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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

由利高原鉄道が「おもちゃ駅」支援者を募集中 [No.H272]

本コラムの1月26日公開分で紹介した、北海道でのキハ183保存クラウドファンディングは、その後も順調に募金が集まり、1月29日に第一目標に到達して成立しました。いまは、さらに第二目標に向けて支援を受け付けているところです。
同じシステムを使ったクラウドファンディングを、由利高原鉄道が新たに始めました。

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廃校となった小学校舎を活用した美術館。その最寄り駅に相応しい駅にするクラウドファンディングがスタート
由利高原鉄道は、秋田県南部にある由利本荘市内を走る第三セクター鉄道です。日本海沿いを走る奥羽本線羽後本荘駅から分岐して、鳥海山北麓に位置する矢島駅までの23. 0kmの路線は、子吉川に沿った里山風景のなかを進みます。
その羽後本荘駅から3つ目、7. 4kmのところに鮎川駅があります。同駅から1キロ弱のところに、立派な木造校舎が残る鮎川小学校跡があります。2004(平成16)年3月に閉校となったあとも地元の方々が大切にされ、2012(平成24)年2月には敷地内の4棟が国の登録有形文化財となっています。その旧校舎が、今年7月に「鳥海山 木のおもちゃ美術館」になることが決まりました。
そこで、由利本荘市は由利高原鉄道の車両を改装して「おもちゃ列車」にすることにしました。
ところが、最寄りの鮎川駅から旧鮎川小学校まで続く道がないために大きく迂回せざるを得ず、シャトルバスを運行する予定ということです。


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鮎川駅は無人駅で、駅舎は瓦屋根の落ち着いたもの。しかし、いまは駅舎以外に何もないところとなっている。
鮎川駅には、左の写真のとおり、落ち着いたたたずまいの瓦屋根をもつ駅舎があります。駅舎を抜けたホームはややカーブしたもので、駅舎とのあいだはスロープになっているバリアフリー対応のものです。でも、それ以外には何もありません。
これまではこれで特に問題がなかったのですが、「鳥海山 木のおもちゃ美術館」ができて家族連れがやってくるようになると、この駅舎だけでは手狭になりそうです。休日に楽しみにやってきたところで、列車やバスを待つのに寒風にさらされたり、熱中症の心配をするようでは楽しくなくなってしまいますよね。
そこで由利高原鉄道は、この鉄道とバスが接続する鮎川駅を「おもちゃ駅」として整備することとし、その整備費用の一部をクラウドファンディングで賄う計画を立てました。いま、駅前広場にある自転車置き場あたりに待合室を建てて、駅舎とともに木の展示物を設置するような計画です。
目標金額は300万円で、4月24日(火)23時までの支援受付です。

   一口駅長募集 おもちゃ美術館へ続く、おもちゃ駅を皆で作ろう!

この原稿を書いているのは、クラウドファンディング開始から7日目ですが、すでに目標額の17%の支援額が応募されています。


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1万円以上の支援者に届くオリジナル本荘こけし(左上)と、矢島駅に設置される予定の名入り積み木(右上)。下は矢島駅外観。
クラウドファンディングは3千円から30万円まで用意されていて、1万円,3万円,5万円の支援者にはリターンとして、「一口駅長」ミニ本荘こけしが送られます。制帽を被った駅長姿のオリジナルこけしです。
これを持って、由利高原鉄道の本社や車両基地などがある起点・矢島駅に行くと、支援者名が入った積み木のミニ駅長室が飾られているそうです。その自分の名前のところに、持参のこけしを戻すそうです。これは従来にない、なかなかユニークな試みです。
矢島駅は右の写真下のように、日本建築を意識した、しっかりとした近代的な建物です。観光の拠点でもあり、駅前から続く町は江戸時代の城下町で、旧家や酒蔵などがあります。また、鳥海山への玄関口ともなっています。

本コラム2016年7月15日付まごころ列車「おばこ号」、毎日運転中! で紹介したとおり、由利高原鉄道は、毎日午前1往復に「おばこ」姿のアテンダントが乗務する「まごころ列車」も運転しています。
クラウドファンディングで支援をして、「鳥海山 木のおもちゃ美術館」「おもちゃ列車」「おもちゃ駅」が出そろう今夏以降に、「一口駅長」ミニ本荘こけしを持って由利高原鉄道を訪れてみるのはいかがでしょうか。


掲載日:2018年02月09日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。