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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


  • ひろやすの汽車旅コラム
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

予土線(3) どいなか・はげ・日本一暑い町… [No.H091]

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予讃線どいなか踏切に掲示してある踏切名
タイトルをみて、何と酷いことを…と憤慨された方がいられたらごめんなさい。先に謝っておきます。でも、これは悪意あってのものではないんですよ。個性豊かな土地ならではの 、ユニークな予土線の側面を今回はご紹介します。

そのトップバッターは、「どいなか踏切」。予土線のなかでも宇和島に近い伊予宮野下~二名間にある踏切名です。あたりは田園地帯で、なかなかのどかなところです。でも、それだからといってついた踏切名ではありません。「どいなか」のすぐ下に見えている漢字で気づかれた方もおいででしょう。「土居中踏切」なのです。漢字にすると、なるほど…と思いますよね。
この踏切のあたりは三間町宮野下の地名で、少し南に行った川を渡ると三間町土居中となります。その土居中へと向かう道の踏切としてつけた名称でしょうか。でも、ひらがなで見るとどうしても… ねぇ。


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予土線はげ駅は、山の斜面にある無人駅
お次は、「はげ駅」です。
こちらは、ひらがなで「はげ」と記してあるだけでなく、「Hage」とご丁寧にアルファベット表記もしてあります。四万十川沿いにある、山の斜面に造られた駅で、国道からは 階段を約60段登ったところにあります。見るからに利用者が少ないと思われる駅ですが、だからといって「はげ」はないだろう… というのは早合点。この駅付近の住所が四万十市 西土佐半家なのです。そう、「半家」と書いて「はげ」と読むのです。
ちなみに、駅名の下にある「G33」は、最近普及しつつある訪日外国人向けの駅ナンバリングです。「G」は、予土線の愛称・しまんとグリーンラインを意味し、その33番目の 駅という意味です。ただし、Gは27からはじまっています。というのも、土讃線の高知以西に対してJR四国は駅ナンバリングをリセットし、高知駅を00番としているのです。 その27番目の若井駅から予土線が分岐するため、同駅をG27としています。実用的なナンバリングと感じます。


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日本一暑い駅を売りにしている江川崎駅
最後は、日本一暑い駅を売りにしている江川崎駅です。
昨2013年夏に、国内最高気温となる41.0℃を記録した四万十市をご記憶の方も多いと思います。その四万十市の、ここ江川崎にある気象観測所「江川崎アメダス」で8月12日に記録し た温度なのです。2007年8月16日に岐阜県多治見市と埼玉県熊谷市で40.9℃を記録して以来、6年ぶりの国内記録更新でした。それだけに、駅には日本一暑い駅との表示がいくつも掲げられています。
その一つである改札を入ったところの掲示の下には、奇妙な形の椅子がありました。右の写真です。これ、何だか判りますか?椅子の上に丸い掲示物がありますよね。そこには次のように書いてあります。

    らぶらぶベンチ
    LOVE LOVE BENCH
    日本一あつい41.0℃!

さらによく見ると、下辺にこんな注意書きがありました。

    「たいへんよくすべるベンチですので、くっつきすぎに ごちゅういください。」

そこで、ベンチをよくみると、座面が中央に向かって左右共に傾いているのですね。さらに座面はツルツル。二人で座ると、ツルツルっと中央に寄って体がくっついてしまうわけで す。思わず笑ってしまいました。この掲示主がJR四国ということは、このベンチもJR四国が作成したのでしょう。なかなかユーモア溢れる社員がおいでのようですね。

以上、ここまで3回に分けて予土線を紹介してきました。
なかなか魅力溢れるローカル線ですよね。
アクセスがやや不便ですけど、それだけに行った甲斐のある路線でもあります。
機会をみて、ぜひ皆さんも訪れてみて下さい。




掲載日:2014年06月06日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。