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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
伊豆急行はバラエティ豊か、JR乗入車だけでも4車種 [No.H205]
伊豆急行は、伊豆半島の東岸を海岸線に沿って走る観光路線で、伊東から伊豆急下田までの45. 7kmを結んでいます。昭和36年12月10日に営業開始した路線ですから、まさに戦後の高度経済成長の時代に誕生した路線です。
その開業当初から国鉄が乗り入れていて、いまも東京からの直通優等列車が走り続けている点で、特異な存在といえるでしょう。その乗り入れ列車は当初、準急「伊豆」でした。その後、急行「伊豆」となり、昭和56年からは特急「踊り子」となりました。このとき、中伊豆の修善寺に行く国鉄から伊豆箱根鉄道への乗入れ列車も、急行「あまぎ」から特急「踊り子」に列車名を変更しています。
その特急「踊り子」に、発足して3年目となるJR東日本が意欲的な車両を投入しました。それが、251系を使った特急「スーパービュー踊り子」です。
全車ハイデッカーとして展望をよくしました。さらに、伊豆急下田側の先頭車はダブルデッカーのグリーン車とすることで、2階を展望席、1階をグリーン車乗客用のサロンとしています。東京側の先頭車は普通車ですが、1階を子供用プレイルームとすることで、長旅に飽きがちな子ども達が楽しんでいるうちに伊豆に着く工夫がされています。
特急「スーパービュー踊り子」を補完するのが、同列車登場以前から走っている特急「踊り子」185系です。左の写真の上に写っている車両で、国鉄末期に登場したときには間合い運用で普通列車にも使用する汎用車両でした。しかし、いまは原則として特急用としています。
東京~熱海間では、修善寺に行く編成を併結する列車もあります。
ところで、写真の下に写っている車両は、なんだか変ですよね。先頭車後部に「N'EX」とあり、飛行機のマークも付いています。
そうなんです、成田エクスプレス用のE259系です。とはいっても、成田空港から伊豆半島まで直通しているわけではありません。特急「マリンエクスプレス踊り子」として、夏休みや連休など、行楽客が多い時期に東京~伊豆急下田間を走る臨時列車です。
「踊り子」185系と「スーパービュー踊り子」251系が総出しても足らないときに、応援に駆けつけているというわけです。といっても、手を抜いているわけではありません。乗務員は、同列車オリジナルの制服を着ています。
でも、伊豆半島で成田エクスプレスをみると、思わず「???」となってしまいます。
今夏、伊豆急行には、さらに新顔が顔を出し始めました。右の写真のリゾート列車「伊豆クレイル」です。
Cresciuto イタリア語で「大人の」「成長した」の意
Train 列車
ile 「~に適した」という接尾辞
という3語を組み合わせて「IZU CRAILE」と命名しています。
車体側面の窓下に、なにやら文様が描かれていますが、伊豆ゆかりの「桜」「海風」「さざ波」をイメージしたラインだそうです。
この列車も週末を中心に走る臨時列車ですが、小田原~伊豆急下田間と、珍しい運行区間になっています。その小田原駅には、伊豆クレイル専用のラウンジを設けるほどの力の入れようです。
運転は、次の1日1往復です。
小田原 伊豆急下田
11:40 → 14:06
17:12 ← 15:09
途中、海が眺められる区間では、徐行したり停車しての絶景観賞ができます。
4両編成のうち2号車はバーカウンターとラウンジだけ、座席はないというゆとりの設計です。同車を挟む1号車と3号車は、伊豆急下田行がランチセット、小田原行がカフェセットを組み合わせたJR東日本のびゅう旅行商品として発売しています。
小田原方先頭の4号車は、通常のきっぷで乗車ができます。快速列車扱いなので、乗車券に1,280円の普通車指定席グリーン料金を追加しての利用となります。4号車利用でも、2号車のバーカウンターとラウンジの利用はできますので、食事はがっつり好きなものをとか、スイーツはちょっと…という方は、この4号車がよいでしょう。
ちなみに、特急利用だと同区間の特急「踊り子」料金が指定席1,540円、自由席920円ですので、どちらを選ぶかも、好みによってとなりそうです。
以上、JRからの乗入れ列車だけでも多客期には4種類の車両が走る伊豆急行ですが、このほかに、もちろん伊豆急行の車両も走っています。次々にくる列車が特色ある車両ばかりの伊豆急行。見るのも乗るのも楽しい路線ですよ。
掲載日:2016年09月16日
その開業当初から国鉄が乗り入れていて、いまも東京からの直通優等列車が走り続けている点で、特異な存在といえるでしょう。その乗り入れ列車は当初、準急「伊豆」でした。その後、急行「伊豆」となり、昭和56年からは特急「踊り子」となりました。このとき、中伊豆の修善寺に行く国鉄から伊豆箱根鉄道への乗入れ列車も、急行「あまぎ」から特急「踊り子」に列車名を変更しています。
その特急「踊り子」に、発足して3年目となるJR東日本が意欲的な車両を投入しました。それが、251系を使った特急「スーパービュー踊り子」です。
全車ハイデッカーとして展望をよくしました。さらに、伊豆急下田側の先頭車はダブルデッカーのグリーン車とすることで、2階を展望席、1階をグリーン車乗客用のサロンとしています。東京側の先頭車は普通車ですが、1階を子供用プレイルームとすることで、長旅に飽きがちな子ども達が楽しんでいるうちに伊豆に着く工夫がされています。
特急「スーパービュー踊り子」を補完するのが、同列車登場以前から走っている特急「踊り子」185系です。左の写真の上に写っている車両で、国鉄末期に登場したときには間合い運用で普通列車にも使用する汎用車両でした。しかし、いまは原則として特急用としています。
東京~熱海間では、修善寺に行く編成を併結する列車もあります。
ところで、写真の下に写っている車両は、なんだか変ですよね。先頭車後部に「N'EX」とあり、飛行機のマークも付いています。
そうなんです、成田エクスプレス用のE259系です。とはいっても、成田空港から伊豆半島まで直通しているわけではありません。特急「マリンエクスプレス踊り子」として、夏休みや連休など、行楽客が多い時期に東京~伊豆急下田間を走る臨時列車です。
「踊り子」185系と「スーパービュー踊り子」251系が総出しても足らないときに、応援に駆けつけているというわけです。といっても、手を抜いているわけではありません。乗務員は、同列車オリジナルの制服を着ています。
でも、伊豆半島で成田エクスプレスをみると、思わず「???」となってしまいます。
今夏、伊豆急行には、さらに新顔が顔を出し始めました。右の写真のリゾート列車「伊豆クレイル」です。
Cresciuto イタリア語で「大人の」「成長した」の意
Train 列車
ile 「~に適した」という接尾辞
という3語を組み合わせて「IZU CRAILE」と命名しています。
車体側面の窓下に、なにやら文様が描かれていますが、伊豆ゆかりの「桜」「海風」「さざ波」をイメージしたラインだそうです。
この列車も週末を中心に走る臨時列車ですが、小田原~伊豆急下田間と、珍しい運行区間になっています。その小田原駅には、伊豆クレイル専用のラウンジを設けるほどの力の入れようです。
運転は、次の1日1往復です。
小田原 伊豆急下田
11:40 → 14:06
17:12 ← 15:09
途中、海が眺められる区間では、徐行したり停車しての絶景観賞ができます。
4両編成のうち2号車はバーカウンターとラウンジだけ、座席はないというゆとりの設計です。同車を挟む1号車と3号車は、伊豆急下田行がランチセット、小田原行がカフェセットを組み合わせたJR東日本のびゅう旅行商品として発売しています。
小田原方先頭の4号車は、通常のきっぷで乗車ができます。快速列車扱いなので、乗車券に1,280円の普通車指定席グリーン料金を追加しての利用となります。4号車利用でも、2号車のバーカウンターとラウンジの利用はできますので、食事はがっつり好きなものをとか、スイーツはちょっと…という方は、この4号車がよいでしょう。
ちなみに、特急利用だと同区間の特急「踊り子」料金が指定席1,540円、自由席920円ですので、どちらを選ぶかも、好みによってとなりそうです。
以上、JRからの乗入れ列車だけでも多客期には4種類の車両が走る伊豆急行ですが、このほかに、もちろん伊豆急行の車両も走っています。次々にくる列車が特色ある車両ばかりの伊豆急行。見るのも乗るのも楽しい路線ですよ。
掲載日:2016年09月16日
●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。