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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


  • ひろやすの汽車旅コラム
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

伊豆急行のバラエティ豊かさが増殖! [No.H250]

昨年9月16日公開の当コラム「伊豆急行はバラエティ豊か、JR乗入車だけでも4車種」では、伊豆急行にJRから乗り入れる優等列車が4種類もあることをご紹介しました。
その伊豆急行が今夏、満を持してのクルーズトレイン「THE ROYAL EXPRESS」の運行をはじめました。同列車を含めて、伊豆急行のリゾート列車は3種類あります。今回は、それらをご紹介しましょう。


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新たに走りはじめたクルーズトレイン「THE ROYAL EXPRESS」は、宿泊付きと食事付きの2パターンを用意している。
昨年走りはじめたJR東日本の「IZU CRAILE」は小田原~伊豆急下田間の列車で、号車によってランチセット付、カフェセット付、座席指定だけのどれかから選択する方式です。
それに対して今年7月、伊豆急行が東急電鉄と共同で走らせ始めた「THE ROYAL EXPRESS」は、横浜~伊豆急下田間の運行で、食事付き宿泊プラン、もしくは食事付きプランのいずれかという、本格派クルーズトレインです。
宿泊付きは3パターンあります。いずれも往復食事付で、往復いずれかの伊東~横浜は「スーパービュー踊り子」(以下、SVOと略します)を利用します。
   A.横浜発11:50頃、初日に立ち寄り観光、復路SVO
   B.横浜発10:00頃、往路SVO、初日に立ち寄り観光
   C.横浜発14:00頃、二日目に立ち寄り観光、復路SVO
食事付きは横浜⇔伊豆急下田の片道乗車で、ゴールドクラスとプラチナクラスの2種類があります。
旅行代金はプランと人数と宿泊先によって変わり、クルーズプランの場合はひとり13万5千円~20万円、食事付きだとひとりゴールドクラス2万5千円、プラチナクラス3万5千円と、いずれもハイレベルな設定となっています。
この価格でありながら走行開始から人気で、現状、どの便も申込み後に抽選となっているようです。


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真っ赤な車体が印象的な、リゾート21「キンメ電車」。金目鯛をイメージし、車内が沿線自治体PRの場となっている。
伊豆急行には「リゾート21」と呼ぶ車両があります。
JR伊東線に乗り入れて、熱海~伊豆急下田間で運行されていますが、特別料金不要の普通列車です。それにも関わらず、両端の車両は運転席の先が見える前面展望ができる構造になっているほか、中間車は海に向かって座席が設置されているなど、豪華な編成です。
実は、前述の「THE ROYAL EXPRESS」も昨年までは「リゾート21」の仲間でした。改造を受けて、今夏からクルーズトレインとなっています。

いま伊豆急行を走る「リゾート21」は「キンメ電車」と「黒船電車」の2編成です。
このうち「キンメ電車」は、今年2月に登場した金目鯛をイメージした編成で、見た目のインパクトは写真のとおりです。
7両編成の3号車を「キンメダイ博物館」とし、伊豆を代表する金目鯛について知ることができる車両となっています。また、それ以外の6両は沿線の自治体である熱海市、伊東市、東伊豆町、河津町、下田市、南伊豆町がそれぞれ1両ずつ担当するPR車両となっていて、乗りながらにして、沿線を知ることができます。


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真っ黒な車体は、その名も「黒船電車」。江戸末期に下田に来港した黒船に見立てた編成だ。
もう一方の「黒船電車」は、右の写真をみるだけで納得できるでしょう。
江戸時代の末期に下田に来港して当時大騒ぎとなったペリー提督率いる黒船艦隊をイメージしたもので、下田開港150周年となる平成16(2004)年に走りはじめました。
「キンメ電車」と同じく前面展望ができたり、海に向かって座席が配置されていたりと、伊豆東岸の旅を快適に楽しめます。また、車内には伊豆急行沿線の歴史資料が掲載されていたり、先頭車にはペリー提督や坂本龍馬の写真がラッピングされていたりします。

市販の時刻表には、これら2編成のいずれかを使用する列車に「リゾート21」と表示してありますが、どちらの編成かは書かれていません。その確認には、伊豆急行のホームページにある「リゾート21に乗る」バナーをクリックします。
2編成が運行される日や、どちらか一方だけが運転される日があります。また、運転パターンは3種類となっていますので、現地に行く前に確認して、スケジュールを調整すると良いでしょう。
JRから乗入れる4種類の優等列車と、今回紹介した伊豆急行の誇る3編成が、週末になると次々にやってくるのが伊豆急行です。それだけに見ていて飽きませんが、すべてに乗ろうとするととても1日では無理で、リピーターになるしかないようです。


掲載日:2017年08月25日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。