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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


  • ひろやすの汽車旅コラム
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

東武東上線が5月1日に開業100周年を迎える [No.H086]

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5月1日に開業100周年を迎えた東武東上線。100年前に開通した区間は、川越駅で後方のJR川越線と接続している。
東武鉄道は、浅草から埼玉県・群馬県へと北上する伊勢崎線と、池袋から西北の川越方向へ向かう東上線の、2つの幹線を軸にした大手私鉄です。そのうち東上線は、2014年5月1日に開業100周年を迎えました。
いま、東上線は池袋~寄居間75.0kmの路線ですが、開業した1914(大正3)年5月1日時点では、池袋~田面沢(たのもざわ)間の33.5kmでした。田面沢駅は、川越駅の北隣となる川越市駅と、その次の霞ヶ関駅の中ほどにあった駅でした。当時は東上鉄道として開業し、2年後の1916(大正5)年10月27日に、いまの坂戸駅まで9.3kmを延伸しています。さらに4年後となる1920(大正9)年7月27日に東武鉄道と合併して東武東上線となりました。
いまの東上線の終点である寄居まで開業したのは、1925(大正14)年7月10日のことです。ただし、当時は蒸機鉄道で、電車が走りはじめたのは1929(昭和4)年になってのことでした。とはいえ、当初の部分開業から全線電化まで、わずか15年しかかかっていません。その後、越生鉄道が開業した坂戸~越生間を買収し、戦後となる1950(昭和25)年7月24日に電化することで現在の路線網が完成しました。


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写真は同じく東上線沿いにある練馬区立の「電車の見える公園」。

その東上線の起点である池袋からすぐのところに、ユニークな名前の公園があります。「豊島区立 池袋本町電車の見える公園」です。池袋から2駅目の下板橋で下車して、北池袋方面に少し戻ったところにあります。左の写真のとおり、道路を挟んで東上線と公園がありますので、公園で遊ぶ子供達にとっては、まさに「電車の見える公園」なのです。
この公園は、2013(平成25)年4月に開園したばかりです。以前は清掃車庫があった場所だそうで、住宅密集地だけに貴重な空間だとして、地域住民による検討の結果まとまった案をもとに造られたそうです。もちろん、子供達の遊び場であるとともに、いざというときの防災拠点の役割も担っています。こんな公園で育った子どもからは、鉄道好きが多く育つのでしょうか。


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東上線の座席定員制列車「TJライナー」。専用の50090系を使い、クロスシートにして運行する。
東上線には、同線で最優等列車となる「TJライナー」があります。特急が走らない東上線は、従来、全列車が一般車でした。そこに、50090系という新鋭車両を投入しました。この車両は、通常、座席がロングシートなのですが、「TJライナー」になるときには左右2列ずつ進行方向に向かって座ることができるクロスシートになる仕様です。
「TJライナー」は2008(平成20)年6月14日に登場した座席定員制列車で、乗車には着席整理券310円が必要です。全列車が池袋発の下りで、平日は池袋18:00発~22:50発までほぼ30分ごとに計10本、土休日は池袋17:00発と18:00発~20:00発の30分ごとの計6本です。通勤・買い物で疲れた帰路に、ありがたいサービスとして人気があるようです。
以前は写真の森林公園行がありましたが、いまは全列車がさらに先の小川町行となっています。池袋~小川町は64.1kmで、急行で1時間10-18分を要しますが、「TJライナー」は所要1時間00-5分です。都市鉄道としては、表定速度がかなり速いですよね。





掲載日:2014年05月02日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。