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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

申年を駆ける特急「スノーモンキー」 [No.H170]

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長野電鉄の特急「スノーモンキー」。
もと成田エクスプレスの車両が、なぜ猿を名乗るように…?
明けましておめでとうございます。
2016年は干支で申(さる)年ですね。
“さる”に関わる列車として、長野電鉄では特急「スノーモンキー」が走っています。
右の写真を見て気づく方も多いと思いますが、初代「成田エクスプレス(N'EX)」に使用されていた車両を使っています。
JR東日本所属の253系電車としてN'EXに使われていた時代は、正面向かって右側に「JR」のロゴがありました。長野電鉄に譲渡されて2100系となった際、「JR」のところに「NER」のロゴが入りました。長野電鉄を英語表記したときの頭文字ですね。なんだか「N'EX」みたいに見えるところがユニークです。
一方、正面向かって左側には、猿の絵柄と何やら文字も記されています。


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特急「スノーモンキー」の出入口付近に描かれた、スノーモンキーのロゴ等
車両側面の出入口付近にも、車両正面向かって左側と同じロゴがあります。その部分をアップで撮ったのが左の写真です。
猿がお湯に入るところのイラストの下に、

   NAGADEN EXPRESS 2100
   SNOW MONKEY

と記してあります。
「NAGADEN」は、長野電鉄の通称「ながでん」です。
つまり、長電の特急2100系「スノーモンキー」と記してあるわけです。


ところで、「スノーモンキー」って何のことでしょう。
長野電鉄の終点・湯田中駅からバスで約15分の上林温泉バス停から、さらに歩いて約35分のところに地獄谷野猿公苑があります。
ここは、地獄谷温泉が涌いているところで、冬になると野生のニホンザルたちがその温泉に浸かって暖を取るのです。長野県の山中ですので、周りは雪景色です。このことから「スノーモンキー」と呼ばれて、特に欧米系の観光客にいち早く知られることになりました。
実際、現地には多くの訪日外国人が訪れています。
今年は暖冬で1月になっても雪が多くないようですが、その「スノーモンキー」へのアクセスに使う列車として、特急車両に「スノーモンキー」の名をつけたのでした。


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登録有形文化財の旧湯田中駅舎を使った展示室「楓の館」と、併設された温泉施設「楓の湯」
「スノーモンキー」の見学用に、長野電鉄では「SNOW MONKEY PASS」を発売しています。
長野駅~湯田中駅間の乗車券と特急券、湯田中温泉~上林温泉間のバス代、それに地獄谷野猿公苑の入苑料がセットになって、大人2,900円、小児1,450円です。
地獄谷野猿公園近くには、地獄谷温泉 康楽館という源泉かけ流しの温泉宿があります。ここの露天風呂にも猿達がやってきて、勝手に浸かっていることがあるそうです。

「スノーモンキー」を存分に楽しむのであれば、同旅館に泊まると良いでしょうが、日帰りでないと…という方でしたら、湯田中駅の改札口から線路の反対側に行くと、すぐに「楓の湯」という源泉かけ流しの公営立ち寄り湯があります。入浴料大人300円、小学生150円とお手軽で、営業時間も10-21時と長いので便利です。(毎月第1火曜日が定休日)
地獄谷野猿公園まで行かない方には、「楓の湯」に浸かって発駅に戻る長野電鉄の“日帰り「楓の湯」クーポン”も発売されています。発駅~湯田中駅の往復運賃と特急料金、それに入浴料がセットになって割引価格となっているもので、長野駅からだと大人1,860円、小児930円です。
なお、特急「スノーモンキー」には4人用個室があり、1室1,000円で利用できます。グループ旅行をするなら、こちらもお勧めですよ。


掲載日:2016年01月08日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。