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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


  • ひろやすの汽車旅コラム
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

京都鉄道博物館へは、京都駅から歩いて行くのがお勧め [No.H219]

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京都駅から京都鉄道博物館まで、このようなモニュメントが道案内をしてくれる。
今年の鉄道趣味界の大きなニュースの一つに、京都鉄道博物館のオープンがあります。
みなさんは、もう行かれましたでしょうか?
国内最大の蒸機機関車展示施設である梅小路蒸気機関車館に、大阪の弁天町にあった交通科学博物館が合流したうえで、いまの時代に合わせた展示施設にしたもので、日本最大級の鉄道博物館です。さらに、隣接する梅小路公園にはもと京都市電が保存展示されているほか、土休日や夏休みには、旧京都市電の実物が運転されています。この梅小路公園も含めて「鉄道を楽しむ場所」と位置付けると、間違いなく日本最大の面積を誇る鉄道展示施設となります。

京都鉄道博物館は、JR京都駅中央口から直線距離で約1. 5kmとちょっと離れています。そこでついバスを使いたくなりますが、少なくとも片道は歩いてアクセスするのがお勧めです。
方向に自信がない…という方でも大丈夫。道中には、右上の写真のようなモニュメントがあり、台座に矢印で道案内があるのです。つまり、このモニュメントを探して歩けば、迷わずアクセスできるというわけです。それも、ご覧の新幹線0系を模したものだけでなく、特急電車あり、蒸気機関車ありとなかなか凝っています。そのデフォルメの具合もアーティストによって違っているため、その点も楽しめるのです。
これは、「京都・梅小路 みんながつながるプロジェクト」が企画したもので、同サイトにある「モニュメントたんけん隊」をみると、どのようなモニュメントがあるかも知ることができます。全部で25基もあるモニュメントを全部見て歩くだけでも楽しいものです。


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梅小路公園内には、旧京都市電が6両保存されている。そのうち4両は「市電ひろば」にある。
京都駅からモニュメントひとつひとつの造形を楽しみながら15分ほど歩くと、梅小路公園に入ります。この梅小路公園内にもモニュメントがあります。それらを見ていると、左の写真に写っている「市電ひろば」に出ます。ここには旧京都市電が4両展示されていて、売店などになっているので、車内に入ることもできます。
このほかに、梅小路公園の東と北の入口付近にも各1両、旧京都市電が展示してあります。

さらに、「市電ひろば」から約200mにわたってS字型に線路が敷かれていて、ここを土休日と夏休みには、古い形の旧京都市電が走っています。「チンチン電車」と名づけられた車両は、
N電と呼ばれたレール幅がJR在来線と同じ1,067mmのものです。最後まで走っていた京都市電は新幹線と同じレール幅の1,435mmなので、狭軌
(Narrow guage)の頭文字をとって「N電」と呼ばれているのです。
なお、本来は電車の上にある架線から電気を取り込んでモーターを回すことで動くのですが、梅小路公園では、蓄電池に蓄えた電気でモーターを回しています。

気候の良い時期であれば、この梅小路公園でのんびりと時間を過ごすのも良いものです。公園の利用は無料で、レストラン・ショップ等もありますので、不自由することはありません。公園の一番南側にはJRの線路が通っていますが、京都鉄道博物館の動態保存蒸気機関車が牽引する「SLスチーム号」がこの梅小路公園あたりまできて折り返しますので、煙と気笛も少しだけ楽しむこともできます。


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京都鉄道博物館は、とても広くて内容が充実しているので、しっかりと時間をとって訪れたい。
さて、梅小路公園を楽しんでから同公園を西に抜けると、そこが京都鉄道博物館の出入口になっています。
入口は、新設された近代的な建物なのに対して、出口は前身となった梅小路蒸気機関車館の出入口だった、旧二条駅舎の堂々とした建物です。ミュージアムショップはこの旧二条駅舎内にあります。
収蔵車両数53両、敷地面積約3万平方メートルというだけで、いかに広くて充実した博物館かが予想できますが、実際に訪れてみると、その広さと充実度は予想以上です。53両のうち、蒸気機関車だけで20形式23両というのは、国内の他の鉄道車両展示施設の追従を許さない圧倒的な形式数と両数です。さらに、そのうち8両が実際に走ることができる動態保存機という点も特筆に値するでしょう。
JR西日本が開設しただけに、JR西日本ゆかりの新幹線500系や寝台特急「トワイライトエクスプレス」に使われていた車両などが見られるのも嬉しいところです。
一方、ディーゼル機関車が2両、気動車(ディーゼルカー)が1両と、博物館の規模にしては展示両数が少なくなっています。これは、今年5月13日付当コラム『岡山DCと同時にオープンした「津山まなびの鉄道館」
で紹介した「津山まなびの鉄道館」で多くのディーゼル機関車と気動車を展示しているためと受け取るのが妥当でしょう。実際、交通科学博物館に展示していた車両は、京都鉄道博物館と津山まなびの鉄道館に分けて保存しています。

京都鉄道博物館の特徴は、前述した蒸気機関車の多さとともに、車両工場があるうえ、線路が本線につながっていることが挙げられます。諸外国の主要鉄道博物館ではよく見られる方式ですが、保存車両のメンテナンスを博物館内で行うだけでなく、その車両を実際の営業線で走らせることもするのです。それも、その保守風景を入館者が直に見ることができるようになっています。

このように見どころ豊富な京都鉄道博物館です。
ぜひ、梅小路公園とともにしっかりと時間をとって訪れて下さいね。


■年末年始の対応について…

今年もいよいよ押し詰まってきました。
当コラムは、毎週金曜日に新たな一文を公開していますが、年末年始となる次の2週は続けてお休みとさせていただきます。

   2016年12月30日(金)
   2017年1月6日(金)

新年は、2017年1月13日(金)からの再開を予定していますので、ご了承のほどお願い致します。
今年一年間、当コラムをお読み下りありがとうございました。
皆様方には、良いお年をお迎え下さることを祈念しています。

掲載日:2016年12月23日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。