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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

名物の名を冠した"さぬき高松うどん駅" [No.H067]

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一見、ふつうの駅名標に見えるが、下部を見ると…
「うどん県。それだけじゃない香川県」キャンペーン
で登場した「さぬき高松うどん駅」の駅名標。


右の駅名標は、JR四国の高松駅で見られる駅名標です。パッと見には普通の駅名標に見えますが、一番下のところにご注目下さい。「さぬきうどん駅」と記された真ん中に、赤字で「高松」とあります。その左側には

うどん県
それだけじゃない香川県

と記されています。
香川県は、2011(平成23)年10月から「うどん県。それだけじゃない香川県」プロジェクトをはじめています。全国的に知名度の高い讃岐うどんを前面に打ち出しつつ、香川県の知名度を向上させようとしてはじめたプロジェクトです。「うどん県」は、翌年末の流行語大賞にノミネートされるほど話題となりましたので、覚えていられる方も多いと思います。
その香川県の県庁所在地である高松市の玄関口・高松駅にも、プロジェクトに絡めた名称として、「さぬき高松うどん駅」という愛称をつけたわけです。


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駅舎内にも「さぬき高松うどん駅」のコピーが。
控えめながらも、しっかりとアピールしている。
※2012(平成24)年8月に撮影したものです。
駅名標だけではなく、改札を出た駅コンコースにも、駅名標より大きなコピーが掲出されていました。実は、駅舎内ではもっと大きくアピールしているのかと思っていたのですが、それほどではなく、大人しく上品に、それでいてしっかりと主張している感じでした。
ところで、「高松」の文字が「さぬきうどん」という平仮名の中央に赤字で記されていますね。実は、原案には「高松」の文字が無かったそうです。
プロジェクト発足当初は、香川県を代表する高松駅を「さぬきうどん駅」と名づけていました。ところが、それではどこの駅だかわからないとか、本来の地名である「高松」がないのはおかしいといった意見が多く出たそうです。そこで、「さぬき"高松"うどん駅」に変更したという経緯があります。もっとも、正式な駅名は「高松」のままですから、その点はご安心下さい。


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高松駅改札を入った右側にある「連絡船うどん」の店。
往年の宇高連絡船の写真も、入口上部に掲げてある。
気軽に立ち寄れる、駅構内の立ち食いうどん店だ。
ところで、中高年の方だと、高松駅といえば国鉄の宇高連絡船のイメージをお持ちの方もおいでかと思います。かくいう筆者もその一人です。瀬戸大橋がない時代に、本州と四国は船で結ばれていました。そのなかで、国鉄が運行していたのが宇高連絡船でした。本州側の列車が到着する宇野駅と、四国側の列車が発車する高松駅との間を、文字どおり連絡していたのです。このことから、当時は高松駅が四国の玄関口でした。
その宇高連絡船内には、讃岐うどんを食べられる立ち食いうどん店があって、当時、人気でした。その味を再現して高松駅構内に開店しているのが「連絡船うどん」です。高松駅の改札口を入ってすぐ右側にあり、駅舎内にも出入口があります。
瀬戸大橋線の開業は1988(昭和63)年4月でしたから、今年で廃止から25年が経ちました。それでもかつての味が懐かしいこと、それに駅で気軽に讃岐うどんが食べられるということから、人気のお店となっているようです。
「さぬき高松うどん駅」に行ったら、駅名標とともにこの連絡船うどんも楽しみたいですね。



掲載日:2013年12月06日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。