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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
JR東日本の大船渡線BRTに乗る [No.H099]
先週まで3週続けて三陸鉄道について記しました。その最後で、南リアス線の盛駅は、三陸鉄道ホームの反対側にあった線路がなくなり、舗装されていることを記しました。今回は、その舗装道路を運行している大船渡線BRT(Bus Rapid Transit)について記します。
大船渡線BRTに使われているのは、ご覧の通りJR東日本のハイブリッドバスで、環境にも配慮していることが感じられます。車内もバスそのものですが、乗車はご覧の通り駅のホームからとなります。ただし、ホームは線路があったときのままでは高すぎるため、線路敷きを埋めて高くし、バスの乗降にちょうど良い高さにしてあります。すぐ後ろに跨線橋が写っていますが、この舗装道路がありますから、誰もがそのまま道路を横断しています。そういう意味では、BRTのホームはバスターミナルのような設備といえましょうか。
左の奥にもう一台のバスが写っていますが、これはこの日の乗客が多いことから、JR東日本が気を利かせて用意してくれた増発車です。よく見ると、その増発車のすぐ先はガードレールになっています。この部分は左右が広くなっていて、バスが転回できるスペースとしてあるのです。鉄道車両だと前後に運転台があって、前後どちらへも運転できますが、バスはそういうわけにはいかず、バス転回場の用意が必要となるわけです。
盛駅を発車した大船渡線BRTは、線路敷きを舗装したところを走ります。BRT専用道ですので、渋滞も信号もなく、定時で走ります。私は増発車に乗りましたので、本来のBRTに続いて走ることになります。ただし、ピッタリついて走るわけではなく、無理のない走り方をしています。線路敷きはバス一台が走るには十分な幅ですが、対抗してくるバスとはすれ違えませんので、途中の駅は鉄道線と同様に幅が広くなっていて、ここで対抗してくるバスとすれ違うようになっています。鉄道会社が運行しているだけに、ダイヤを守って運転するのはお手の物でしょう。
しばらく走ると、山側の一般道を走るようになります。津波被害で線路敷きが使えなくなっているところのようです。さらに、陸前高田ではかなり奥まったところにある高台まで進みました。ここに陸前高田市役所が移転し、近くに陸前高田駅もできているのです。駅といっても道路の幅を少し広げただけのところで、その一角にプレハブの建物があります。なにかと思ったら「みどりの窓口」と書いてありました。
陸前高田駅を発車すると、一気に海辺へ向かいます。この一帯はもともと町並みがあったのですが、いまはほとんど更地となっていて、重機が投入された建設現場となっています。その一角に、「奇跡の一本松」もあります。このあたりは津波で壊滅的な被害を被ったわけですが、その津波がどこまできたかは、上の写真のとおり一目瞭然です。ここで万一大きな揺れがあったら、自分もここより高いところまで逃げることが必要なんだなと思いつつ、周囲の光景を眺めました。
盛駅から1時間14分で、大船渡線BRTの終点となる気仙沼駅に着きました。その後半となる陸前高田駅以降は、線路から離れた国道を走ってきたので、この区間はBRTというより単なるバスといった感じです。気仙沼駅では駅前に着くところも、単なるバスのイメージです。一方、気仙沼駅からは気仙沼線BRTがでていて、こちらは駅のホームからの発着です。
気仙沼駅の駅舎を抜けたところは、盛駅と同じく線路敷きを嵩上げして舗装してあります。ここに気仙沼線BRTが走ってくるわけです。上の写真は、ちょうど回送がやってきたところですが、下部の緑色のところが横断歩道となっています。気仙沼線BRTなので構内踏切と記したいところですが、どうみても横断歩道です。安全確保のため、係の方が立って下さっていることがわかります。ちなみに、写っているのはe-BRTと名づけられた、電気自動車を使ったBRTです。
駅ホームの上部には「気仙沼」と鉄道駅ならではの表示が掲げられています。その先には、大船渡線の気動車が止まっています。この駅から山越えをして一ノ関までの大船渡線は、鉄道線としていまも活躍していますので、ここで鉄道車両がみられるわけです。
今回、震災後の津波被災地に初めて行きましたが、百聞は一見にしかずという通り、いろいろと感じるものがありました。地元の応援のためにも、三陸海岸を巡る旅を計画してみませんか?
掲載日:2014年08月01日
大船渡線BRTに使われているのは、ご覧の通りJR東日本のハイブリッドバスで、環境にも配慮していることが感じられます。車内もバスそのものですが、乗車はご覧の通り駅のホームからとなります。ただし、ホームは線路があったときのままでは高すぎるため、線路敷きを埋めて高くし、バスの乗降にちょうど良い高さにしてあります。すぐ後ろに跨線橋が写っていますが、この舗装道路がありますから、誰もがそのまま道路を横断しています。そういう意味では、BRTのホームはバスターミナルのような設備といえましょうか。
左の奥にもう一台のバスが写っていますが、これはこの日の乗客が多いことから、JR東日本が気を利かせて用意してくれた増発車です。よく見ると、その増発車のすぐ先はガードレールになっています。この部分は左右が広くなっていて、バスが転回できるスペースとしてあるのです。鉄道車両だと前後に運転台があって、前後どちらへも運転できますが、バスはそういうわけにはいかず、バス転回場の用意が必要となるわけです。
盛駅を発車した大船渡線BRTは、線路敷きを舗装したところを走ります。BRT専用道ですので、渋滞も信号もなく、定時で走ります。私は増発車に乗りましたので、本来のBRTに続いて走ることになります。ただし、ピッタリついて走るわけではなく、無理のない走り方をしています。線路敷きはバス一台が走るには十分な幅ですが、対抗してくるバスとはすれ違えませんので、途中の駅は鉄道線と同様に幅が広くなっていて、ここで対抗してくるバスとすれ違うようになっています。鉄道会社が運行しているだけに、ダイヤを守って運転するのはお手の物でしょう。
しばらく走ると、山側の一般道を走るようになります。津波被害で線路敷きが使えなくなっているところのようです。さらに、陸前高田ではかなり奥まったところにある高台まで進みました。ここに陸前高田市役所が移転し、近くに陸前高田駅もできているのです。駅といっても道路の幅を少し広げただけのところで、その一角にプレハブの建物があります。なにかと思ったら「みどりの窓口」と書いてありました。
陸前高田駅を発車すると、一気に海辺へ向かいます。この一帯はもともと町並みがあったのですが、いまはほとんど更地となっていて、重機が投入された建設現場となっています。その一角に、「奇跡の一本松」もあります。このあたりは津波で壊滅的な被害を被ったわけですが、その津波がどこまできたかは、上の写真のとおり一目瞭然です。ここで万一大きな揺れがあったら、自分もここより高いところまで逃げることが必要なんだなと思いつつ、周囲の光景を眺めました。
盛駅から1時間14分で、大船渡線BRTの終点となる気仙沼駅に着きました。その後半となる陸前高田駅以降は、線路から離れた国道を走ってきたので、この区間はBRTというより単なるバスといった感じです。気仙沼駅では駅前に着くところも、単なるバスのイメージです。一方、気仙沼駅からは気仙沼線BRTがでていて、こちらは駅のホームからの発着です。
気仙沼駅の駅舎を抜けたところは、盛駅と同じく線路敷きを嵩上げして舗装してあります。ここに気仙沼線BRTが走ってくるわけです。上の写真は、ちょうど回送がやってきたところですが、下部の緑色のところが横断歩道となっています。気仙沼線BRTなので構内踏切と記したいところですが、どうみても横断歩道です。安全確保のため、係の方が立って下さっていることがわかります。ちなみに、写っているのはe-BRTと名づけられた、電気自動車を使ったBRTです。
駅ホームの上部には「気仙沼」と鉄道駅ならではの表示が掲げられています。その先には、大船渡線の気動車が止まっています。この駅から山越えをして一ノ関までの大船渡線は、鉄道線としていまも活躍していますので、ここで鉄道車両がみられるわけです。
今回、震災後の津波被災地に初めて行きましたが、百聞は一見にしかずという通り、いろいろと感じるものがありました。地元の応援のためにも、三陸海岸を巡る旅を計画してみませんか?
掲載日:2014年08月01日
●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。