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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
都電の軌道内を緑化する検証実験を実施中 [No.H202]
右の写真をみて、なんだか緑の部分が多いなと思いませんか?
線路端の柵との間に植物が植えてありますが、それだけでなく、レールとレールの間にも植物が植わっていますよね。これは、いま東京都交通局が検証実験をしている、軌道緑化事業の光景です。
東京都交通局は、美しい都市・東京の実現に貢献することを目的として、都電荒川線の軌道敷きを緑化することで、緑のネットワークを構築することを目指しているのです。この実験により、都市部で育てるのに適した植物種の選定や、その育成条件などのデータを得るとともに、地球温暖化に対応したヒートアイランド対策の効果を検証するということです。
真夏の真っ昼間に、道路の真ん中にある路面電車の電停で電車を待っていると、やたらと暑いことがあります。周囲がアスファルトの道路で、目の前の軌道もレール以外がアスファルトか砕石、レールそのものが鉄と、これらが直射日光で熱せられてかなりの高温になるためです。この反射熱で電車内も熱せられますので、冷房装置をより強力なものにする必要もあるといわれています。
道路のアスファルトは路面電車側で如何ともしがたいですが、レール間については、このように植物を植えることで温度を相当下げられることは、容易に予想できますよね。
実際、夏場が特に暑い鹿児島市電や熊本市電などでは、積極的な軌道緑化を進めています。
左の写真は、その緑化設備の部分を踏切道からアップで写したものです。
上下線の各レール間に、少し濃いめの緑。中央にやや明るい黄緑色の植物が植わっていることがわかります。それも、直に砕石(バラスト)に植えるのではなく、基板を設けて、そこに植えてあることがわかりますよね。
その基板は、線路に沿って3つ続けてありますので、合計9つの基板で実験がされていることが判ります。その先は、普通のバラスト軌道になっていることもわかりますよね。
施行を担当した(株)トーケンのサイトをみると、基板のうえにまずは砂を敷き、そのうえに保水セラミック基板を載せたうえで土を被せ、そこに植物を植えていると書かれていました。つまり、適度な水分を保ちつつも、大雨が降ったときにはその多くの水を流すようにできているようです。
植物は、レール間がセダム種4種混合という、同社が建物の屋上緑化で使用しているものだそうです。一方、中央は同じセダム種のうちメキシコマンネングサという、都内で自生している種類ということです。
ちなみに、セダム種というのは日本語で多肉植物というそうです。サボテンの多くがこのセダム種に入るということですので、水が少ない状況でも生き抜くことができる種類として選ばれたのでしょう。
この検証実験は、都電荒川線の荒川車庫前すぐ東側(荒川遊園地前の方向)で、今年3月から来年3月まで行われています。線路際の柵の道路に面した側には、その旨の案内板も掲げられています。
一年間の実験によって、四季それぞれの時点でのデータをとることができるということです。
ちなみに、都電荒川線では、これまでにも同様な実験をしているのですが、過去2回にわたって失敗していて、今回は3度目の挑戦となるそうです。軌道内なので水遣りが難しいとか、レールに塗る油が散ったりしてうまくいかなかったとのことです。
今回の技術は、富山ライトレールの富山駅北電停内で昨年実用化に成功したものだそうです。
良い結果がでて、荒川線の全域にその採用が広まると良いですね。
掲載日:2016年08月26日
線路端の柵との間に植物が植えてありますが、それだけでなく、レールとレールの間にも植物が植わっていますよね。これは、いま東京都交通局が検証実験をしている、軌道緑化事業の光景です。
東京都交通局は、美しい都市・東京の実現に貢献することを目的として、都電荒川線の軌道敷きを緑化することで、緑のネットワークを構築することを目指しているのです。この実験により、都市部で育てるのに適した植物種の選定や、その育成条件などのデータを得るとともに、地球温暖化に対応したヒートアイランド対策の効果を検証するということです。
真夏の真っ昼間に、道路の真ん中にある路面電車の電停で電車を待っていると、やたらと暑いことがあります。周囲がアスファルトの道路で、目の前の軌道もレール以外がアスファルトか砕石、レールそのものが鉄と、これらが直射日光で熱せられてかなりの高温になるためです。この反射熱で電車内も熱せられますので、冷房装置をより強力なものにする必要もあるといわれています。
道路のアスファルトは路面電車側で如何ともしがたいですが、レール間については、このように植物を植えることで温度を相当下げられることは、容易に予想できますよね。
実際、夏場が特に暑い鹿児島市電や熊本市電などでは、積極的な軌道緑化を進めています。
左の写真は、その緑化設備の部分を踏切道からアップで写したものです。
上下線の各レール間に、少し濃いめの緑。中央にやや明るい黄緑色の植物が植わっていることがわかります。それも、直に砕石(バラスト)に植えるのではなく、基板を設けて、そこに植えてあることがわかりますよね。
その基板は、線路に沿って3つ続けてありますので、合計9つの基板で実験がされていることが判ります。その先は、普通のバラスト軌道になっていることもわかりますよね。
施行を担当した(株)トーケンのサイトをみると、基板のうえにまずは砂を敷き、そのうえに保水セラミック基板を載せたうえで土を被せ、そこに植物を植えていると書かれていました。つまり、適度な水分を保ちつつも、大雨が降ったときにはその多くの水を流すようにできているようです。
植物は、レール間がセダム種4種混合という、同社が建物の屋上緑化で使用しているものだそうです。一方、中央は同じセダム種のうちメキシコマンネングサという、都内で自生している種類ということです。
ちなみに、セダム種というのは日本語で多肉植物というそうです。サボテンの多くがこのセダム種に入るということですので、水が少ない状況でも生き抜くことができる種類として選ばれたのでしょう。
この検証実験は、都電荒川線の荒川車庫前すぐ東側(荒川遊園地前の方向)で、今年3月から来年3月まで行われています。線路際の柵の道路に面した側には、その旨の案内板も掲げられています。
一年間の実験によって、四季それぞれの時点でのデータをとることができるということです。
ちなみに、都電荒川線では、これまでにも同様な実験をしているのですが、過去2回にわたって失敗していて、今回は3度目の挑戦となるそうです。軌道内なので水遣りが難しいとか、レールに塗る油が散ったりしてうまくいかなかったとのことです。
今回の技術は、富山ライトレールの富山駅北電停内で昨年実用化に成功したものだそうです。
良い結果がでて、荒川線の全域にその採用が広まると良いですね。
掲載日:2016年08月26日
●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。