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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

鹿児島市電の観光レトロ電車「かごでん」 [No.H212]

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鹿児島市電の観光電車「かごでん」は、木製電車をイメージしたレトロ調の専用電車を使用する。
今回ご紹介する鹿児島市電は、日本で最南端を走る路面電車です。
1912(大正元)年12月1日に鹿児島電気鉄道という民営鉄道として開業し、昭和3年7月1日に鹿児島市が買収したことで、鹿児島市電となりました。
その鹿児島電気鉄道開業から100年となる2012(平成24)年12月1日に、100周年を記念して走りはじめたのが、観光レトロ電車「かごでん」です。
右の写真を見ての通り、文字どおりレトロな外観は、創業期からの木造電車をイメージしたということです。全体の格好も色も木造車っぽいですが、屋根にモニタールーフと呼ばれる一段高くなった屋根を積んでいるのもレトロっぽいですよね。
このモニタールーフは、明かり採りと換気口の役割を果たしていました。「かごでん」ではそれっぽい格好だけで、実際の車内は電気照明と空調を使っていますが…
車体側面に「かごでん 百之壱」の文字が見えますが、次の100年に向かうという意味で「百之壱」としたそうです。このため、形式も100形101号車となっています。


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車内もレトロ調で、転換クロスシートとロングシートが混在する座席配置。ボランティアガイドの車窓案内もある。
「かごでん」は、土休日に鹿児島中央駅前を10:00発と11:10発の2便、金曜日と祝日の前日、それに水曜日を除く夏休み期間中には、鹿児島中央駅前10:00発の1便があります。
いずれも鹿児島中央駅前から鹿児島の繁華街として知られる天文館を経て鹿児島駅前に至って休憩。折り返し、郡元を経て鹿児島中央駅前へと戻るルートで、所要約70分です。
鹿児島中央駅前のほか、往路の天文館通と折り返す鹿児島駅前からの乗車もできます。
定員30名ですが、座席定員は23人のため、利用者が多いときには座れないことがあるそうです。ただし、実際には金曜日や祝前日はすいていて、土休日でもちょうど座席が埋まるくらいのことが多いということでした。
車内では、ボランティアガイドさんが車窓の案内をしてくださいます。過去何度も来ている鹿児島市内ですが、その案内を聞いていて、意外に市電沿線の見どころには疎いことを感じさせられました。さすがに観光電車と銘打つだけのことはあります。


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「かごでん」の出口近くには運賃箱がある(左)。運賃は、ワンマン電車の方式で支払う(右)。
この観光レトロ電車「かごでん」は、予約ができません。始発の鹿児島中央駅前から乗る場合には、発車15分ほど前にボランティアガイドさんがおいでになり、案内をしてくださいます。乗車人数が多い場合には整理券を配布するようですが、私は金曜日に乗ったため、当日の乗客はわずか5名で、整理券を配布するほどではありませんでした。
運賃は、おとな340円、こども160円です。他の市電に乗る場合は、均一運賃で1回おとな170円、こども80円ですので、2回分の運賃となります。鹿児島駅前で折り返すので、2回分の運賃というのは実際の乗車形態そのままで、良心的です。ちなみに、折り返し地点となる鹿児島駅前から乗る場合には、1回分のおとな170円、こども80円で良いそうです。

帰路は、事前にボランティアガイドさんにお願いすれば、鹿児島駅前から鹿児島中央駅前までのあいだ、どこの電停でも下車できるそうです。その際、運賃は運転士さんの横にある運賃箱に入れます。ワンマン電車の運賃収受そのものです。
また、「市電・市バス一日乗車券」も利用できますので、当日さらに市電・市バスに乗るのであれば、こちらの利用がお勧めです。大人600円、こども300円で、観光施設の入館料等割引パスポートもついています。
詳しくは、鹿児島市交通局のホームページをご覧下さい。


掲載日:2016年11月04日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。