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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


  • ひろやすの汽車旅コラム
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

福岡の太宰府天満宮へは、太宰府観光列車「旅人」で行こう [No.H095]

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3月22日から走りはじめた、太宰府観光列車「旅人(たびと)」。特別ラッピングの専用編成が使われている。
福岡の太宰府といえば、学問の神様として知られる藤原道真公を祀る太宰府天満宮で知られています。全国で親しまれている「天神さま」の総本宮ですね。その境内に隣接した地には、九州国立博物館があります。東京・京都・奈良に次いで開館した4つめの国立博物館です。
この太宰府天満宮と九州国立博物館のそれぞれに、年間を通して多くの観光客が訪れています。でも、九州を代表する玄関口であり、福岡県を代表する駅でもある博多駅から太宰府へは、行きやすいとは言えない状況です。というのも、最寄り駅となる太宰府駅は、九州で唯一の大手私鉄である西日本鉄道(西鉄)の太宰府線の終点です。このため、博多からは

博多~[地下鉄]~福岡(天神)~[徒歩]~西鉄天神~西鉄二日市~太宰府
と、地下鉄1本と西鉄2本を乗り継ぐ必要があるのです。これらを順調に乗り継いだ場合、所要時間は45分前後です。なお列車本数は、もっとも少ない西鉄二日市~太宰府でも、ほぼ15分に1本あります。
この乗り換え対策として、西鉄は博多駅前にあるバスターミナルから、太宰府行のバスを日中1時間に1本走らせ始めました。途中、福岡空港国際線ターミナルを経由することで、訪日外国人も受け入れる体制です。こちらは所要42分で、運賃は鉄道乗り継ぎと同額の600円です。
どちらを選択するかは微妙なところですよね。そこで、鉄道側の魅力アップを狙って、バスとほぼ同時に登場したのが、太宰府観光列車「旅人」です。



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特急用の8000形を使用したラッピング車「旅人」は、車体に太宰府ゆかりのイラストも描かれている。
「旅人」は「たびと」と読みます。万葉集の家人として知られる大伴旅人(おおとものたびと)が、かつて太宰府に赴任して数多くの歌を残しているとして、太宰府天満宮の宮司さんが命名されたそうです。同時に、文字どおり「たびびと」の意味も掛け合わせてあるそうです。
西鉄の特急車8000系の1編成をラッピングした専用列車で、正面に大きく「旅人」と記してあるほか、車体側面には太宰府ゆかりのイラストが描かれています。イラストは、太宰府天満宮、九州国立博物館はもとより、太宰府の境内にある御神牛・心字池・太鼓橋・だざいふ遊園地や、名物の梅ヶ枝餅、近隣の名所まで12種類のイラストで構成されています。
その地色は淡いピンクですが、よくみると白い線が規則正しく入っています。これは伝統的な和文様のひとつである「麻の葉文様」だということです。これらをじっくり見ていたいところですが、停車時間は短いので、さっそく乗り込みましょう。



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車両ごとにテーマを決めた和文様が楽しめる車内。どの車両に乗るか、乗る前から迷ってしまいそう。
車内は、壁に和文様が施されているだけでなく、蛍光灯カバーには梅があしらわれています。さらに広告も太宰府ゆかりのものばかりという徹底ぶりです。
ちなみに、車内の和文様は6両がすべて異なっていて、各車の文様は次の意味をもつそうです。

1号車 縁結び
2号車 家内安全(右の写真)
3号車 安産
4号車 厄除け
5号車 健康長寿
6号車 学業成就

それぞれ、太宰府らしい意味ですよね。6号車が太宰府駅側の車両です。
また、3号車にはスタンプ台がありますので、旅の記念のスタンプを押すことができます。

この「旅人」ですが、朝一番となる福岡(天神)駅9:46発だけ大牟田線からの直通列車です。同列車が10:13(土休日は10:14)に太宰府駅へ到着すると、その後は、太宰府線内を1時間に2往復するピストン運転となります。最終の「旅人」は、平日が太宰府発15:14、土休日が太宰府発16:45で、それまでの間は、太宰府線の2本に1本が「旅人」となります。太宰府駅では朝一番に福岡(天神)から直通してくる便を除いて、折り返し時間が15分前後とってありますので、見逃した外観イラストは、ここでじっくりと見学できますよ。





掲載日:2014年07月04日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。