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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

鉄道日本一(3) 国内最長定期列車は札幌発福岡行の貨物 [No.H275]

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青函トンネルを抜けて、未明の青森県内を走る98列車。北海道新幹線開業前の写真で、いまは牽引機がEH800となっている。
「鉄道日本一」の前2回は、定期旅客列車のうち最長距離を走る列車として、新幹線「のぞみ」と在来線「サンライズ出雲」を取り上げました。なぜ旅客列車としたかというと、国内最長距離を走る列車は貨物列車だからです。
その最長距離列車は、札幌貨物ターミナルから福岡貨物ターミナルへと2127. 4kmも走り続けます。新幹線最長の「のぞみ」で1069. 1km、在来線最長の「サンライズ出雲」で953. 6kmでしたから、その2倍前後も走る文字どおりの長距離列車です。
しかも、貨物列車ですので途中で牽引機関車が次々と変わっていきます。列車番号も2度変わります。しかし、貨物時刻表をみると、始発駅欄に「札幌(タ)」、終着駅欄には「福岡(タ)」と記してありますので、一本の列車とみなされるわけです。

同列車が千歳線平和駅に隣接する札幌貨物ターミナル駅を発車するのは、21時49分です。98列車としてディーゼル機関車による牽引です。その後、室蘭本線から津軽海峡線を走り、午前5時台に青函トンネルを抜けて本州に上陸します。途中、五稜郭から交流電気機関車EH800の牽引となります。
青森からは3098列車として交直両用電気機関車EF510の牽引となり、日本海側を、奥羽本線・羽越本線・信越本線・北陸本線・湖西線と走り、吹田貨物ターミナルに到着するときには、日付が変わった0時30分になっています。札幌貨物ターミナルを発車した日からすると、翌々日…つまり3日目となります。
吹田では20分で機関車を付け替えて、0時50分発2071列車となります。ここから直流電気機関車のEF210の牽引となり、東海道・山陽本線をひたすら西へと進み、下関の手前の幡生操車場に着くのは夜も明けた8時26分です。

8時35分発の幡生からは交直両用電気機関車EH500の牽引で、関門トンネルをくぐって九州に上陸します。同機の牽引は8時50分着の北九州貨物ターミナルまでと、短区間です。ここで国鉄型交直両用機関車EF81に交替して、福岡貨物ターミナルには10時47分に到着です。
ここまでの全所要時間は37時間58分で、1日半以上を要しています。文字どおり北海道から九州まで運転されている最長列車ならではの所要時間ですよね。
もちろん復路もあります。福岡貨物ターミナル1時55分発で、札幌貨物ターミナル着は翌日の20時43分です。こちらは翌日に着くとはいえ、所要時間は42時間48分ですから、さらに所要時間が長くなっています。


掲載日:2018年03月02日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。