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- [No.H288] 大阪市営地下鉄は、民営化して Osaka Metro に
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
鉄旅オブザイヤー受賞の「ながまれ海峡号」の魅力2 [No.H243]
「ながまれ海峡号」ディナーコースは、函館駅を15:50に発車します。その30分前に函館駅の改札前に行くと、「赤い風船」の旗を持った添乗員さんが2名で出迎えて、受付をして下さいます。
列車に乗り込んで指定された席に着くと、すぐに添乗員さんが持ってきてくれるのが、右の写真にある「函館海鮮スイーツ丼」です。いきなりどんぶり飯?と引きそうになりますが、ご安心下さい。文字どおり海鮮丼を模したスイーツです。
中央の“うに”は栗のクリーム、周囲の“いくら”はグレナデン風味のオレンジゼリー、“しょうゆ”はカラメルソースで、“わさび”はピスタチオクリーム、“ごはん”はスポンジケーキといった具合です。函館のスイーツの名店「プティ・メルヴィーユ」製で、温かいコーヒーとセットになっています。
ディナーコースでありながらスイーツから始まるのは異例ですが、まだ夕方。4時間にもわたるツアーの後半にメインディッシュが用意されていますので、まずは午後のおやつで旅をスタートといったところです。
前回記したとおり、「ながまれ号」はふだん他の車両に混じって定期列車として運転されています。「ながまれ海峡号」として走るときは、飲食をし易いように車庫でテーブルが設置されます。よく見ると、シートの間に組み立て式のテーブルをつけて、窓側のくぼみと床で固定するようにしてあります。一見やや頼りない感じがしないでもないですが、実際に使ってみるとしっかりとしていて、足を置く空間にも配慮されているなかなか見事な造りです。
へぇ~と感心しつつスイーツを口に運んでいると、道南いさりび鉄道のアテンダントさんが挨拶をされ、続いて添乗員さんが挨拶をされます。わずか1両の列車で募集定員48名ですが、ボックス席での相席を受け付けていないので40名前後の乗車人員が多いということです。それに対してアテンダント1名と添乗員2名のスタッフ計3名です。観光バスだとバスガイド1名と添乗員1名がせいぜいということを考えると、車内を歩き回れる鉄道の利点も含めて、きめ細かな対応がされることが理解いただけるでしょう。
列車はその間に発車しています。道南いさりび鉄道本社前では、休日出勤している社員がにこやかに手を振って下さいます。乗客も手を振り返しています。
すぐに、添乗員さんが手土産を配りはじめました。中身は、ながまれ号の案内、道南いさりび鉄道の車両デザイン案内、沿線各駅マップや函館市・北斗市・木古内町という沿線3市町の観光ガイド、さらには小振りの枡と箸置き、記念乗車証などです。これらが、しっかりとした布製手提げ袋に入っています。枡や箸置きは、その場で使い始めることもできるものですよね。
「函館海鮮スイーツ丼」を食べ終わって一息つく頃、上磯駅に到着します。函館駅を発車して約30分です。
同駅に入線する際、車窓右手をみるとホームでにこやかに手を振る人達がいます。上磯商店街の人々で、そろいの法被を着て、首から大きな箱を下げています。かつて国鉄駅でよく見られた駅弁売りのスタイルです。
とはいえ、ここで駅弁を売ってもメインディッシュを控えている乗客に売れるはずもありません。カニちらしや昔懐かしい豆パン、道内で端午の節句に食べられるというべこ餅、醤油だんごにチーズケーキラスク、ホッキしゅうまい等々、地元で売られている食材が、小分けして各200-300円の手ごろな価格で買えるようになっています。
売り手はその日に都合がつくお店だそうで、日によって来ている人も売っているものも変わりますが、上磯の地元のものということは共通しているようです。
ところで、昨今、駅の立ち売りがほとんど見られなくなったのは、車両の暖冷房が進んで窓が開かなくなったことが大きな要因です。その点、「ながまれ海峡号」は冷房がなく窓の開閉が自由にできる車両です。いまや、涼しい北海道ならではの仕様ですが、その設備を活用したアイデアは見事です。前回記した「日本一貧乏な観光列車」ならではのことでしょう。
かつての駅弁と同じく窓越しに買う人、ホームに出て箱の中身を吟味しながら買う人などなど、みなさん何を買おうかと真剣な顔つきながらも楽しそうです。わずか10分の停車時間ですが、ちょっと緊張気味だった車内が、上磯駅停車中になごやかになりました。
掲載日:2017年06月30日
列車に乗り込んで指定された席に着くと、すぐに添乗員さんが持ってきてくれるのが、右の写真にある「函館海鮮スイーツ丼」です。いきなりどんぶり飯?と引きそうになりますが、ご安心下さい。文字どおり海鮮丼を模したスイーツです。
中央の“うに”は栗のクリーム、周囲の“いくら”はグレナデン風味のオレンジゼリー、“しょうゆ”はカラメルソースで、“わさび”はピスタチオクリーム、“ごはん”はスポンジケーキといった具合です。函館のスイーツの名店「プティ・メルヴィーユ」製で、温かいコーヒーとセットになっています。
ディナーコースでありながらスイーツから始まるのは異例ですが、まだ夕方。4時間にもわたるツアーの後半にメインディッシュが用意されていますので、まずは午後のおやつで旅をスタートといったところです。
前回記したとおり、「ながまれ号」はふだん他の車両に混じって定期列車として運転されています。「ながまれ海峡号」として走るときは、飲食をし易いように車庫でテーブルが設置されます。よく見ると、シートの間に組み立て式のテーブルをつけて、窓側のくぼみと床で固定するようにしてあります。一見やや頼りない感じがしないでもないですが、実際に使ってみるとしっかりとしていて、足を置く空間にも配慮されているなかなか見事な造りです。
へぇ~と感心しつつスイーツを口に運んでいると、道南いさりび鉄道のアテンダントさんが挨拶をされ、続いて添乗員さんが挨拶をされます。わずか1両の列車で募集定員48名ですが、ボックス席での相席を受け付けていないので40名前後の乗車人員が多いということです。それに対してアテンダント1名と添乗員2名のスタッフ計3名です。観光バスだとバスガイド1名と添乗員1名がせいぜいということを考えると、車内を歩き回れる鉄道の利点も含めて、きめ細かな対応がされることが理解いただけるでしょう。
列車はその間に発車しています。道南いさりび鉄道本社前では、休日出勤している社員がにこやかに手を振って下さいます。乗客も手を振り返しています。
すぐに、添乗員さんが手土産を配りはじめました。中身は、ながまれ号の案内、道南いさりび鉄道の車両デザイン案内、沿線各駅マップや函館市・北斗市・木古内町という沿線3市町の観光ガイド、さらには小振りの枡と箸置き、記念乗車証などです。これらが、しっかりとした布製手提げ袋に入っています。枡や箸置きは、その場で使い始めることもできるものですよね。
「函館海鮮スイーツ丼」を食べ終わって一息つく頃、上磯駅に到着します。函館駅を発車して約30分です。
同駅に入線する際、車窓右手をみるとホームでにこやかに手を振る人達がいます。上磯商店街の人々で、そろいの法被を着て、首から大きな箱を下げています。かつて国鉄駅でよく見られた駅弁売りのスタイルです。
とはいえ、ここで駅弁を売ってもメインディッシュを控えている乗客に売れるはずもありません。カニちらしや昔懐かしい豆パン、道内で端午の節句に食べられるというべこ餅、醤油だんごにチーズケーキラスク、ホッキしゅうまい等々、地元で売られている食材が、小分けして各200-300円の手ごろな価格で買えるようになっています。
売り手はその日に都合がつくお店だそうで、日によって来ている人も売っているものも変わりますが、上磯の地元のものということは共通しているようです。
ところで、昨今、駅の立ち売りがほとんど見られなくなったのは、車両の暖冷房が進んで窓が開かなくなったことが大きな要因です。その点、「ながまれ海峡号」は冷房がなく窓の開閉が自由にできる車両です。いまや、涼しい北海道ならではの仕様ですが、その設備を活用したアイデアは見事です。前回記した「日本一貧乏な観光列車」ならではのことでしょう。
かつての駅弁と同じく窓越しに買う人、ホームに出て箱の中身を吟味しながら買う人などなど、みなさん何を買おうかと真剣な顔つきながらも楽しそうです。わずか10分の停車時間ですが、ちょっと緊張気味だった車内が、上磯駅停車中になごやかになりました。
掲載日:2017年06月30日
●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。