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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
明治村で4月23日(月)まで、2両の御料車内部を公開中 [No.H278]
愛知県犬山市の博物館明治村は、広い村内に明治時代の貴重な建築物等が多数展示され、見て回ると一日あっても時間が足りないほどです。
私たち鉄道好きにとって、明治時代は文明開化とともに走りはじめた鉄道ですよね。明治村は、そんな鉄道関連の展示も充実していることで知られています。
その展示物のなかに、御料車があります。鉄道局新橋工場の移設建物内に、5号御料車と6号御料車の2両が並んで展示されています。いずれも鉄道記念物に指定されている貴重な車両だけに、通常は少し離れたところからの見学となっています。
その明治村で、3月17日から「明治150年記念事業」がスタートし、その初日には記念式典が開かれました。作家・エッセイストとして知られる阿川佐和子明治村村長等によるテープカットではじまり、トークショーも開かれました。
その目玉企画として、2両の御料車内部の特別公開が始まりました。4月23日(月)までの一ヶ月強の期間で、前回の特別公開からは約3年半ぶりとなります。
そこで今回は、これら2両の御料車とともに、明治村での鉄道関連の見どころをご紹介します。
左の写真は、今回公開されている御料車のうち、明治天皇用の6号御料車の内部です。ひと目見て判るとおり、贅を尽くした内装となっています。さすがにこの御座所内には入ることはできず、侍従室との間にあるデッキからガラス越しでの見学となります。それでも、通常の外部からの見学とは見え方が大きく違います。
3軸ボギーの木造20m車で、明治43年に製造されています。
もう1両は5号御料車で、明治天皇の后(きさき)だった昭憲皇太后のために明治35年に造られています。皇后用の御料車は、この5号御料車がはじめてだとのことです。
2軸ボギーの木造16m車と、6号御料車に比べて小振りです。しかし、車内の優雅さは6号御料車とはまた別のものであり、両車を同時に見比べる価値は多いにあります。例えば、天井には帝室技芸員の川端玉章による「帰雁来燕図」が描かれていて、上品な落ち着きをもたらせています。
こちらもデッキからの見学となりますが、写真と実物ではまったくイメージが異なりますので、この機会にぜひ見ておきたいところです。
期間中、毎日10:30~12:00と13:00~15:00の2回に分けての内部公開です。予約はいりませんが、少人数に区切っての見学となりますので、希望者多数の場合には順番待ちとなります。
御料車が保存されているのは、鉄道局新橋工場です。
そのほか、鉄道寮新橋工場、六郷川橋梁、新大橋、東京駅警備巡査派出所、名鉄岩倉変電所、尾西1号蒸気機関車、名電1号形路面電車など、鉄道関係の展示物が多数あります。
その中でも、特筆されるのが動態保存車でしょう。動態保存は2線区で行われていて、両線を乗り継ぐと広大な明治村の多くの場所にアクセスしやすくなります。
その一つが、右の写真にある京都市電です。N電と呼ばれた1067mm軌間の路面電車で、京都電気鉄道が開設した日本初の路面電車をルーツに持つものです。その後に開業した京都市営に買収されたため、京都市電と呼ばれています。
品川燈台~京都七条~市電名古屋間約800メートルを、25分間隔で往復しています。
運転台はオープンデッキにありますので、雨の日には運転士さんが合羽を着ての運転となります。でも、乗客は車内なので濡れる心配はありません。
チンチンという合図で走りはじめ、力行時には吊り掛けモーターの唸る音が聞こえるのは、楽しいものですよね。
京都市電に続いて動態保存されたのは、蒸気機関車です。それも、まだ国鉄に現役の蒸気機関車がいた昭和49年のことでした。動態運転をはじめてから、すでに44年にもなります。途中、安全確認のため運転を休止していた時期もありましたが、いまでは元気に活躍しています。
12号機と9号機の2両がいますが、そのうち12号機は明治7年製です。日本初の鉄道として新橋~横浜間が開業したのは明治5年ですが、その2年後に、同区間の増備車として輸入された英国シャープ・スチュアート社製です。今年で御年144歳! もちろん国内最古の動態保存機です。
3両の2軸客車を牽いて、SL名古屋~SL東京間約800メートルを結んでいます。その両端では、必ず転車台(ターンテーブル)に載って方向転換し、ネジ式連結器で列車進行前方に連結します。すべて手動で、その様子を乗客が見学できるようになっています。
なお、2両の機関車のいずれが走るかは公表されていません。
御料車の特別展示期間中に休村日はありませんが、蒸気機関車は4月23日を除く毎週月・火曜日が運休となりますのでご注意下さい。ちなみに、月・火曜日の運休はゴールデンウィークを除いて6月26日(火)まで続きます。その後は未定とのことですので、今夏以降に明治村訪問を予定されている方は、改めて明治村のホームページでご確認下さい。
明治村へのアクセスは、名鉄犬山線犬山駅東口から明治村行バスで約20分です。また、名鉄バスセンターからの直行バスもあります。
詳しくは、明治村のホームページをご覧下さい。
掲載日:2018年03月23日
私たち鉄道好きにとって、明治時代は文明開化とともに走りはじめた鉄道ですよね。明治村は、そんな鉄道関連の展示も充実していることで知られています。
その展示物のなかに、御料車があります。鉄道局新橋工場の移設建物内に、5号御料車と6号御料車の2両が並んで展示されています。いずれも鉄道記念物に指定されている貴重な車両だけに、通常は少し離れたところからの見学となっています。
その明治村で、3月17日から「明治150年記念事業」がスタートし、その初日には記念式典が開かれました。作家・エッセイストとして知られる阿川佐和子明治村村長等によるテープカットではじまり、トークショーも開かれました。
その目玉企画として、2両の御料車内部の特別公開が始まりました。4月23日(月)までの一ヶ月強の期間で、前回の特別公開からは約3年半ぶりとなります。
そこで今回は、これら2両の御料車とともに、明治村での鉄道関連の見どころをご紹介します。
左の写真は、今回公開されている御料車のうち、明治天皇用の6号御料車の内部です。ひと目見て判るとおり、贅を尽くした内装となっています。さすがにこの御座所内には入ることはできず、侍従室との間にあるデッキからガラス越しでの見学となります。それでも、通常の外部からの見学とは見え方が大きく違います。
3軸ボギーの木造20m車で、明治43年に製造されています。
もう1両は5号御料車で、明治天皇の后(きさき)だった昭憲皇太后のために明治35年に造られています。皇后用の御料車は、この5号御料車がはじめてだとのことです。
2軸ボギーの木造16m車と、6号御料車に比べて小振りです。しかし、車内の優雅さは6号御料車とはまた別のものであり、両車を同時に見比べる価値は多いにあります。例えば、天井には帝室技芸員の川端玉章による「帰雁来燕図」が描かれていて、上品な落ち着きをもたらせています。
こちらもデッキからの見学となりますが、写真と実物ではまったくイメージが異なりますので、この機会にぜひ見ておきたいところです。
期間中、毎日10:30~12:00と13:00~15:00の2回に分けての内部公開です。予約はいりませんが、少人数に区切っての見学となりますので、希望者多数の場合には順番待ちとなります。
御料車が保存されているのは、鉄道局新橋工場です。
そのほか、鉄道寮新橋工場、六郷川橋梁、新大橋、東京駅警備巡査派出所、名鉄岩倉変電所、尾西1号蒸気機関車、名電1号形路面電車など、鉄道関係の展示物が多数あります。
その中でも、特筆されるのが動態保存車でしょう。動態保存は2線区で行われていて、両線を乗り継ぐと広大な明治村の多くの場所にアクセスしやすくなります。
その一つが、右の写真にある京都市電です。N電と呼ばれた1067mm軌間の路面電車で、京都電気鉄道が開設した日本初の路面電車をルーツに持つものです。その後に開業した京都市営に買収されたため、京都市電と呼ばれています。
品川燈台~京都七条~市電名古屋間約800メートルを、25分間隔で往復しています。
運転台はオープンデッキにありますので、雨の日には運転士さんが合羽を着ての運転となります。でも、乗客は車内なので濡れる心配はありません。
チンチンという合図で走りはじめ、力行時には吊り掛けモーターの唸る音が聞こえるのは、楽しいものですよね。
京都市電に続いて動態保存されたのは、蒸気機関車です。それも、まだ国鉄に現役の蒸気機関車がいた昭和49年のことでした。動態運転をはじめてから、すでに44年にもなります。途中、安全確認のため運転を休止していた時期もありましたが、いまでは元気に活躍しています。
12号機と9号機の2両がいますが、そのうち12号機は明治7年製です。日本初の鉄道として新橋~横浜間が開業したのは明治5年ですが、その2年後に、同区間の増備車として輸入された英国シャープ・スチュアート社製です。今年で御年144歳! もちろん国内最古の動態保存機です。
3両の2軸客車を牽いて、SL名古屋~SL東京間約800メートルを結んでいます。その両端では、必ず転車台(ターンテーブル)に載って方向転換し、ネジ式連結器で列車進行前方に連結します。すべて手動で、その様子を乗客が見学できるようになっています。
なお、2両の機関車のいずれが走るかは公表されていません。
御料車の特別展示期間中に休村日はありませんが、蒸気機関車は4月23日を除く毎週月・火曜日が運休となりますのでご注意下さい。ちなみに、月・火曜日の運休はゴールデンウィークを除いて6月26日(火)まで続きます。その後は未定とのことですので、今夏以降に明治村訪問を予定されている方は、改めて明治村のホームページでご確認下さい。
明治村へのアクセスは、名鉄犬山線犬山駅東口から明治村行バスで約20分です。また、名鉄バスセンターからの直行バスもあります。
詳しくは、明治村のホームページをご覧下さい。
掲載日:2018年03月23日
●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。