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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

列車が一日わずか一往復の区間が登場…3/26 札沼線 [No.H180]

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3月26日ダイヤ改正で、一日一回しか列車が来なくなる、JR北海道札沼線の終点・新十津川駅。
ローカル線といえば『思いだした頃に列車がやってくる路線』というイメージがありますよね。ところが、思い出してもやってこない、でも廃線でもない線区が3月26日のダイヤ改正で出現します。
JR北海道札沼線の末端区間となる浦臼~新十津川間で、1日わずかに1往復の列車が走るだけとなるのです。同日のダイヤ改正では、初めて北海道で新幹線が走りはじめます。その華やかな舞台裏でのできごとです。
浦臼~新十津川間は13. 8kmで、ダイヤ改正まででも一日三往復の列車しかありません。そのうち二往復が削減されて、次の一往復だけの運転となるのです。

浦 臼   鶴 沼   於札内   南下徳富   下徳富   新十津川
9:16 9:11 9:14 9:17 9:21 9:28
10:02 9:57 9:53 9:50 9:47 9:40

この結果、新十津川駅9:40発は、日本で最も早い最終列車となります。


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南下徳富駅に停車中のキハ40形ディーゼルカー。駅舎もないホームだけの無人駅で、駅前にも家はない。
この減便について、JR北海道は2月8日付で次のように説明しています。

> 当社の主力一般気動車である「キハ40系気動車」の老朽・劣化に伴い、使用可能な車両の範囲内でダイヤ設定を行うため

キハ40系というのは、国鉄時代に製造されたディーゼルカーです。JRになって来年で30年ですから、車歴が30年以上ということになります。そのうえ、極寒地の北海道で酷使されていますので、傷みが早いことも想像できます。ちなみにJR東海は3月26日のダイヤ改正で、国鉄から引き継いだディーゼルカーをJRグループで初めて全廃し、JRになってから新製した車両だけとします。

とはいえ、利用者が多くいるところで列車を削減することはなく、やはり利用が芳しくないところが対象となります。
今回一日一往復となる区間にある南下徳富(みなみしもとっぷ)駅は、ご覧の通り駅舎もなければ駅前もなく、農耕地にポツンとホームがあるだけの駅です。駅から割と近い距離に民家が点在していますが、どこも自動車を使っての生活をしていて、列車を使うことはなさそうに見えます。


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於札内駅は待合室があるものの、“駅前”の踏切がこの様子。周囲にも数えるほどの農家が点在するだけ。
下徳富駅の隣にある於札内(おさつない)駅は、待合室こそあるものの、駅前道路は未舗装で、そこにある踏切には警報機も遮断機もありません。秘境駅にランキングされるだけのことはある光景ですよね。
わずかに一日一往復となっては、のんびりと訪ねることも難しい駅ですが、隣接駅となる鶴沼駅まで1. 8km歩けば浦臼町営バスがあります。同バスは一日5.5往復で、1日6往復の列車がある浦臼駅と函館本線の奈井江駅を結んでいます。

なお、3月26日のダイヤ改正では、同じ理由で道内のキハ40系使用線区で大胆な列車本数削減が行われるほか、次の各駅が廃止されます。無人駅も大幅に増えますのでご注意下さい。

○3月26日に廃止となる駅
   石勝線…十三里駅、東追分駅
   根室線…花咲駅
   石北線…上白滝駅、旧白滝駅、下白滝駅、金華駅
   函館線…鷲ノ巣駅

※石北線の上白滝駅、旧白滝駅、下白滝駅については、昨年7月に次の二回に分けて紹介しています。興味のある方は、こちらもご覧下さい。
   2015/07/24 一日に、上下各1本しか列車が停まらない上白滝駅 [No.H148]
   2015/07/31 旧白滝駅、下白滝駅も廃止候補の報道が… [No.H149]


掲載日:2016年03月18日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。