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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


  • ひろやすの汽車旅コラム
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

北越急行ほくほく線で、駅の旅を楽しむ [No.H240]

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宇宙船? 宇宙人? いえ、駅です。なんとも変わった形をした駅舎は、北越急行ほくほく線のくびき駅。
右の写真をみて、「なんだ、鉄道と関係ないじゃん!」と思った方、ぶぅ~! です。
これでも、れっきとした鉄道駅の駅舎なのです。
なんとも奇妙きてれつな形で、UFOか? 宇宙人が描かれているのか? など、いろいろと想像ができますよね。ちなみに、右上に線路があり、架線が写っています。
ここは、新潟県を走る北越急行ほくほく線のくびき駅です。北越急行が信越本線と分岐する犀潟(さいがた)駅の次、ほくほく線としては最西端に位置する駅です。
どうしてこんな形にしたのかと思いますが、駅舎内に掲げられている一文によると、「決して大きくない建物にボリューム感を持たせ、従来の駅には無いエネルギーを発信して、その存在をアピールするため」だそうです。たしかにアピール力は抜群です。
ちなみに駅舎内も斬新で、壁面が黒色、宇宙人のような形の部分は朱色です。さらに、天井からは雲をデフォルメしたようなパネルが吊り下げられています。
田園地帯の端部に位置する無人駅で、停車列車は上下それぞれ1時間に1本程度と多くありませんが、機会があれば一度ご覧いただきたい駅舎です。


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トンネル駅となっている美佐島駅の入口付近。畳敷きの休憩所は残念ながら使用見合わせとなっていた。
次は、2013年7月26日の当コラムでご紹介した、トンネル内に位置する美佐島駅です。
この駅について、詳しくは4年前の同コラムをご覧いただければと思いますが、その冒頭で7駅あると記したトンネル駅のうち、2駅は廃止され、残る5駅のうち1駅は所属鉄道会社が変わっています。以下に、7駅の現状をまとめてみました。

廃止     JR北海道     津軽海峡線     吉岡海底駅
廃止   JR北海道   津軽海峡線   竜飛海底駅
1.野岩鉄道     会津鬼怒川線     湯西川温泉駅
2.JR東日本     上越線     湯檜曾駅
3.JR東日本     上越線     土合駅
4.北越急行     ほくほく線     美佐島駅
5.JR西日本     北陸本線     筒石駅
   ※筒石駅は、えちごトキめき鉄道の駅となっている

廃止の2駅は、どちらも青函トンネル内にある駅で、昨春の北海道新幹線開通のために廃止されました。ただし、もともとの位置づけである非常時の脱出用としては今も存続しています。また、廃止された竜飛海底駅に隣接する青函トンネル記念館・体験坑道駅は、ケーブルカーの駅としていまも青函トンネル記念館来訪者の見学コースとして、冬期を除いて営業しています。
所属会社が変わったのは最下段にある筒石駅です。一昨年春の北陸新幹線金沢延伸開業によって、JR西日本は並行在来線を廃止したため、新潟県内は新潟県が出資する第三セクター鉄道「えちごトキめき鉄道」となっています。
このように7駅のうち3駅もが、新幹線延伸・開業の影響を受ける結果となっているのは興味深いところですよね。

ところで、今回紹介する美佐島駅ですが、こちらは2つの変更点がありました。まずは、北陸新幹線の金沢延伸で特急「はくたか」が廃止されたこと。これにより、通過列車は1日1往復半設定されている超快速スノーラビットだけとなりました。超快速については、2015年9月4日の当コラムで紹介していますので、併せてご覧下さい。
もう一つは、駅舎入口すぐにある畳敷きの休憩所が使用見合わせとなっていたことです。左上の写真には「乗車駅証明書発行機」が左端に写っていますが、その奥のシャッターが降りているところです。ここに掲げられている「お願い」には、悪質ないたずらで室内が焦がされたうえ、備品の破損も多いためとしています。
「しばらくの間」となっていて、それがいつまでか判りませんが、なんとも残念なことです。


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まつだい駅前に設置された「特急はくたか」の記念碑。御影石製の立派なものだ。後方に、まつだい駅ホームが見える。
飯山線との乗換駅となる十日町駅から一つ西にあるまつだい駅は、「ほくほく線発祥之地」碑が建つ駅です。隣接して、道の駅「まつだいふるさと会館」が建っていて、駅前広場は「道の駅」駐車場です。
その駅前広場の一角に、昨年4月22日に右の写真にある「特急はくたか」記念碑ができました。高さ50cm、横幅50cm、長さ120cmの3両編成という立派なもので、御影石でできているので、子ども達がまたがったり、大人が座ったりして記念撮影もできるものです。
見ての通り、北陸新幹線の金沢延伸以前にほくほく線を走っていた特急「はくたか」のうち、北越急行が所有していた681系2000番台「スノーラビット」を模したものです。
すぐ隣に説明板をはめ込んだ脇碑がありますが、特急「はくたか」のほくほく線での略歴が記されています。そこには、平成9年の開業時から681系2000番台が2編成あり、平成17年に683系8000番台1編成が増備されたこと。この増備で特急「はくたか」は全列車が新幹線を除く国内最速の160km/hで走ることになったこと。平成27年に18年間の運行を終了したことなどが記されています。
製作は北越急行ですので、さすがに記述内容はたしかであり、また的確です。
まつだい駅は、「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ」の際に活躍する駅でもあります。3年に一度の同祭典、次回は2018年ですから来年です。その開催時には、この「特急はくたか」記念碑も注目されることでしょう。


掲載日:2017年06月09日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。