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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
べるもんた…北陸の新観光列車 その3 [No.H163]
前回まで、2週にわたって、能登半島で走る2つの観光列車を紹介しました。
北陸には、今秋からもうひとつ特徴ある観光列車が走っています。それが、右の写真にある「べるもんた」です。
特急「花嫁のれん」と同じく、10月からはじまった北陸デスティネーションキャンペーンに合わせて登場した富山県を走る列車です。全車指定席ですが、快速列車の扱いですので、普通乗車券に指定席券520円で乗車できます。
走るのは週末ですが、土曜日が新高岡~高岡~氷見(ひみ)の氷見線、日曜日が高岡~新高岡~城端(じょうはな)の城端線となっています。土曜日は高岡から海の方へ、日曜日は高岡から山の方へということになります。土曜日に城端線の新高岡駅発となるのは、北陸新幹線の接続駅・新高岡駅での乗り継ぎに配慮してのものでしょう。
ところで、「べるもんた」とは、なんとも変わった列車名ですよね。
これは略称で、正式には「ベル・モンターニュ・エ・メール」というそうです。フランス語で美しい山と海という意味だそうで、山と海の車窓を楽しめる列車にふさわしい命名といえそうです。
土曜日の「べるもんた」は、先に記したとおり氷見線での運転で、次の通り一日2往復します。
高岡駅で長時間停車しています。
これは、高岡駅から南に向かう城端線から北に向かう氷見線に転線するときに、北陸本線を引き継いだあいの風とやま鉄道の線路を横切るために要する時間です。この転線中は、車内にいてもホームで買い物をしていても良いそうです。
「べるもんた」はたった一両で走る単行列車ですが、2往復のうち1,2号の1往復には鮨職人が乗り込んで、富山湾で獲れた新鮮な鮨を握ってくれます。「ぷち富山湾鮨セット」2,000円で、指定席券とは別に「VISIT富山県」で3日前までに予約する必要があります。また、沿線のおつまみ4種類と地酒1杯で1,500円という「ほろ酔いセット」も、車内で販売しています。
車窓の見どころは、なんといっても雨晴海岸で、天気が良ければ富山湾の荒波の先に冠雪の立山連峰が見られる絶景となります。
その海岸線の一角には、「義経雨はらし岩」があります。かつて源義経が奥州へと逃げ延びる際、この岩で弁慶らと雨が上がるのを待ったと伝わる岩です。また、雨晴海岸の名称も、この古事から名づけられたとされています。
近くには如意の渡しがかつてあり、その氷見線側に安宅の関跡があります。ここが、勧進帳の名場面とされる、弁慶が主君である義経を守るために、敢えて打ち叩いたとされる場所です。
日曜日の「べるもんた」は、高岡から南の山へと向かう城端線での運転で、やはり一日2往復です。
城端線はほぼ全線にわたって平坦な路線ですが、進むにつれて、少しずつ高度を上げています。その沿線は、個々の家が点々とあり、各家のまわりには防風林があり、その周囲がその家の田畑という、日本一の規模を誇る散居村が続いています。
そののどかな景色を楽しみながら、次第に山が近付いてくるという行程です。
終点の城端は砺波平野が終わるあたりに位置していて、同駅からは合掌造りで有名な白川郷へといく「世界遺産バス」が接続しています。
「ぷち富山湾鮨セット」は、このうち午後の53号と54号で食べることができます。
「べるもんた」の車内はウッディな造りで、同じく砺波平野にあり欄間などの木彫り彫刻で知られる伝統工芸品「井波彫刻」の作品が、車内に飾られていたりします。
座席は、富山湾や立山連峰を見られる東側が、窓に向かって座ることができる席になっています。
ちょっとこだわりの、でも格式張らない北陸の観光列車たちに乗り、地元の味を楽しみに出かけませんか?
掲載日:2015年11月13日
北陸には、今秋からもうひとつ特徴ある観光列車が走っています。それが、右の写真にある「べるもんた」です。
特急「花嫁のれん」と同じく、10月からはじまった北陸デスティネーションキャンペーンに合わせて登場した富山県を走る列車です。全車指定席ですが、快速列車の扱いですので、普通乗車券に指定席券520円で乗車できます。
走るのは週末ですが、土曜日が新高岡~高岡~氷見(ひみ)の氷見線、日曜日が高岡~新高岡~城端(じょうはな)の城端線となっています。土曜日は高岡から海の方へ、日曜日は高岡から山の方へということになります。土曜日に城端線の新高岡駅発となるのは、北陸新幹線の接続駅・新高岡駅での乗り継ぎに配慮してのものでしょう。
ところで、「べるもんた」とは、なんとも変わった列車名ですよね。
これは略称で、正式には「ベル・モンターニュ・エ・メール」というそうです。フランス語で美しい山と海という意味だそうで、山と海の車窓を楽しめる列車にふさわしい命名といえそうです。
土曜日の「べるもんた」は、先に記したとおり氷見線での運転で、次の通り一日2往復します。
新高岡 | 高 岡 | 氷 見 | ||||
1号 | 11:12 | → | 11:15~11:33 | → | 12:04 | |
2号 | 13:15 | ← | 13:12~12:45 | ← | 12:14 | |
3号 | 14:58 | → | 15:01~15:30 | → | 16:14 | |
4号 | 16:56 | ← | 16:26 |
これは、高岡駅から南に向かう城端線から北に向かう氷見線に転線するときに、北陸本線を引き継いだあいの風とやま鉄道の線路を横切るために要する時間です。この転線中は、車内にいてもホームで買い物をしていても良いそうです。
「べるもんた」はたった一両で走る単行列車ですが、2往復のうち1,2号の1往復には鮨職人が乗り込んで、富山湾で獲れた新鮮な鮨を握ってくれます。「ぷち富山湾鮨セット」2,000円で、指定席券とは別に「VISIT富山県」で3日前までに予約する必要があります。また、沿線のおつまみ4種類と地酒1杯で1,500円という「ほろ酔いセット」も、車内で販売しています。
車窓の見どころは、なんといっても雨晴海岸で、天気が良ければ富山湾の荒波の先に冠雪の立山連峰が見られる絶景となります。
その海岸線の一角には、「義経雨はらし岩」があります。かつて源義経が奥州へと逃げ延びる際、この岩で弁慶らと雨が上がるのを待ったと伝わる岩です。また、雨晴海岸の名称も、この古事から名づけられたとされています。
近くには如意の渡しがかつてあり、その氷見線側に安宅の関跡があります。ここが、勧進帳の名場面とされる、弁慶が主君である義経を守るために、敢えて打ち叩いたとされる場所です。
日曜日の「べるもんた」は、高岡から南の山へと向かう城端線での運転で、やはり一日2往復です。
城端線はほぼ全線にわたって平坦な路線ですが、進むにつれて、少しずつ高度を上げています。その沿線は、個々の家が点々とあり、各家のまわりには防風林があり、その周囲がその家の田畑という、日本一の規模を誇る散居村が続いています。
そののどかな景色を楽しみながら、次第に山が近付いてくるという行程です。
終点の城端は砺波平野が終わるあたりに位置していて、同駅からは合掌造りで有名な白川郷へといく「世界遺産バス」が接続しています。
高 岡 | 新高岡 | 城 端 | 城端駅前 | 白川郷 | |||||
51号 | 9:35 | → | 9:39 | → | 10:19 | ・・・・・10:25 | → | 11:40 | |
52号 | 11:15 | ← | 11:12 | ← | 10:33 | ||||
53号 | 12:52 | → | 12:56 | → | 13:42 | ・・・・・13:55 | → | 15:10 | |
54号 | 15:01 | ← | 14:58 | ← | 14:14 |
「べるもんた」の車内はウッディな造りで、同じく砺波平野にあり欄間などの木彫り彫刻で知られる伝統工芸品「井波彫刻」の作品が、車内に飾られていたりします。
座席は、富山湾や立山連峰を見られる東側が、窓に向かって座ることができる席になっています。
ちょっとこだわりの、でも格式張らない北陸の観光列車たちに乗り、地元の味を楽しみに出かけませんか?
掲載日:2015年11月13日
●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。