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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
「青春18きっぷ」北海道新幹線が開業した以降の利用法 [No.H175]
「青春18きっぷ」は、JR線の普通列車・快速列車・BRT・宮島フェリーが乗り放題という、人気のフリーきっぷです。ここをご覧の方でしたら、ほとんどの方が一度は利用したことがあろうかと思います。
国鉄時代から続く定番のきっぷですが、昨今、新幹線が延伸されるたびに、廃止されるのではとまことしやかに噂されてきました。しかし、今年1月5日に、そんな噂を吹き飛ばすリリース文がJR旅客各社から一斉に発表されました。3月26日に北海道新幹線が開業しても、「青春18きっぷ」は継続して発売するというリリース文です。
春夏秋の年3回発売で、1枚につき5回(人)分11,850円というところも従来と変わっていません。1日1人あたりにすると、2,370円です。
同時に、今後一年間の発売予定も発表されました。その利用期間は次の通りです。
春 平成28年3月1日~平成28年4月10日
夏 平成28年7月20日~平成28年9月10日
冬 平成28年12月10日~平成29年1月10日
発売開始・終了は各利用期間のほぼ10日前ですが、夏期だけ7月1日から発売となっています。
ところで、昨年の北陸新幹線開業と、今年の北海道新幹線開業で、多くの並行在来線が第三セクター鉄道になっていますので、乗車可能区間が減り、特例が増えています。
これら特例について、東北新幹線の並行在来線も加えて、今回判りやすく解説します。
なお、変更されていない基本的な利用方法は皆さんご存知と思いますので、ここでは記しません。ご了承下さい。
普通列車が走っていない区間については、「青春18きっぷ」だけで在来線の特急列車に乗ることができる特例があります。それは次の2区間です。
(1) 津軽海峡線 木古内~蟹田
(2) 石勝線 新得~新夕張
このうち、(1) 津軽海峡線は北海道新幹線となりますので、3月22日以降に在来線特急が走りません。その扱いがどうなるか注目されていたのですが、「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」が新たに発売されることになりました。
「青春18きっぷ」を利用して3月26日以降に津軽海峡を越える場合、このオプション券を買うことで、次の区間を片道一回だけ利用できます。
奥津軽いまべつ~[北海道新幹線]~木古内~[道南いさりび鉄道]~五稜郭
奥津軽いまべつ駅は、JR東日本津軽線の津軽二股駅に併設されている駅です。[道南いさりび鉄道]は、江差線の木古内~五稜郭間が並行在来線として廃止されるのを受けて、新たな運営主体として設立された第三セクター鉄道です。
オプション券を買うことで道南いさりび鉄道にも乗車できるわけですが、途中下車はできないそうです。ただし、乗り継ぎ駅となる木古内駅では下車ができます。これは、後述する並行在来線と同じ扱いとなります。
「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」は、「青春18きっぷ」本体と同じ期間・同じ場所での発売で、1枚2,300円です。奥津軽いまべつ~木古内間を正規運賃・料金で利用する場合、通常期自由席で2,940円、道南いさりび鉄道は木古内~五稜郭間の全線で960円ですから、併せて3,900円となります。
「青春18きっぷ」一日分と同オプション券の合計額は4,670円ですので、オプション券区間だけ乗車するなら、「青春18きっぷ」は使わない方が安いことになります。ただし、「青春18きっぷ」ならその前後の在来線も利用できるわけですから、オプション券の価格が納得できますよね。
ところが、「北海道お先にネットきっぷ40」という14日前の23時までにネットで予約すると、通常期なら奥津軽いまべつ~木古内が2,370円、奥津軽いまべつ~新函館北斗で3,280円、新青森~新函館北斗でも4,350円ですから、行程次第では「青春18きっぷ」よりこちらの方がお得になります。
北海道新幹線が開通すると、江差線は道南いさりび鉄道という第三セクター鉄道に経営移管することを先に記しました。
同様に、東北新幹線が新青森までの全線開業をした際、それまでの東北本線は岩手県内は「IGRいわて銀河鉄道」に、青森県内は「青い森鉄道」に経営移管されました。また、北陸新幹線が長野~金沢間で延長開業をした昨年には、並行在来線のうち長野県内が「しなの鉄道」、新潟県内が「えちごトキめき鉄道」、富山県内が「あいの風とやま鉄道」、石川県内が「IRいしかわ鉄道」にそれぞれ経営移管されました。
ところが、これら第三セクター鉄道の設立で、JR在来線の“飛び地”ができてしまいました。
です。
これらの線区に「青春18きっぷ」で乗りに行けるよう、特例が設けられました。 それは、各“飛び地”となったJR在来線にアクセスする際、その接続駅まで途中下車をしなければ、第三セクター鉄道に乗車できるというものです。その特例区間は、次の通りです。
以上が、「青春18きっぷ」の特例です。
ぜひ、これらの制度もうまく使って、楽しい汽車旅をしてくださいね。
国鉄時代から続く定番のきっぷですが、昨今、新幹線が延伸されるたびに、廃止されるのではとまことしやかに噂されてきました。しかし、今年1月5日に、そんな噂を吹き飛ばすリリース文がJR旅客各社から一斉に発表されました。3月26日に北海道新幹線が開業しても、「青春18きっぷ」は継続して発売するというリリース文です。
春夏秋の年3回発売で、1枚につき5回(人)分11,850円というところも従来と変わっていません。1日1人あたりにすると、2,370円です。
同時に、今後一年間の発売予定も発表されました。その利用期間は次の通りです。
春 平成28年3月1日~平成28年4月10日
夏 平成28年7月20日~平成28年9月10日
冬 平成28年12月10日~平成29年1月10日
発売開始・終了は各利用期間のほぼ10日前ですが、夏期だけ7月1日から発売となっています。
ところで、昨年の北陸新幹線開業と、今年の北海道新幹線開業で、多くの並行在来線が第三セクター鉄道になっていますので、乗車可能区間が減り、特例が増えています。
これら特例について、東北新幹線の並行在来線も加えて、今回判りやすく解説します。
なお、変更されていない基本的な利用方法は皆さんご存知と思いますので、ここでは記しません。ご了承下さい。
普通列車が走っていない区間については、「青春18きっぷ」だけで在来線の特急列車に乗ることができる特例があります。それは次の2区間です。
(1) 津軽海峡線 木古内~蟹田
(2) 石勝線 新得~新夕張
このうち、(1) 津軽海峡線は北海道新幹線となりますので、3月22日以降に在来線特急が走りません。その扱いがどうなるか注目されていたのですが、「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」が新たに発売されることになりました。
「青春18きっぷ」を利用して3月26日以降に津軽海峡を越える場合、このオプション券を買うことで、次の区間を片道一回だけ利用できます。
奥津軽いまべつ~[北海道新幹線]~木古内~[道南いさりび鉄道]~五稜郭
奥津軽いまべつ駅は、JR東日本津軽線の津軽二股駅に併設されている駅です。[道南いさりび鉄道]は、江差線の木古内~五稜郭間が並行在来線として廃止されるのを受けて、新たな運営主体として設立された第三セクター鉄道です。
オプション券を買うことで道南いさりび鉄道にも乗車できるわけですが、途中下車はできないそうです。ただし、乗り継ぎ駅となる木古内駅では下車ができます。これは、後述する並行在来線と同じ扱いとなります。
「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」は、「青春18きっぷ」本体と同じ期間・同じ場所での発売で、1枚2,300円です。奥津軽いまべつ~木古内間を正規運賃・料金で利用する場合、通常期自由席で2,940円、道南いさりび鉄道は木古内~五稜郭間の全線で960円ですから、併せて3,900円となります。
「青春18きっぷ」一日分と同オプション券の合計額は4,670円ですので、オプション券区間だけ乗車するなら、「青春18きっぷ」は使わない方が安いことになります。ただし、「青春18きっぷ」ならその前後の在来線も利用できるわけですから、オプション券の価格が納得できますよね。
ところが、「北海道お先にネットきっぷ40」という14日前の23時までにネットで予約すると、通常期なら奥津軽いまべつ~木古内が2,370円、奥津軽いまべつ~新函館北斗で3,280円、新青森~新函館北斗でも4,350円ですから、行程次第では「青春18きっぷ」よりこちらの方がお得になります。
北海道新幹線が開通すると、江差線は道南いさりび鉄道という第三セクター鉄道に経営移管することを先に記しました。
同様に、東北新幹線が新青森までの全線開業をした際、それまでの東北本線は岩手県内は「IGRいわて銀河鉄道」に、青森県内は「青い森鉄道」に経営移管されました。また、北陸新幹線が長野~金沢間で延長開業をした昨年には、並行在来線のうち長野県内が「しなの鉄道」、新潟県内が「えちごトキめき鉄道」、富山県内が「あいの風とやま鉄道」、石川県内が「IRいしかわ鉄道」にそれぞれ経営移管されました。
ところが、これら第三セクター鉄道の設立で、JR在来線の“飛び地”ができてしまいました。
・青森県 | 大湊線 | 野辺地~大湊間 | ||
八戸線 | 八戸~久慈間 | |||
・富山県 | 氷見線 | 高岡~氷見(ひみ)間 | ||
城端線 | 高岡~城端(じょうはな)間 | |||
・石川県 | 七尾線 | 津幡~和倉温泉間 |
これらの線区に「青春18きっぷ」で乗りに行けるよう、特例が設けられました。 それは、各“飛び地”となったJR在来線にアクセスする際、その接続駅まで途中下車をしなければ、第三セクター鉄道に乗車できるというものです。その特例区間は、次の通りです。
鉄道会社 | 通過利用可能区間 | 下車可能駅 |
青い森鉄道 あいの風とやま鉄道 IRいしかわ鉄道 |
青森~八戸間 富山~高岡間 金沢~津幡間 |
青森駅・野辺地駅・八戸駅 富山駅・高岡駅 金沢駅・津幡駅 |
以上が、「青春18きっぷ」の特例です。
ぜひ、これらの制度もうまく使って、楽しい汽車旅をしてくださいね。
掲載日:2016年02月12日
●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。