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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


  • ひろやすの汽車旅コラム
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

岡山DCと同時にオープンした「津山まなびの鉄道館」 [No.H187]

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「津山まなびの鉄道館」は、国鉄時代に使われた津山機関区の扇形庫一帯を整備して4月2日にオープンした。
晴れの国おかやまデスティネーションキャンペーン」の開始早々にオープンしたのが、「津山まなびの鉄道館」です。右の写真のとおり、扇形の車庫に13両の鉄道車両がずらっと並んでいる様は、じつに壮観です。
展示されている車両は、蒸気機関車1両、ディーゼル機関車6両、ディーゼルカー5両、貨車移動機1両という内訳です。
唯一の蒸気機関車となるD51 2と、ディーゼル機関車のうちDD13 638、DF50 18の計3両は、大阪の弁天町にあった交通科学博物館で展示されていた車両たちです。同館の閉館に伴い、当館に移転して展示することになったのです。
また、DE50 1とキハ33 1001は、ここにしか存在しない形式で、どちらも国鉄時代の車両開発の歴史を感じさせる貴重な車両です。


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扇形機関車庫は、その中心にある転車台に向かって建っている。この転車台で方向を変えて、出入区していたのだ。
4月29日にオープンした京都鉄道博物館は、同じく扇形機関車庫を使った梅小路蒸気機関車館を発展させました。
津山まなびの鉄道館ともども扇形機関車庫を持つことが共通していますよね。
また、交通科学博物館の展示物を移転して、内容を充実させてのオープンという点も共通しています。
ちなみに、国内に現存する扇形機関車庫としては、京都鉄道博物館の20線が国内最大で、それに次ぐ規模が、この津山まなびの鉄道館の13線です。
扇形機関車庫からでている線路は、その中心に位置する転車台(ターンテーブル)まで延びています。かつて、庫を出た蒸気機関車は、転車台で方向を変えて機関区の給水塔や石炭積載場などに移動、さらに出区前点検を経てから機関区を出て行きました。
仕業を終えて戻ってきた機関車も、転車台で向きを変え、空いている庫に入って休むのでした。
そんな現場に大人300円、中学・小学生100円で立ち入ることができるようになったわけです。毎日9時から16時までの開館で、毎週月曜日が休館日です。津山駅からはほぼ旧機関区を半周することになるので、歩いて10-15分ほどの位置になります。


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旧国鉄色風の塗装で、週末に走る「快速 みまさかノスタルジー」。車内は国鉄時代を思い出させる仕様になっている。
津山駅は岡山駅から津山線で58. 7kmの位置にあり、普通列車で約1時間半、「快速 ことぶき」で1時間強の所要時間です。
その「快速 ことぶき」のうち一日二往復が、岡山DCの期間中の土日曜日に「快速 みまさかノスタルジー」として走っています。

「快速 みまさかノスタルジー」は、右の写真に写っている、旧国鉄色風のキハ47形2両編成です。1両が指定席、もう1両が自由席となっています。
なつかしい雰囲気の外観ですが、車内も国鉄時代の気動車急行のイメージに改装されていて、窓際のテーブル下には栓抜きがつけられました。
栓抜きは、中高年の方には懐かしい存在でしょうが、若い方には用途すら判らないのではないでしょうか。
いまや、清涼飲料水はペットボトルが主流となり、それ以外もプルタブが就いた缶入りとなっています。ですから、自動販売機から取り出してすぐに飲むことができます。
しかし、缶ジュースが普及するまでは、瓶入りが主流でした。いまもビールには瓶入りがあり、王冠を栓抜きで抜いて飲みますが、清涼飲料水も瓶入りだった頃には、同じように栓を抜く必要があったわけです。
そのために、列車の壁側に栓抜きがあるのは当たり前でした。それを復活させたのです。
その栓抜きを使うために、岡山駅と津山駅には、瓶入りの清涼飲料水自動販売機が設置されました。
「快速 みまさかノスタルジー」に乗って「津山まなびの鉄道館」へ行くのなら、瓶入りの清流飲料水もお忘れなく。


掲載日:2016年05月13日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。