日間有効の「四国フリーきっぷ」大人16,140円や、4日間有効でグリーン車乗り放題の「四国グリーン紀行」大人20,570円があります。「四国グリーン紀行」だと、土佐くろしお鉄道にも乗車できます。
さらにお得なのが、バースデイきっぷです。3日間有効で、グリーン車用大人13,000円、普通車自由席用9,500円と割安なうえ、どちらも土佐くろしお鉄道に加えて阿佐海岸鉄道にも乗ることができます。実は、先月までバースデイきっぷはグリーン車用だけだったのですが、4月から2種類となり、グリーン車用は値上げとなった代わりに、少し安い普通車自由席用も登場しました。行先によって使い分けてください。
掲載日:2017年04月28日
●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。