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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
今夏、九州ふっこう割で九州へ行こう! [No.H194]
熊本地震が発生した4月から2か月が経ち、ようやく余震が収まってきました。まだまだ被災地では避難生活を続けている方も多くおいでですが、復興への動きも刻々と伝わってきます。
いよいよこれから春本番というタイミングで起きた地震だっただけに、被災地はもとより、観光業の割合が大きい九州全体で観光客の足が遠のいてしまい、九州の産業界全体に大きな損失がでています。その対応として、観光庁は「九州観光支援のための割引付旅行プラン助成制度」を創設し、180億円の予算を組みました。
この制度を使って、本日(7/1)から「九州ふっこう割」が発売されました。
これは、7月~9月に九州を旅行する人に対して、旅行内容によって助成金を支給する制度です。
特に被災地である熊本県と大分県への旅行者に手厚くなっていて、人数に関係なく1予約に対して、2万円以上の宿泊だと1万4千円、3万円以上の宿泊だと2万円の助成金が得られます。もちろん、宿泊に加えて往復や現地の交通費を含んだ額でも構いません。最大なんと「70%割引」です!
他の九州島内の各県(福岡・佐賀・長崎・宮崎・鹿児島)も、最大50%割引になります。
ただし、条件があります。
・協力する指定旅行会社で予約すること(ネット予約可)。
・7月1日午前10時に発売を開始し、政府予算の上限に達したところで発売終了。
この機会に、九州へ行きませんか?
震災により運休が続く南阿蘇鉄道。好天の10-15時には、高森駅ホームに車両を展示して無料開放している。(写真は、昨年撮影)
では、震災の影響はどんな状況でしょうか。
気になることですので、ここにまとめてみました。
○九州新幹線
・7月4日以降、一部徐行区間は残るのの、基本的に震災前の運転状況にもどる。
○在来線…豊肥本線
・熊本~肥後大津間は、一部減便しているものの、ほぼ通常運行。
・肥後大津~阿蘇間は、不通。
・阿蘇・宮地~豊後荻間は、7月9日に運転を再開。
・「九州横断特急」は、7月9日から別府~宮地間で3往復の運転を再開。
・「あそぼーい!」は、7月を中心に博多~門司港間で運行。
○南阿蘇鉄道
・全線運休中。
・天気の良い日の10-15時に、高森駅ホームにて車両を無料開放。
・高森駅売店で記念品やグッズ販売をしている。
※熊本市内~高森は、産交バス「快速たかもり号」が1日3往復運転されています。
※産交バス「快速たかちほ号」は、迂回運転のため、高森に寄らなくなっています。
以上が、いまも地震の影響を受けているところです。
これ以外はすでに復旧していますので、通常通りの汽車旅ができます。
震災復興の支援として、この夏は九州へ行くのはいかがでしょう。
被災している人がいるのに遊びに行くのは…と躊躇される方もおいでかと思いますが、被災地も含めて、観光業は遊びに来る人がいてこそ成り立ちます。躊躇することで、その地の経済活動が弱まることを考えたら、復興期にはむしろ積極的に遊びに行ってお金を使うことが望まれていると考えればよいのではないでしょうか。
私事になりますが、東日本大震災のあと、あえて東北に泊まりがけで行ったことがあります。そのとき、震災で温泉の出が悪くなった温泉旅館にも泊まったのですが、すごく感謝されたことが印象的でした。人気の宿と聞いていたのに、当日は、拙宅夫婦以外だれも泊まっていませんでした。
JR九州には、D&S(Design & Story)と呼ばれる観光列車が多く走っていることは、よく知られているとおりです。
それとは別格のクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」を頂点として、どの列車も斬新なサービスを提供しています。このうち、震災の影響を受けたのは、前述の「あそぼーい!」と「ななつ星 in 九州」です。「あそぼーい!」は走行区間を博多~門司港にしたところ好評で、7月にも同区間での運転が決まりました。今後も、継続して運転されるかも知れません。
一方の「ななつ星 in 九州」は、ルート変更をしての運転となっています。そのルートのうち3泊4日コースは8-9月に見直しとなり、天草に立ち寄ることになりました。天草も熊本県です。その天草観光を終えたあと、三角駅から宇土駅までの三角線でD&Sの特急「A列車で行こう」に乗車することになりました。
「A列車で行こう」は、熊本~宇土~三角のわずか36. 5kmを走る特急列車ですが、全車指定席です。2両編成の中央付近には「A-TRAIN BAR」と名づけられたバーカウンターがあります。BGMには、アレンジされたジャズが流れています。お洒落ですよね。
ところで、「A列車で行こう」は、もともと「Take The A-Train」という有名なジャズスタンダード曲の日本名です。デューク・エリントン楽団によるビッグバンドの名曲として知られていますが、この A-Train は、ニューヨーク地下鉄の系統名です。それが、日本では郊外を走る特急列車名に… ところ変われば品変わるを地でいっていますよね。
夏の九州へ、「九州ふっこう割」でお得に行きましょう。
掲載日:2016年07月01日
いよいよこれから春本番というタイミングで起きた地震だっただけに、被災地はもとより、観光業の割合が大きい九州全体で観光客の足が遠のいてしまい、九州の産業界全体に大きな損失がでています。その対応として、観光庁は「九州観光支援のための割引付旅行プラン助成制度」を創設し、180億円の予算を組みました。
この制度を使って、本日(7/1)から「九州ふっこう割」が発売されました。
これは、7月~9月に九州を旅行する人に対して、旅行内容によって助成金を支給する制度です。
特に被災地である熊本県と大分県への旅行者に手厚くなっていて、人数に関係なく1予約に対して、2万円以上の宿泊だと1万4千円、3万円以上の宿泊だと2万円の助成金が得られます。もちろん、宿泊に加えて往復や現地の交通費を含んだ額でも構いません。最大なんと「70%割引」です!
他の九州島内の各県(福岡・佐賀・長崎・宮崎・鹿児島)も、最大50%割引になります。
ただし、条件があります。
・協力する指定旅行会社で予約すること(ネット予約可)。
・7月1日午前10時に発売を開始し、政府予算の上限に達したところで発売終了。
この機会に、九州へ行きませんか?
震災により運休が続く南阿蘇鉄道。好天の10-15時には、高森駅ホームに車両を展示して無料開放している。(写真は、昨年撮影)
では、震災の影響はどんな状況でしょうか。
気になることですので、ここにまとめてみました。
○九州新幹線
・7月4日以降、一部徐行区間は残るのの、基本的に震災前の運転状況にもどる。
○在来線…豊肥本線
・熊本~肥後大津間は、一部減便しているものの、ほぼ通常運行。
・肥後大津~阿蘇間は、不通。
・阿蘇・宮地~豊後荻間は、7月9日に運転を再開。
・「九州横断特急」は、7月9日から別府~宮地間で3往復の運転を再開。
・「あそぼーい!」は、7月を中心に博多~門司港間で運行。
○南阿蘇鉄道
・全線運休中。
・天気の良い日の10-15時に、高森駅ホームにて車両を無料開放。
・高森駅売店で記念品やグッズ販売をしている。
※熊本市内~高森は、産交バス「快速たかもり号」が1日3往復運転されています。
※産交バス「快速たかちほ号」は、迂回運転のため、高森に寄らなくなっています。
以上が、いまも地震の影響を受けているところです。
これ以外はすでに復旧していますので、通常通りの汽車旅ができます。
震災復興の支援として、この夏は九州へ行くのはいかがでしょう。
被災している人がいるのに遊びに行くのは…と躊躇される方もおいでかと思いますが、被災地も含めて、観光業は遊びに来る人がいてこそ成り立ちます。躊躇することで、その地の経済活動が弱まることを考えたら、復興期にはむしろ積極的に遊びに行ってお金を使うことが望まれていると考えればよいのではないでしょうか。
私事になりますが、東日本大震災のあと、あえて東北に泊まりがけで行ったことがあります。そのとき、震災で温泉の出が悪くなった温泉旅館にも泊まったのですが、すごく感謝されたことが印象的でした。人気の宿と聞いていたのに、当日は、拙宅夫婦以外だれも泊まっていませんでした。
JR九州には、D&S(Design & Story)と呼ばれる観光列車が多く走っていることは、よく知られているとおりです。
それとは別格のクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」を頂点として、どの列車も斬新なサービスを提供しています。このうち、震災の影響を受けたのは、前述の「あそぼーい!」と「ななつ星 in 九州」です。「あそぼーい!」は走行区間を博多~門司港にしたところ好評で、7月にも同区間での運転が決まりました。今後も、継続して運転されるかも知れません。
一方の「ななつ星 in 九州」は、ルート変更をしての運転となっています。そのルートのうち3泊4日コースは8-9月に見直しとなり、天草に立ち寄ることになりました。天草も熊本県です。その天草観光を終えたあと、三角駅から宇土駅までの三角線でD&Sの特急「A列車で行こう」に乗車することになりました。
「A列車で行こう」は、熊本~宇土~三角のわずか36. 5kmを走る特急列車ですが、全車指定席です。2両編成の中央付近には「A-TRAIN BAR」と名づけられたバーカウンターがあります。BGMには、アレンジされたジャズが流れています。お洒落ですよね。
ところで、「A列車で行こう」は、もともと「Take The A-Train」という有名なジャズスタンダード曲の日本名です。デューク・エリントン楽団によるビッグバンドの名曲として知られていますが、この A-Train は、ニューヨーク地下鉄の系統名です。それが、日本では郊外を走る特急列車名に… ところ変われば品変わるを地でいっていますよね。
夏の九州へ、「九州ふっこう割」でお得に行きましょう。
掲載日:2016年07月01日
●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。