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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


  • ひろやすの汽車旅コラム
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

沖縄“ゆいレール”の見どころは、ここだ! [No.H142]

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那覇空港駅の改札前にある「日本最西端の駅」モニュメント。飛行機の翼の形状をイメージしている。
先週、「日本最南端の駅」として、沖縄の那覇市を走るゆいレール赤嶺駅を紹介しました。
同駅の次の駅は、終点であり、那覇市の玄関口でもある那覇空港駅です。この那覇空港駅が、日本最西端の鉄道駅なので、改札前には右の写真のモニュメントがあります。
那覇空港に着いて、ゆいレールの駅に向かう通路の突き当たりにありますので、誰の目にも飛び込んでくるはずですが、最南端の駅モニュメントと気付かずに通過する人が多いようです。それだけに、カメラを構えていると「なんだろ?」と思い、それと気付いて、いきなり記念撮影が始まったりします。記念撮影が終わるまで、私は写せないんですけどぉ…

それはともかくとして、なんとも奇妙な形をしたモニュメントですよね。
その形は、飛行機の翼をイメージしたものだそうです。そう言われて、改めて見ると、なるほどと思いますよね。
中央下部に四角く黒い部分が2つありますが、上がゆいレールの車両、下がこの地の特産品であった鏡水大根(カガンジデークニ)をブロンズで作ったものだそうです。かつて、那覇空港は鏡水大根の畑だったのだそうです。
ゆいレールに行ったら、見逃さずに見てきたいモニュメントです。


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駅の改札付近では、駅名標の横にある染織デザインとシーサーを見よう。
左の写真は、壷川駅の改札付近を写したものです。
自動改札機の上にある駅名標は緑色ですが、右下にある首里駅のものは赤色ですよね。前記、「日本最南端の駅」のモニュメント写真に写っている、那覇空港の駅名標は青色です。
ゆいレールでは、那覇空港から3駅ごとに沖縄らしい駅カラーを設定しているのです。青・緑・黄・オレンジ・赤だそうです。
写真をクリックして大きく表示すると、駅名の左側に、なにやら模様が描かれていることが判ります。これは、沖縄伝統の染織デザインだそうで、一駅ごとに柄が違います。首里駅のものは龍が描かれているので、より判りやすいですよね。

さらにもう一つ、改札付近で見ておきたいのが、シーサーです。
沖縄では広く見られる、伝説の獅子で、魔除けとして屋根の上に付けられているのをご存知の方も多いでしょう。
左右一対で、それぞれに表情が異なりますが、駅によって形状だけでなく色も違っています。写真の右側で5駅のシーサーをご紹介していますが、怖い表情のものから、ちょっととぼけた雰囲気のものまで、いろいろなシーサーがあることが判るでしょう。
前回紹介した24時間有効の1日乗車券を使うと、駅ごとにちがう駅名標の染織デザインとシーサーの表情を、一駅ずつ楽しんでいくこともできます。


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ゆいレール展示館内にある、ゆいレールに関する展示資料。ゆいレール以外の資料も展示している。
那覇空港駅で時間があるなら、寄ってみたいのが、ゆいレール展示資料館です。
那覇空港駅から、ゆいレールの高架下の右側を歩くと、10分ほどでゆいレールの線路が分岐している下につきます。そこに沖縄都市モノレールの本社入口の立て看板があり、よくみるとゆいレール展示館についても案内されています。本社所在地には車両基地があり、その一角にゆいレール展示館があるのです。入場無料ですが、土休日はお休みで、平日9:30~16:30の開館というところが、やや行きにくいです。

かつて何かに使っていたであろう建物がゆいレール展示館となっていて、玄関を入ったところに受付はありますが無人です。もちろん、監視モニターがついていて、グッズを購入する際にはインターホンで係の方を呼び出せるようにしています。
1階と2階の2フロアーですが、1階は誰もが想像するようなゆいレールに関する展示です。ビデオが流れているので、時間があればこれを見ると、ゆいレールについて詳しくなりそうです。
2階に上がると、もちろんゆいレールに関する資料もありますが、それだけでなく、鉄道全般に関する展示がされています。戦前にあった沖縄県営鉄道で使われていたレールと、港と首里を結んでいた路面電車のレールが展示してあります。民家の庭先で眠っていたものを、掘り出したそうです。古レールの上には、沖縄における陸上交通の歴史年表もあります。
2階の奥に歩を進めると、定年退職後に沖縄へ移住された、元東京高裁長官でエッセイストのゆたかはじめ氏が、都内の住居に趣味で収集されていた鉄道グッズを寄贈され、展示されています。貴重なものがいろいろとありますが、この行為に触発されてか、JR九州からは特急「なは」のヘッドマークが寄贈され、ゆたかはじめ氏の知人からは、肥薩線で活躍する58654号機や山口線で活躍するC57 1のナンバープレートの実物も寄贈され、展示されています。
無料だから…と見に行ったところ、意外なほど充実した内容で驚いた展示館でした。時間があれば、立ち寄られることをお勧めします。


掲載日:2015年06月12日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。