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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


  • ひろやすの汽車旅コラム
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

電鉄出雲市のデハニ50形にも会いに行こう [No.H042]

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国の登録有形文化財にもなっている出雲大社駅
出雲大社までは約350mと至近。
駅前は出雲大社への参道となっている。

5月31日付コラムに記した、一畑電車のツリカケ車デハニ53運転体験は、本社や車庫がある雲州平田駅で行いました。この平田の町は、木綿街道と呼ばれる木綿で栄えた町です。それだけに、街中を歩くと落ち着いたたたずまいの街道筋を楽しめます。運転体験の前後に寄り道してみる価値がありますよ。
さて、せっかく出雲まできたのですから、出雲大社にも寄ってみたいものです。今年60年ぶりの遷宮をしたところです。伊勢神宮も今年の遷宮ですが、20年ごとなので一生に何度かあります。でも、出雲大社の遷宮はほぼ一生に一度のことでしょう。実は、その遷宮当日に運転体験をしたのでした。これも何かの縁…そういえば、出雲大社は縁結びの神様なのでした。
その出雲大社の最寄り駅は、出雲大社前駅です。雲州平田駅から約25分で着きます。途中、川跡駅で乗り換えるのですが、週末などには直通列車も走っています。駅舎はステンドグラスがついたお洒落な洋風建築で、国の登録有形文化財に指定されています。お洒落なカフェレストランが併設されているので、出雲大社にお参りしたあとゆっくりするにも適しています。
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「縁結びスクエア」の先に顔を出しているデハニ52。
車内を自由に見学できるところが嬉しい。
左側が駅舎に続くカフェレストラン。

カフェレストランの庭のようになっている「縁結びスクエア」というポケットパークには、デハニ50形が見えます。出雲大社前駅のホーム端にあたる場所ですが、改札を経ないで近づけ、車内も自由に見学ができるようになっています。さきほど運転したデハニ53の前年に製造されたデハニ52で、映画「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」で活躍したもう一両のデハニ50形です。映画のロケ時に、同スタッフはこのデハニ52の内装をより丁寧に仕上げたそうで、たしかに車内はデハニ53よりもしっかりと整備されています。どちらが好みかは見解が分かれそうですが、比較ができるのは運転体験をした者だけの特権です。ぜひ、車内の細かいところまで比較してみましょう。

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国の重要文化財に指定されている旧大社駅。
堂々とした瓦屋根の日本建築は、内部も見学可。
外見からは2-3階建てに見えるが、内部は吹き抜けだ。
出雲大社前駅から、出雲大社とは反対側に約850mのところには、旧国鉄大社駅があります。こちらは、実に荘厳な建物で、出雲大社への参詣客が団体で押し寄せていた頃の活況を思い起こさせる堂々とした大きな建物です。国の重要文化財に指定されていることも納得できる素晴らしい和風建築で、その内外をじっくりと見学できます。駅舎を抜けたところにはホームも残っていて、その先には線路もあります。その広い構内や、出場専用の出札口が駅舎の隣に設置されていることなどからも、大勢の利用者に対応した設計になっていることが判ります。
ホーム端には蒸気機関車D51 774も静態保存されています。本州で最後まで走っていた山陰本線のD51のうちの1両です。廃車後に出雲大社境内にて静態保存されていたものを、平成13年にこの大社駅跡にもってきたと案内板に記してあります。
この旧大社駅は、じっくりと見学していると興味が尽きません。それにも関わらず、無料で公開されていて、さらに来訪者はさほど多くないことが、なんとももったいない気がします。出雲大社まで行ったら、ぜひ寄っていきたいところです。



掲載日:2013年06月14日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。