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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

カシオペア、白鳥、Sカムイエアポートも消える3月ダイヤ改正 [No.H174]

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「はまなす」とともに廃止となる寝台特急「カシオペア」。最終列車は、札幌発3月20日(日)となる。
前回、3月26日のダイヤ改正で廃止となる列車として、急行「はまなす」を紹介しました。
しかし、同改正で廃止になる列車はほかにもあります。その一つが、青函トンネルを抜けて上野と札幌を結ぶ豪華寝台特急「カシオペア」です。
平成11(1999年)7月16日から、寝台特急「北斗星」の最上級車両と位置付けて運転をはじめた列車です。「北斗星」は一足早く廃止となりましたが、「カシオペア」はその後も走り続けています。その列車が、17年弱で廃止されることになりました。
通常、夜行列車は上りと下りが同じ夜に走りますので、同時に2編成を使います。検査時等の予備車も含めると3編成が必要です。しかし、「カシオペア」に使うE26系客車は、1編成しかありません。そのため、運転開始当初から基本的に上野発が日・火・金曜日、札幌発が月・水・土曜日という、一週間に3往復6本を運転するだけとしていました。さらに、利用が少なくなる冬季に車両検査を入れて、長期運休することもありました。
そこまでしたのは、12両編成すべてがA寝台車…つまり、昼行列車でいえば全室グリーン車という豪華編成のためでした。楽しむために乗るという、限られた方に贅沢を味わってもらうための列車なのです。いま流行となっている、「ななつ星in九州」を筆頭にするクルーズトレインの先駆者といえましょう。
全車が2人用個室で、定員176名ですが、1号車と2号車はアッパークラスで、カシオペアスイート7室とカシオペアデラックス1室があります。全室にトイレとシャワーがあり、ウェルカムドリンクが「ミニバーセット」です。カシオペアスイートのうち1室は、列車最後尾で去りゆく車窓を独り占めできる個室。残る7室は2階建ての1階が寝室で2階がリビングという、国内唯一のメゾネットタイプ寝台個室です。
ダイヤ改正は3月26日(土)ですが、青函トンネルの北海道新幹線準備のため、札幌3月20日(日)発車が最終列車となります。すでに、一ヶ月前の指定席券発売直後に満室となる状態が続いているようで、いまからお名残乗車をするには、運にかけるか、足しげく「みどりの窓口」に通ってキャンセル待ちを狙うしかないようです。


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青森駅で特急「つがる」(左)と並ぶ特急「白鳥」(右)は、交直両用特急用電車485系最後の定期列車。
新青森~函館間を結ぶ「白鳥」と「スーパー白鳥」も、新幹線に置き換わるために廃止されます。
使用しているのは、「白鳥」がJR東日本の485系、「スーパー白鳥」がJR北海道の789系・785系です。このうちJR北海道の車両は札幌圏に転属して、新たな地で活躍を続けます。
一方、JR東日本の485系は国鉄時代に新製された交直両用特急形電車で、いまや「白鳥」が同形式を使う唯一の定期特急列車となっています。車齢が長いため定期列車としての転属先はなく、3月ダイヤ改正とともに485系使用の定期特急列車は全廃となります。
485系改造車や臨時列車としての使用はいましばらくあるようです。しかし、かつて全国の電化線で活躍が見られた485系が、いよいよ終焉の時を迎えているといって良いでしょう。
青森駅の跨線橋の窓からは、青森のシンボルであるベイブリッジをバックに、出発を待つ「白鳥」「スーパー白鳥」が見られますが、これも急行「はまなす」と同じく3月21日(月・祝))見納めとなるわけです。


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千歳線を走る快速「エアポート」から特急用車両がなくなり、左上のヘッドマークは見られなくなる。
3月26日のダイヤ改正では、札幌~旭川間を結ぶ特急「スーパーカムイ」23往復が、すべて同区間だけでの運転となります。いまは、12往復が札幌~新千歳空港間の快速「エアポート」として旭川から直通していますが、札幌駅で必ず乗り換えることになるわけです。
これは、千歳線の利用者が増えているうえ、新千歳空港利用者も増えているため、千歳線の列車の混雑状況が年々悪化していることが背景にあるようです。
特急用車両が快速運用に入らなくなることから、札幌~新千歳空港間の列車はすべて3扉6両編成に統一されます。これにより、乗車定員が増えるうえ、15分毎のパターンダイヤとなって利用し易くなります。
一方、特急「スーパーカムイ」も基本的に30分毎のパターンダイヤとして、所要時間も1時間25分に統一することで、一部1時間29分かかっている現行ダイヤよりも速達性が増すことになります。その「スーパーカムイ」のなかには、いま「スーパー白鳥」として頑張っている789系が見られるようになることでしょう。


掲載日:2016年02月05日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。