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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

3月14日ダイヤ改正で東海道新幹線がスピードアップ! [No.H130]

3月14日のダイヤ改正では、北陸新幹線金沢開業が大きく話題となっていますが、それ以外にも注目すべき改正があります。そんなJR東海のダイヤ改正概要を、今回はみていきましょう。

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東海道新幹線は、「のぞみ」登場以来23年ぶりに最高速度をアップして、285km/h運転をはじめる。
JR東海にとってのダイヤ改正の目玉は、東海道新幹線の最高速度を270km/hから285km/hにすることです。
よく知られているとおり、東海道新幹線は1964(昭和39)年10月1日の開業から、半世紀を経ました。当時としては画期的だった急カーブが少ない路線ですが、半径2500mという新幹線としては急なカーブが随所にあって、最高速度が抑えられています。ちなみに、山陽新幹線以降に造られた新幹線は、カーブの半径が4000m以上を基本としています。また、直線区間も多くなっています。
その東海道新幹線は、開業当初に最高速度が210km/hで、国鉄時代に220km/hまで高められました。その最高速度は、300系の登場で一気に270km/hまで押し上げられます。1992年3月14日のダイヤ改正で誕生した「のぞみ」です。このとき、東京~新大阪間の所要時間は、2時間52分から2時間30分へと22分も短縮したのです。その後、700系・N700系の登場により加速度があがったため、現状では東京~新大阪間の所要時間が最速で2時間25分となっています。それも、全列車が新横浜駅に停車するようになったうえ、品川駅も開業していますので、停車駅が増えながら到達時間が短縮しているわけです。
3月14日のダイヤ改正では、最高速度の向上によりさらに3分短縮となり、東京~新大阪間が最速で2時間22分となります。最速列車は早朝と深夜だけですが、日中の列車も1時間に2本が、最高速度の向上により東京~新大阪間で3分の時間短縮となる2時間30分になります。


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3月1日に電化開業した武豊線は、JR東海発足後初めての電化路線となった。
JR東海は電化路線の割合が多いのですが、高山本線・太多線・武豊線・紀勢本線・参宮線・名松線が非電化線でした。このうち武豊線は、ダイヤ改正より一足早く、3月1日に電化開業しました。JR東海が発足して間もなく28年ですが、非電化線を電化したはじめての路線となりました。
この電化により、武豊線には東海道本線と同じ313系電車が走るようになっています。さらに、3月14日のダイヤ改正で、通勤時間帯に名古屋まで直通する列車が増えます。線内運転列車も増発されることで、東海道本線から武豊線への乗換機会も増えます。特に名古屋発18時台は、これまで1時間に2本だった列車が、直通・乗換あわせて4本と倍増します。これで、通勤通学に使いやすい路線になったといえましょう。
ところで、どうしてダイヤ改正より約2週間もはやく電化をしたのでしょう。それには理由があります。


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3月14日ダイヤ改正で、太多線からキハ40系とともに、このキハ11形も消え去る。
武豊線が非電化の頃に走っていたキハ25形とキハ75形は、美濃太田車両区に転属して高山本線で使われることになっています。キハ75形は快速「みえ」に使用する車両ですが、通勤通学時間帯には武豊線にも応援にきていたのです。同車を高山本線に投入するために、快速「みえ」の多くは、昨年12月1日から従来の4両編成が2両編成にもどっています。伊勢神宮の式年遷宮の影響で昨年までは利用者が多かったのですが、それが元に戻ったこともあります。ここで捻出されたキハ75形を、高山本線用に改造しているものと思われます。その改造したキハ75形と、3月1日に電化した武豊線で使っていたキハ25を美濃太田車両区に転属して、ダイヤ改正までに運転士の習熟運転などが行われているのでしょう。

となると、美濃太田車両区で廃車される車両がでるものと予想されます。これについてJR東海では、太多線で使用する列車をダイヤ改正後はすべてキハ25形もしくはキハ75形にするとしています。同時に、高山本線の美濃太田~岐阜間でも定期列車の約8割が両形式になるとしています。つまり、国鉄形のキハ40系はもとより、JR東海が新製したキハ11形まで余剰廃車となることが予想されるわけです。
JR東海は、国鉄時代に造った電車は全廃し、気動車もいまやキハ40系だけとなっています。さらに、JR東海になって新製した特急「あさぎり」用371系は、当コラム1月16日分で記した通り、今月下旬に富士急行へ譲渡されることが発表されています。同車とともに、JRになっての新製車キハ11形も廃車がはじまると、鋼製車体の車両がどんどん淘汰されていくことも予想されますね。


掲載日:2015年03月13日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。